熟成肉の格之進

  1. 熟成肉の格之進
  2. 門崎熟成肉

幸せな山地酪農チーズを求めて

要約

「第3回乳乳学会」のテーマは「三良坂フロマージュ」。広島県三次市三良坂町から松原正典さんに来ていただきました。

[caption id="attachment_4021" align="aligncenter" width="640"]高橋雄幸副理事長 高橋雄幸副理事長[/caption] [caption id="attachment_4022" align="aligncenter" width="640"]人形町今半の高岡さんのあいさつ 人形町今半の高岡さんのあいさつ[/caption] 松原さんは、アメリカで酪農研修を受け、オーストラリア最大の酪農場でも働いた経験をもつ「酪農家」。でも、そうした大規模酪農場での飼育方法に疑問を抱き、自らは「山地酪農」という自然の草木を活かし、牛や山羊の蹄で草を根付かせる(蹄耕法)により放牧酪農を行う道を選び、林業実習等を経て、故郷の三良坂町にチーズ工房を開設。里山を利用したヤギとブラウンスイスの放牧を始めた。チーズの製造技術は、フランスで学び、今では、「日本一、多く種類のチーズを作っているチーズ職人」とのこと。 [caption id="attachment_4023" align="aligncenter" width="640"]松原正典さんのプレゼン 松原正典さんのプレゼン[/caption] [caption id="attachment_4024" align="aligncenter" width="640"]遠藤シェフと肉おじさん 遠藤シェフと肉おじさん[/caption] 山地酪農での牛や山羊の放牧酪農は、里山を切り開き、放牧のための牧柵や電気柵を設置し、冬期の貯蔵飼料にする牧草やわらを収穫し、牛・ヤギ舎と搾乳施設(パーラー)を作り(できるだけ安く)、そしてチーズをつくるといった作業の連続で、10年間は休みもなかった、でも毎日、牛や山羊の世話をし、チーズを作ることが嬉しくてしかたない、という松原さんなのだ。「幸せな牛・ヤギからいただいたミルクを無駄にしないでチーズを作りたい」というのが、松原さんの想いなのだ。 この日は、牛・山羊・羊のミルクを飲み比べたり、登場間もない「リコッタ3兄弟」が紹介された。松原さんが手塩にかけたホエーイノブタや山羊肉を素材にした料理も登場。「草の幸・山の幸」すべてが集結したような実りの多い学会となった。

学びの概要

1. 新規就農への道  松原正典さんは昭和49年生まれ。大阪育ち。広島県農業技術大学校で酪農を学び、卒業後は国際農業交流協会の海外研修としてアメリカで酪農を学び、一端、帰国後、オーストラリアの大規模酪農場で働くことになった。3000頭もの規模を誇る豪州でも最大級の牧場であったが、そこでの作業を通じて、「牛を幸せにする酪農をしたい」と強く思い、帰国後は自然な状態で牛を飼う「山地酪農」という経営スタイルを目指して、高知の「斎藤牧場」を訪問。そこで、「まずは林業から学べ」とアドバイスを受け、2年間山師として林業に従事した! その後、チーズを学びたいと、結婚したばかりの奥様の了解をいただいてフランスに渡りチーズ工房を視察、帰国後2004年に母の里、広島県三次市三良坂町でチーズ工房「三良坂フロマージュ」をオープンした。牧場がなかなか見つからず農業としての新規参入が難しかったので、チーズ工場からスタートしたが、牛も山羊もいないので、最初は原乳を仕入れてチーズを製造していた。 2006年山林を取得し最初はヤギのアルパイン種を(牛は価格が高かった)、次にブラウンスイスの子牛を購入して、牛や山羊が木や草を食べ、蹄で歩き回ることで山を切り開く「山地酪農」を開始することができたそうです。 2014年の工房開設10年目に、牧場そばに現在の工房兼ショップを移転し、現在に至っている。現在はブラウンスイス1を約10頭、アルパイン種のヤギ2を約30頭飼育して、濃厚飼料は与えずに放牧と自給飼料(貯蔵飼料)で飼育している。 2. チーズの特徴  松原さんのチーズは、牛のブラウンスイスとヤギのアルパインの2種から得るミルクを使用していること、フレッシュからパスタフィラータタイプ、酸凝固タイプ、ソフト熟成タイプ、セミハードタイプ、シェーブルと様々なスタイルのチーズを作っていること、これに季節の果物を組み合わせた「季節限定チーズ」もあるのでご本人も曰く「日本で最も多種類のチーズを作っている工房」ということになるし、納得するところである。 こうしたチーズは、国内外の様々な賞を受賞しており、日本を代表するチーズ工房となっている。 ソフト・酸凝固タイプの「カレ・ド・ラヴァンド・シェーブル」でオールジャパンナチュラルチーズコンテスト金賞&外国人審査員賞、モンディアル・デュ・フロマージュでは銅賞を獲得。 「リコッタ・サラータ・インフォルナータ・フレスカ」(銀賞)、ウォッシュタイプの「じゅくし柿(大)」(銅賞)、「フロマージュ・ド・みらさか?シェーブル」(モンディアル金賞)、「フロマージュ・ド・みらさか(牛乳製)」(モンディアル銅賞)など。  また、松原さんは受賞した定番チーズだけでなく、たえず新たなチーズに挑戦しており、日本トウガラシを使った「赤鬼」や「富士山、地元の鵜飼いの名を冠したシェーブル「三次の鵜飼い」、牛、ヤギ、ヒツジのミルクを使った「リコッタ3兄弟」などチェレンジ精神が魅力だ。 今回も、それらの新進のチーズのほか、フランスの一部地域にしかないヤギのフレッシュチーズ「ブルッス」(山羊乳をホワイトビネガーの酸で凝固させたチーズ)が飛び出るなど、三良坂フロマージュはあ、まさに「チーズのワンダーランド」と言える。  なお、松原さんも、前回の大窪さんと同様、チーズを作る際に副産物となる「ホエー(乳清)3」の有効活用として、自ら飼育した「イノブタ」にホエーを飼料として給与している。今回は800日間飼育した(普通の豚は半年で出荷される)イノブタも、山羊肉と合わせてお披露目された。

脚注

1 ブラウンスイス 2 ヤギの種類 [caption id="attachment_4027" align="aligncenter" width="170"]アルパイン アルパイン[/caption] アルプス原産の乳用種で茶色や黒・白など様々な色があり、背中にたてがみのような毛がついていまる。大きさはザーネンに近く、同様に季節繁殖で有角・無角どちらもいる・乳量はザーネンの2/3程度。 [caption id="attachment_4026" align="aligncenter" width="320"]日本ザーネン 日本ザーネン[/caption] スイス原産のザーネンを日本で改良したもので、このヤギの血をひいた雑種も多く見られる。メスは60キロくらいに、オスは90キロにもなるものがある。ザーネンより乳量はやや少ないが、日本の風土に適している。 3 ホエー (参考)チーズについての基本

本日のメニュー

本日のチーズ。左から、フロマージュブラン。三次の鵜飼、フロマージュドみらさか、モッチーズ、スカモルツァ・アッフミカータ

1. 三種のミルク
牛乳、羊乳、山羊乳

2. ブルッス

3. グラスフェッドバター、バゲット、パテ

4. パテ・ド・カンパーニュ

5. 三次の鵜飼のフリットと花かごのリーフサラダ

6. イノブタばら肉のプティサレ スカモルツァ

7. プルドイノブタとフロマージュみらさかのオープン

8. 山羊肉のラグーのラザニア モッチーズ

9. リコッタ3兄弟とフロマージュブラン


参考文献

ダイワファーム 宮崎から愛と情熱を込めて

要約

「第2回乳乳学会」のテーマは「ダイワファーム 宮崎から愛と情熱を込めて」。宮崎県小林市ダイワファームの大窪和利社長が主役です。

[caption id="attachment_4002" align="aligncenter" width="640"]高橋雄幸副理事長 高橋雄幸副理事長[/caption] [caption id="attachment_4003" align="aligncenter" width="640"]人形町今半の高岡さんのあいさつ 人形町今半の高岡さんのあいさつ[/caption] 「ダイワファーム」でのチーズ作りは大窪さんが50歳を過ぎてから始めたものです。それ以前からアイスクリームやソフトクリームは製造販売していたので、六次化への取組は早かったというものの、チーズは別物。大窪さん曰く「自宅で鍋を使って、見よう見まねでモッツアレラチーズを作って店舗に並べて販売したけど、今から思えば恥ずかしくなるような出来だった」とのこと。しかし、その後、大分の先輩「うらけん」にチーズ作りを学び、北海道のチーズ工房やイタリアでの修業を経て、今では日本を代表するイタリアンチーズの作り手になりました。 宮崎県小林市で約20頭の乳牛(ホルスタインがほとんどだが、チーズに向くブラウンスイスも数頭)を飼育し、牛舎の隣のチーズ工房へ搾りたての生乳を搬入して製造できる強みを活かし、また奥様や息子さんもチーズ製造に参加して家族ぐるみの工房として様々な種類のチーズを製造されています。  また、ダイワファームは「肉肉学会」の「熟成肉とチーズのマリアージュ」などでも格之進の熟成肉とコラボした、格之進お馴染みのパートナーでもあります。今回は、ダイワファームと同じテロワールをもつ、小林市のOGAWAFARMのミニトマト、山之口畜産の牛肉「アン黒」との小林コラボも企画されました。 [caption id="attachment_4004" align="aligncenter" width="640"]大窪和利社長のプレゼン 大窪和利社長のプレゼン[/caption] [caption id="attachment_4005" align="aligncenter" width="640"]遠藤シェフと肉おじさん 遠藤シェフと肉おじさん[/caption]

学びの概要

1. チーズ製造への道  宮崎県小林市のダイワファームの代表・大窪和利(だからダイワなんですね)は2代目の酪農家で、規模拡大した矢先の平成5年に「生乳の生産調整」にぶつかった。「生産調整」とは、生乳の生産が国産需要を上回ったうえ、過去の増産基調などからバターや脱脂粉乳の国内在庫がたまっていたことから、乳業工場が酪農家からの生乳の受け入れを大幅に減らすか、一時的に受け入れ中止する事態に至ること。都府県の酪農家から出荷される生乳は、ほとんど飲用牛乳になるが、飲用牛乳で余る分はバターや脱脂粉乳などに加工して貯蔵しやすくし、それでもなお加工品も余るときには生乳に食紅を入れて廃棄するということになる。  大窪さんは、そうした事態にぶつかり「ならば自分で加工して販売しよう」ということで平成8年にアイスクリーム工房を作り、製造販売を始めた。それだけでも成功する酪農家は一握りだが、アイスクリームを作り始めて10年した頃、ふとしたキッカケで読んだ雑誌にチーズづくりのことが書いてあり、自分にもできるのではないかと、家にあった鍋などの器具を用いてチーズを作り始めたのが、現在に至ることになる。本格的にチーズの製造販売を始めたのが平成18年なので、チーズを作って11年目。かつての大規模指向は転換され、20頭程度の乳牛を飼育して、乳製品加工が本業となった大窪さんだが、まだまだ「チーズ道」を極めている最中なのである。   2. ダイワファームのチーズ  ダイワファームはホルスタインとブラウンスイス2の混乳を使用し、搾りたての生乳を牛舎から隣のチーズ工房へ運び、日を決めて様々なチーズを作っている。  チーズの作り手は大窪さん、奥様、息子さんの3人。奥様はリコッタ、息子さんがブルーチーズなどそれぞれ分担して様々なチーズを作っているが、大窪さんが絶対に自分で作り続けているチーズがモッツアレラ。いくら作ってもまだまだ、奥が深いと仰る。  チーズの種類としてはモッツアレラのほか、リコッタ、ハロウミ(焼いて食べるチーズ)、カチョカバロ、トーマダイワ(セミハード)、ロビダイワ(ウオッシュ)、ジンゼ(ハード)、ヤマンクッバイ、チャンガサコ(ブルー)などバラエティ豊かな品揃え。ジンゼ、ヤマンクッバイ、チャンガサコなど一風、変わったネーミングだが、このあたりにも大窪さんの戦略が伺える2  なお、チーズを作る際に副産物となる「ホエー(乳清)3」を飼料として給与した豚(ホエー豚)を地元の養豚農家と協力して生産することになり、今回は、その肉を使用した「パテ・ド・カンパーニュ」もお披露目となった。

脚注

1 ブラウンスイス 2 チーズのネーミング戦略  日EU・EPAにより、地理的表示について相互に保護することになった。このため、カマンベール、モッツアレラのような「一般名称」は別として、「コンテ」「アジアーゴ」など、EUで保護の対象となるチーズの名称を国産チーズにつけることは許されなくなった。ダイワファームでは、EPA合意に先立って「ロビオーラダイワ」を「ロビダイワ」「アジアーゴ」を「ジンゼ」と変更し、国際対応を図っている。ちなみに「ジンゼ」は祖父の名。「ヤマンクッバイ」は「山の口原」、「チャンガサコ」は「茶が迫」で近所の地名を西諸弁で表記したもの。 3 ホエー 4 チーズについての基本

本日のメニュー

[caption id="attachment_4009" align="aligncenter" width="640"]本日のチーズ。下から、ヤマンクッバイ、ロビダイワ、ジンセ、モッツアレラ 本日のチーズ。下から、ヤマンクッバイ、ロビダイワ、ジンセ、モッツアレラ[/caption] [caption id="attachment_4010" align="aligncenter" width="640"]ダイワファーム応援トリオ ダイワファーム応援トリオ[/caption]

1. チーズプレート
ヤマンクッバイ(ブルー)、ロビダイワ(ウオッシュ)、ジンセ(ハード)

2. ホエー豚のパテ・ド・カンパーニュ

3. OGAWAFARMの香りトマトのフレッシュソースとモッツアレラチーズ

4. ほうれん草とヤマンクッバイ(ブルー)のサラダ

5. メガネ肉の赤ワイン煮 山盛りジンセとともに

6. 小林トリオ
山之口畜産アン黒のハンバーグ ダイワファームのロビダイワ乗せ OGAWAFARMアイコの焼きトマト

7. チーズリゾット
焼きおにぎりスタイル

8. リコッタチーズのカッサータ


参考文献

那須高原チーズのテロワール

要約

記念すべき「第1回乳乳学会」のテーマは「那須高原チーズのテロワール」。

那須高原地域のチーズ工のチーズがメインテーマですが、宮崎県小林市ダイワファームの大窪和利社長もチーズ持参で参加してくださいました。 「肉肉学会」で何度か、熟成肉とチーズのマリアージュを試みた経験から、伸長著しい国産ナチュラルチーズをフューチャーして学ぶ「乳乳学会」をスタートすることにしたのです。 まず、原田英男理事長(肉もチーズも大好きなので「乳乳学会」でも理事長に就任)が、国産ナチュラルチーズの現状を紹介。 [caption id="attachment_3981" align="aligncenter" width="570"]高橋雄幸さん 高橋雄幸さん[/caption] 続いて、那須高原今牧場チーズ工房の高橋雄幸さんが「那須ナチュラルチーズ研究会」1の紹介とご自身のナチュラルチーズ製造への想いを熱く語っていただきました。 また、山羊チーズを製造している高橋さんからは、この日のために特別な「10か月齢の子ヤギ」を提供していただき、食べ尽くす、という「乳乳学会」に相応しい内容となりました。  この日は、原田理事長が昨年、フランスに本部がある「チーズギルドクラブ」2の叙任を受けたことを記念した会ともなりました。 デザートには、高橋さんのサプライズ・プレゼントとしてギルドクラブのメダルをかたどった「ガレット・デ・ロワ」3をいただきました。 [caption id="attachment_3982" align="aligncenter" width="640"]人形町今半の高岡さんのあいさつ 人形町今半の高岡さんのあいさつ[/caption] [caption id="attachment_3983" align="aligncenter" width="640"]和田有史理事のあいさつ 和田有史理事のあいさつ[/caption] [caption id="attachment_3984" align="aligncenter" width="640"]肉おじさんとガハハおじさん(大窪さん) 肉おじさんとガハハおじさん(大窪さん)[/caption]

学びの概要

1. 国産ナチュラルチーズの現状  原田理事長から「NO CHEESE NO LIFE」と題して、国産ナチュラルチーズの現状と「乳乳学会」設立の意義を説明しました。ここ数年、いわゆる「アルチザンチーズ」の工房が増加していて、最近では全国で300を超える状況になっており、これは日本ワインのワイナリーとほぼ同じ数。北海道に半数、都府県に半数とほぼ全県でナチュラルチーズが製造されています。また、家畜を飼っていないチーズ製造だけの工房や、山羊チーズなど牛以外のチーズも徐々に増えています。4 一方で、小規模な工房が多いことから、地元での販売や宅配での販売に限定されていることが多く、その認知度や知名度は今ひとつとも言えます。 日EUとEPA、TPP11が発効するなど、海外製品との競争も激化すると思われ、また、国内での酪農家戸数の減少により生乳生産量が減少傾向となっているなかで、こうしたナチュラルチーズ工房の生産者・製造者を招いて、その「チーズ哲学」を学んで行きたいと思います。 チーズの科学はタンパク質の科学ですし、発酵・熟成の科学でもあり5、乳乳学会として、追究するテーマも大いにあると思ってます。 2. 那須ナチュラルチーズ研究会  那須ナチュラルチーズ研究会は那須地域のチーズ工房が組織している研究会です。今日のチーズも、会員のチーズ工房の自慢のチーズが揃っています。日頃の研究活動や、関東ナチュラルチーズコンテストの原動力になるなど、ほかの地域にない連帯力で「那須ブランド」を作ろうと研鑽されてます。  特に最近では、那須地域由来の乳酸菌の研究をしており、那須ワインから抽出した乳酸菌によるチーズ製造に挑戦しているそうです。     3. 本日のチーズと料理の特徴  那須ナチュラルチーズ研究会の工房のチーズと参加された宮崎県小林市で「ダイワファーム」を経営している大窪和利社長からの差し入れチーズを味わいました。  牛の品種として、ボルスタイン、ジャージーのほか、ダイワファームはホルスタインとブラウンスイスの混乳を使用。今牧場さんからやヤギのセミハードタイプのチーズを特別にいただきました(この時期はヤギの泌乳期ではないのでフレッシュタイプのチーズはありません)。   チーズの種類として、リコッタ、パスタフィラータ、白カビ、セミハード、ウオッシュ、ブルーなどバラエティ豊かな品揃えになりました。  なお、今牧場から提供されたヤギ肉はモモ肉の丸ごとローストのほか、内臓を使ったシャルキュトリに。ウデ肉やレバーを使ったカンパーニュでは食道や気道のコリコリ感がアクセントになってました。

脚注

1 那須ナチュラルチーズ研究会  那須地域にある8か所のチーズ工房、酪農家、販売者等23人で構成。チーズ製造の研究のほか、地元のレストランやホテル等と連携したチーズ料理の開発や観光への活用等幅広い活動をしている。今後の活動目標として、?更なる品質向上、?美味しいチーズは、人を笑顔にする、?那須にしかないチーズにチャレンジする、?地域との連携 を揚げている。 2 チーズギルドクラブ 正式には、「ギルド・デ・フロマジュ・エ・コンフレリー・ド・サントュギュゾン協会 クラブ・ジャポン」。フランスに本部がある国際的なチーズ職人/支援者の組織「ギルドインターナショナル」の日本支部。 UGUZON"(ユギュゾン)はイタリア北西部ロンバルディ州の羊飼いで、貧しい人たちにチーズと羊を分け与えたこころ主人に怒られ殺されてしまい、Val Cavargna(イタリアのヴァル・カバルニャ)の殉教者として「聖ユギュゾン」と呼ばれようになったそうで、この由来からチーズ職人の守護聖人として崇められている。 3 ガレット・デ・ロワ  フランスで新年を祝う公現節(1月6日)に食べる菓子。中に「フェーヴ」という小さな人形が入っていて、これが当たった人は王冠を被り、祝福を受ける。 4 日本のナチュラルチーズの現状

本日のメニュー

[caption id="attachment_3987" align="aligncenter" width="640"]高橋雄幸さんと、高橋さんが育てた子ヤギの枝肉。美味しくいただきました。 高橋雄幸さんと、高橋さんが育てた子ヤギの枝肉。美味しくいただきました。[/caption] [caption id="attachment_3988" align="aligncenter" width="640"]本日のチーズ。時計回りに、リコッタ、さけるチーズ、ヤギのセミハード、カチョカバロ、りんどう、ジャージーゴーダ。 本日のチーズ。時計回りに、リコッタ、さけるチーズ、ヤギのセミハード、カチョカバロ、りんどう、ジャージーゴーダ。[/caption] [caption id="attachment_3989" align="aligncenter" width="640"]ヤギのセミハードチーズの断面。 ヤギのセミハードチーズの断面。[/caption]

1. チーズプレート※
※ブリー・ド・那須(チーズ工房那須の森) さけるチーズのたまり漬け、リコッタ(あまたにチーズ工房) ジャージーゴーダ(りんどう湖レイクビュー) りんどう、ヤギのセミハード、子山羊肉(今牧場) やまんくっばい(ブルー)、ワイン粕で漬けたセミハード(ダイワファーム)

2. りんどうを使ったキノコのキッシュ

3. リコッタチーズのサラダ

4. 子ヤギのパテドカンパーニュ

5. ハツとタンのコンフィ

6. 手切りのほほ肉とハラミの入ったカチョカバロ ハンバーグ

7. 子ヤギモモ肉の丸ごとロースト

8. 子ヤギのミートソースパスタ/ヤギのセミハードチーズかけ

9. ガレット・デ・ロワ


参考文献

エゾシカハンター岩松邦秀氏に学ぶ

要約

「第39回肉肉学会」のテーマは、「エゾシカハンター岩松邦英氏に学ぶ」。

高岡さんの開会の挨拶。
高岡さんの開会の挨拶。

プレゼンする岩松邦英さん
プレゼンする岩松邦英さん

4年に1度しかない「閏肉の日」である2月29日。初めてのジビエとしてエゾシカを学びました。プレゼンターは肉おじさんとは大の仲良しの岩松さん。岩松さんは北海道浜中町の酪農家なんですが、酪農の仕事は息子さんに任せて、エゾシカハンターとしてエゾシカ肉などの事業化とともに、アウトドア活動の支援もするなどビッグネームです。木村拓哉主演で話題になったTVドラマ「グランメゾン」のエゾシカ肉のプロと言える存在です。 この日は、伝説のディアハンター(岩松さん)が獲った3歳の雄シカをいただきました。牛と比べればずいぶん「華奢」な印象のシカですが、岩松さんがクラシタ(背骨と肋骨周辺が含まれ部分でお肉はヒレ、ロースがとれます)とモモの解体をしてくれました。 ハントした後の血抜きがお肉の味を決める、ということで、その体制を整えている岩松さんの鹿肉は定評を得ているのですね。また、海に近い牧草地の広がる浜中町ならではの話は、潮風のミネラルをたっぷり吸収した牧草を食べている鹿だからこその美味しさ。でも、その牧草は、本来なら岩松さんたち酪農家が牛の餌として育てているのです。皆さん、一様に「鉄くさくない」「鹿肉らしくない」と仰る旨味の秘密です。

お馴染み徳子さんがプレゼンのヘルプ
お馴染み徳子さんがプレゼンのヘルプ

「総本家更科堀井」と「格之進」のコラボ企画「SHIKASOBA」は「鹿モモ肉」を焼いてお蕎麦に載せてます。モモ肉は脂がないけど柔らかい。鴨南蛮みたいな感じですが、まさに、総本家更科堀井の日本橋店で「鹿南蛮」を出しているそうで、日本橋店の味そのものだとのことです。

SHIKASOBAの堀井良教さんの挨拶
SHIKASOBAの堀井良教さんの挨拶

学びの概要

「第39回肉肉学会」については、新型コロナ感染拡大の影響もあり、直前に「エゾシカを愛する会」とタイトルを変えて開催したが、内容はまさに「肉肉学会」そのものなので、このまとめでは「第39回肉肉学会」として整理した。 「肉肉学会」では、以前から「ジビエ」を取り上げたいと思っており、エゾシカならこの人!と考えていたディアハンター岩松邦英さんを招いてのエゾシカ勉強会となった。 もともと2代目の酪農家である岩松さんは、父から継いだ酪農経営を変革、軌道に乗せつつ(現在は約80頭の搾乳牛を飼育する)牧草地の牧草を食べる「害獣」としてのエゾシカをどのように利用するか思案を重ね、システマチックなエゾシカの捕獲・解体・肉等の販売事業を立ち上げるまでになった。 地元の道東・浜中町に広がる広大な牧草地を我が物顔に走り回るエゾシカは、森林の下草、木の芽や皮を食べているエゾシカと異なり、牛のために酪農家が栽培している牧草、それも海に近い浜中ゆえに潮風のミネラルをたっぷり浴びた極上の牧草なのだから、ここのエゾシカはひと味違う、というわけである。「牧草育ちのエゾシカ」は、人気のドラマ「グランメゾン」でも取り上げられている。 「牧草育ちのエゾシカ」を美味しく食べるために一番、大切なことは、ハンティングの技術そのものであると岩松さんは仰る。なんと、エゾシカに「死んだことに気づかせない」秘技、なのだ(「お前はもう死んでいる」と教えるしかない)。 ・首から上しか狙わない(ターゲットゾーンはとんでもなく小さくなる) ・絶対に苦しませない(苦しむと全身に血が回る) ・5分以内に血抜きを行い、処理場に持ち帰り、解体処理全てを死後1時間以内に行う ・HACCPに準ずる処理施設で作業を行う と、ハントから処理までスピードと安全性が命のシステムである。 このシステムを築きあげた岩松さんは2019年度から「認定鳥獣捕獲等事業者」として環境省から認定を受け、現在1人で捕獲したエゾシカが年間1000頭、他のハンターからの買取ったエゾシカ1000頭、計2000頭のエゾシカを解体処理、出荷している。 エゾシカ肉の卸先は9割が東京のレストランである。 今回、試食をされた参加者からは ・鹿の臭みがない ・鉄臭さを感じることがない ・柔らかくあっさりしている 等の感想を多くきかれたが、これも「牧草を食べたエゾシカを、ストレスのないように仕留めて、すぐに血抜きをする」という処理の仕方に負うものが大きいと感じた。 また、料理の上では、あっさりした鹿肉を活かすために、「鹿しゅうまい」では、エゾシカ7:豚の脂1で脂を足したり、「鹿そば」ではモモ肉を焼いた脂を足すなどの工夫をされていた。 なお、「鹿ラグーのペンネグラタン 浜中町のチーズで」では、同町の松岡牧場のモッツアレラとカチョカバロが使われていた。

本日のメニュー

岩松さんが「クラシタ」と「モモ」を解体。
岩松さんが「クラシタ」と「モモ」を解体。

1. 鹿せんべい

2. 鹿そば

3. 鹿ソーセージとキノコ、レンコンの免疫力UPサラダ

4. 鹿しゅうまい

5. 鹿バーグ 浜中町の牛乳を使った生胡椒ソース

6. 鹿ロースト 鞍下肉とモモ肉

7. 鹿ラグーのペンネグラタン 浜中町のチーズで


参考文献

全日本・食学会 bean47生産者大賞受賞 今帰仁アグーに学ぶ

要約

「第38回肉肉学会」のテーマは、「今帰仁アグー」。

江渡副理事長の開会の挨拶。
江渡副理事長の開会の挨拶。

高岡顧問からbean47の紹介
高岡顧問からbean47の紹介

第9回肉肉学会で高田勝さんをお招きして「今帰仁アグー」を取り上げました。 今回は、昨年11月に「全日本・食学会」が選定した「第一回bean47生産者大賞」を高田勝さんが受賞されたことを記念して、「今帰仁アグーアゲイン」を企画しました。

今帰仁アグーの高田勝さんのプレゼン
今帰仁アグーの高田勝さんのプレゼン

高田さんのプレゼンでは、「前回と重複する部分は簡略に」とのことで、「在来種と固有種」の違い、「在来豚からブランド豚」への変遷の経緯、沖縄の伝統と豚をはじめとした家畜の位置づけ、食べることにより在来種を保全する「アグーガーディアンズ」の結成譚、沖縄における道の豚や家きんの可能性など、多様な話題を提供していただきました。 自ら「商才がない」と仰る高田さんですが、在来家畜を保存するためには、飼育者が経済的に経営を維持することが必要、と「在来家畜の保存と経営維持」の両立を目指す高田さん。「bean47生産者大賞」に相応しいお話しを伺えました。 また、原田理事長が「豚コレラ(CSF=豚熱と名称変更されました)の最新の発生状況や「ワクチン接種状況」についてプレゼンしました。昨年9月の「十勝しんむら牧場の山森野豚」以降の情報提供ですが、野生イノシシだけでなく飼育豚でのワクチン接種が始まったことで、局面が大きく変わってます。高田さんも沖縄での豚熱発生状況(家畜豚で発生しイノシシでは感染はない)に大きな関心を示してました。

USHISOBAの堀井さんの挨拶
USHISOBAの堀井さんの挨拶

「総本家更科堀井」と「格之進」のコラボ企画「USHISOBA」は「トマト麺の角煮蕎麦」というスペシャルメニューです。

学びの概要

令和2年1回目の肉肉学会「第38回肉肉学会」のテーマは沖縄県の高田勝さんが生産する「今帰仁アグー」。「第9回肉肉学会」のテーマとしても「今帰仁アグー」と取り上げたが、今回は、高田さんが昨年11月に「全日本・食学会 47bean生産者大賞」を受賞したことを記念しての再登板となった。「47bean生産者賞」には、同じく「肉肉学会」のテーマとさせていただいた「見島牛」の藤井照雄さん、鳥山畜産の鳥山真さんが受賞されており、肉肉学会をきっかけに「全日本・食学会」での認知度が上がるという成果が得られている。 今回、高田さんは、前回のプレゼントとあまり重ならないようにと、資料をリニューアルして臨まれたが、「高田節」は健在だった。 「今帰仁アグー」をはじめとする沖縄県の在来家畜を、種の保存のために飼育する)ことを目標としている高田さんは、自らを「商才がないので「在来家畜の保存」というミッションと、そのために経済的な自立を図るというビジョンを両立させることが大変だった」と、振り返る。 また、沖縄アグー豚は、グローバル化した改良品種との交配によって作られた交配種であり、よく言われるように「在来種」ではないが、「在来種を起源とした豚で沖縄でのみ飼育されていることから「沖縄の固有種」とは言えるのでないか、と考察された。沖縄アグー豚については、一時期登録上でも「琉球在来豚」といった仮称が用いられたりして混乱していたが、現在では「沖縄アグー豚」と言う名称で品種証明書が発行されている、ブランド名としても「沖縄アグー豚」が用いられているとのことだ。 高田さんが飼育する「今帰仁アグー」は最もアグー豚としての品質を残しているそうだが、石垣島等にはまだまだ「謎の黒豚」がいるそうで、沖縄県の在来家畜の奥の深さを感じることができる。 「今帰仁アグー」は離島に保存されていた沖縄在来種を維持しているもので、DNA分析では「アグー豚」と異なり、東アジアの豚の系統に入るグループとなる。 見た目の特徴としては ・全身が黒い毛で覆われていること ・背中が大きく凹んでいること ・後ろの蹄が地についていること などがあげられる。  アグー豚も西洋種に比べれば小型だが、今帰仁アグーは更に小型で、一般的な豚は生後180日で110kgほどになり出荷されるが、今帰仁アグーは出荷までに300~360日かかり出荷体重は80〜90kgとなる。一方で性成熟が早いため(一般の豚は200日、今帰仁アグーは100~120日)、肥育する雌は卵巣摘出をするのが通例となっている。  なお、骨格の違いも大きく、今帰仁アグーは背骨の数(頸椎と腰椎を足した数)が19本(イノシシと同じ)だが、西洋種は改良の結果背骨が伸びているので、その数は22~23本となっている。  もともと沖縄では、豚を食料としてだけでなく「犠牲用の肉」として神事に用いてきた長い歴史がある。このため、沖縄の豚は、「伝統的形質・形態」をもつ豚、つまり、毛が黒く(白はあの世の方角=西を指す)、イノシシと同じ背骨の数をもつ在来豚(背骨の数が異なるような非日常的な豚は使われていなかった)望ましいという歴史的な背景を大事にしてきたからである 沖縄在来豚の特徴を有する今帰仁アグーを維持していくことで、沖縄の伝統・歴史の中での豚の存在意義を確認したいのである。



続いて、原田理事長から、「豚コレラ」(現在ではCSF:Clasical Swine Fever、あるいは「豚熱」という名称に変更された)について、最新の報告があった。沖縄県での発生により、高田さんも大変、心配している状況になっている。また、脳裡水産省がイノシシだけでなく予防的なワクチン接種を認めるようになったため、各県での「ワクチン接種プログラム」の実施状況等についても説明があった。



本日の「今帰仁アグー」の枝肉



本日のメニュー

1 トマト麺の角煮蕎麦

2 フロマージュ・テット  &パテ・ド・カンパーニュ

3 アグーそぼろのミックスリーフサラダ

4 アイスバイン ドライトマト入りソーセージ

5 骨付きロースのロティ

6 角煮炊き込みご飯



参考文献

肉肉カンファレンスの続きと『忘肉年会SP肉祭』

要約

「第37回肉肉学会」は、「忘肉年会SP肉祭り」です。今回は、1年間の肉肉学会の振り返り(毎月1回開催しました!)と忘年会に徹しようと思っていたのですが、この日の17時から開催した「第3回肉肉カンファレンス」に納めきれないテーマもあったので、カンファレンスの続き、みたいなテーマを取り上げて、やはり、勉強優先の肉肉学会となりました。

高岡顧問の開会の挨拶。
高岡顧問の開会の挨拶。

吉富愛希さんのプレゼン
吉富愛希さんのプレゼン

最初の登壇者は、吉富愛希(めぐみ)さん(ルール形成戦略研究所客員研究員)。「社会課題を起点としたルール形成による内容肉産業の振興」と題して、「第3回肉肉カンファレンス」で竹内昌治先生(東大大学院教授)からプレゼンのあった「培養肉」について、日本が戦略的に国際ルールつくりを主導し「培養肉産業」を活性化させるできではないか、との観点でお話しいただきました。

平田さんのプレゼン
平田さんのプレゼン

2人目の登壇者は、なんと、肉肉学会初めての高校生プレゼンター・平田泰一さん(郁文館高校1年生)です。郁文館高校では全校あげて学園祭での起業体験を実践しており、本格的に食べ物が好きな平田さんは「アビタニアジャージーファームの牛肉をハンバーガーにして販売したい」と考え、企画立案、資金集め、製造、販売まで、学びながら実践したそうです。凄いですね〜!

肉おじさんのあいさつ
肉おじさんのあいさつ

また、原田理事長から、今年1年の肉肉学会を振り返って「行く肉来る肉」をプレゼンしました。 今日のスペシャルはお肉は、山形県真室川町・佐藤牧場のジャージー去勢28か齢(肥育後期に濃厚飼料給与)のお肉を50日間熟成させたものでした。

学びの概要

「第37回肉肉学会」のは、「忘肉年会SP」として、1年の仕上げをしようとしていた(特にテーマを考えていなかった)のですが、この日の17時から開催された「第3回肉肉カンファレンス」に納めきれなかったテーマもあり(発表者の時間の都合もあったのですが)、2名の方のプレゼン、原田理事長からの「1年のふりかえり〜行く肉来る肉」のプレゼンをしたので、やはりいつものとおり1時間以上は勉強してしまった。勉強熱心な肉肉学会なのである。 1 「社会課題を起点としたルール形成による内容肉産業の振興」 最初のプレゼンは、ルール形成戦略研究所客員研究員である吉富愛望アビゲイルさんだ。早稲田大学先進理工学部物理学科から東京大学大学院理学系研究科物理学専攻を修められて、ブロックチェーン企業、イスラエル国防軍の管理部門などを経て「ルール形成戦略研究所(CRS)客員研究員」をされている。 本日は、前段の「第3回肉肉カンファレンス」のテーマでもあった「培養肉」を産業として成り立たせるためには、社会問題起点のルール形成を日本国内で行って盛り上げて行く必要がある、というお話し。欧米では「社会課題起点のルール形成活動が、業界における競合優位形成に活かされてきた、という視点から、我が国では立ち後れがちな「ルール形成活動」を「培養肉」の産業化に活かさないと、今までのように欧米が決めたルールをフォローするだけという存在になってしまう、という警鐘を鳴らされている。 吉富研究員が所属する「CRS」が中心となって11月に発足した「細胞培養研究所」では、日本初で培養肉のルール形成を行うことを目的に行政も巻き込んで業界での自主ガイドラインを作成しようとしている。 2 2番手のプレゼンは、なんと!高校生の平田さん。 格之進のライティングをしている宮地裕子さんの息子の平田泰一さんは、郁文館高校の1年生。郁文館高校は学園祭で起業体験を全校あげて実践しており平田さんは本格的に食べ物が好きなので「アビタニアジャージーファームの牛肉をハンバーガーにして販売」したそうだ。 何故、アビタニアジャージーファームかというと、事前の勉強で肉おじさんがシェフ牛の取り組みを説明したところSDGzやサスティナブルな取り組みに参画できることに興味を抱いて、取り組み、結果、アイデア賞を受賞!そのことを肉肉学会の忘年会で発表していただくことになった。 ました。  資金集めから牛の仕込み、メニュー開発、売価設定、販売と、これは良い勉強になりますよね。「アビタニア・ジャージーファーム」は肉肉学会でも何度も取り上げさせていただいている牧場だし、高校生の思いに答えることができて「肉肉学会冥利」につきました。 3 「行く肉来る肉」  なんと、振り替えれば、2019年は毎月1回の定期開催を実現した「肉肉学会」。継続は力なり、を実践できたことに感謝。いつも支えてくれる参加者の皆さん、哲学と夢を語ってくださる生産者の皆さん、調理を始めサーブしてくださる格之進の皆さんのおかげです。 4 本日のお肉 本日の牛肉は、山形県真室川町佐藤牧場のジャージー去勢28か月齢。後半に穀物で仕上げた牛で、約50日の熟成。

吉富愛望さんのプレゼン
吉富愛望さんのプレゼン

平田泰一さんのプレゼン
平田泰一さんのプレゼン


本日のメニュー

1 ジャージー牛ブリスケのブレザオラ

2 生ハムとチーズと根菜のサラダ

3 ジャージー牛のチーズ入りソーセージ

4 パテ・ド・カンパーニュ(鳥山真さん添え)

5 ジャージー牛レバテキ、ジャージーホルモン入り焼きモツタデラ

6 ジャージー牛ランプステーキ

7-1 Lボーンロースト

7-2 Lボーンロースト・カット



参考文献

新しい生産方式への挑戦!黒毛和牛経産牛放牧「鏡山牧場」

要約

「第36回肉肉学会」のテーマは、宮崎県延岡市・鏡山牧場「黒毛和牛の経産放牧牛」です。

高岡顧問の開会の挨拶
高岡顧問の開会の挨拶

鏡山牧場専務の八崎和則さん
鏡山牧場専務の八崎和則さん

「鏡山牧場」専務の八崎和則さんは、兄の秀則社長と広島で農業資材会社を経営してますが、8年前に延岡市に繁殖農家として農業参入。離農鶏舎で繁殖雌牛2頭から肉用牛経営を始め、5年ほど前に、現在の鏡山牧場(農協の育成牧場でした)を借り受けて、繁殖雌牛100頭規模の経営を展開しています。 家畜市場で購入した経産牛を繁殖用として再利用し、生産された子牛は地元の家畜市場で販売。繁殖利用を終えた経産牛を、鏡山牧場の65?の放牧地で肥育し、精肉・加工品として販売。今日のプレゼンをしていただいた和則さんは、営業担当として全国を飛び回っています。 

遠藤シェフから料理の説明
遠藤シェフから料理の説明

USHISOBAの堀井さん
USHISOBAの堀井さん

「経産放牧牛」の難しさは、個体のばらつきが大きいこと。今日の牛肉は8歳の経産牛で、2年間放牧した肉ですが、格付はC2、枝肉重量237kgの肉でした。赤身が美しく、お味の方も、参加者の評価が高いものでした。この品質をいつも保証できないことが、悩みのタネというわけです。 「放牧牛はそういうもの」と消費者や料理人の理解が進めば、多少の品質の変動は許されるのでしょうが、現時点ではそうもいきません。 鏡山牧場は、いっそのこと「一頭丸ごとミンチ」にしてハンバーグとしてだけ販売することも検討したけど単価が引き合わない、という次の問題にも直面します。悩みは多いようですが、鏡山牧場のチャレンジは大いに注目に値します。「総本家更科堀井」と「格之進」のコラボ企画「USHISOBA」は十割そば。

学びの概要

いい肉の日(11月29日)に開催された「第36回肉肉学会」のテーマは「黒毛和牛の経産放牧牛」。宮崎県延岡市の「鏡山牧場」専務の八崎和則さんを迎えて、「宮崎牛」ではなく、黒毛和種の経産牛を放牧肥育する取り組みについて学んだ。 八崎和則さんは兄の秀則さんと広島県大崎上島で建材店を営んでいたが、公共事業の削減対応して農業資材の会社を始めた。建材店を営みながらも「何かを作りたい」という想いがあり農業分野への参入となったそうだ(この会社「ヤサキ」は今も「鏡山牧場の関連会社」)。「ヤサキ」が土壌改良資材の販売等で軌道にのると、八崎兄弟の「違うことをしたい」という思いが募り、「農業をしたいが、素人が他の地域に入って農地を確保するのは難しい。畜産ならいいか」と周囲に相談するとみんなが大反対されたのが8年前。 かえって「みんなが反対するのならライバルも入ってこないから10年やればトップになれる」と牛飼いを始めることを決意。? 牛飼いなら宮崎に行こう、とは思ったが、都城は本場で隙がない、延岡市は旭化成の町だし、畜産の離農者が多いと聞いたのでチャンスがある、と延岡市を選んだ次第とのこと 縁も所縁もない土地で牛飼いを始める、という畜産業界を知っていれば「清水の舞台」的な行動を進め、離農した鶏舎で2頭の繁殖雌牛を飼うことから始まったのが、「鏡山牧場」の初手だった。もちろん、繁殖経営など初めてで、ユーチューブを「先生」に分娩に立ち会うようなことで苦労の連続。10アールのパドックで放牧を始めたものの経産牛を10数頭放した当日に脱走されるなど、散々な経験を重ねてきたそうだ。 ある日、延岡市内の観光牧場として有名な「鏡山牧場」(もともと農協が管理する育成牧場だった)が空いていると聞き、人と違うビジネスをしようと、標高650mに位置し、放牧地65ヘクタールを有する「鏡山牧場」を借りて「黒毛和牛経産牛の放牧肥育」を始めることとなった。 現在は、親子で100頭の黒毛和牛を放牧している(冬期間は牛舎内で牧草のロールサイレージを給与)。家畜市場で経産牛を購入し、出産可能な牛は繁殖を試みて子牛を生産し、繁殖利用が困難な牛は肥育に回すという飼育方法なので、子牛の販売収入と、経産牛の牛肉としての販売収入が「鏡山牧場」の売り上げとなる。 飼育管理は、生産担当として兄の秀則さんが牧場に常駐し、宮崎大学出身の女性獣医師2人が分娩管理等を担当。「牛恩計」の導入で発情・分娩感知を効率的に行うことで繁殖事故を大幅に削減できた。本日、プレゼンしていただいた和則さんは営業担当として、「放牧経産牛」の販売に飛び回っている 現在は、精肉より加工品(ローストビーフ、ビーフジャーキーなど)が主体だ。 鏡山牧場は傾斜地が多く、放牧地は野芝とススキが主体であり、生産性は低い。最も大きな悩みは、個体差が大きいことで、今日の牛肉の質が良くても、この次に提供できる牛肉の品質を保証できない。いっそのこと、牛一頭をまるごとミンチにするような事業も始めたいが、ロースやヒレまでミンチにすると、希望する販売単価が高すぎて、商売にならないのが悩ましい。 八崎さんのユーモアたっぷりのプレゼンを伺っていると、あまり苦労を感じないが、「黒毛和牛の経産放牧牛」というレアな商品を、加工、精肉として販売し、どのようにブランド確立していくのか、発展途上であると感じたが、八崎兄弟の「挑戦」は、今後の黒毛和種のみならず、日本の牛肉生産と土地利用に、新しい風を吹かす事業として大いに注目していきたいと思ったところである。

本日のメニュー

1 ウチモモの生ハム 〜ブレザオラ〜

ビーフジャーキー(鏡山牧場さんの差し入れ)

2 チョップドサラダ

3 内モモのローストビーフ

4 サーロインステーキ

5 出来たてソーセージ

6 ネックとすね肉のハンバーグ

7 ランプの炭火焼き

8 USHIISOBA


今日のお肉は8歳の黒毛和種経産牛。2年間の放牧肥育。格付けはC2。枝肉重量237kg。

「出来たてソーセージ」の出来たて


参考文献

セブンイレブンにて『金格コロッケ 牛醤入り』販売開始!

¥268(税別)

“カリッ、ふわ、トロ”

揚げたてのカリッとした軽やかな食感、ハンバーグとジャガイモ、そして牛醤の甘く芳しい香りがふわっと鼻を抜け、中身のとろりとした口当たりが良いコロッケです。


食材のこだわり

●挽肉
厳選した国産牛と旨みが凝縮された脂が特徴の岩手のブランド豚「白金豚」を絶妙なバランスで合わせた挽肉を使用。

●塩麹
めだかと共存する岩手の田んぼで収穫されためだか米にオリジナル麹菌「黎明平泉」を加えた米麹、そして岩手県の海岸部野田村の「のだ塩」を使用して作ったオール岩手の『塩麹』が、素材の旨みを引き立てます。どれも岩手県内の食材、酒蔵の協力でできた地域連携商品です。

●牛醤
お肉に向き合い究極のお肉を求め続けた結果、格之進がたどり着いたのが、黒毛和牛から創り出した調味料「牛醤(商標登録済み)」です。
岩手の老舗醤油メーカーの協力で完成した、牛肉のうま味がぎゅっとつまった牛醤が入っています。

●じゃがいも
北海道産のじゃがいもを使用。ニチレイの北海道工場は、コロッケを作るのに重要なじゃがいもが収穫できる生産地の近くに開設された工場。「金格コロッケ」は岩手の食材と北海道の食材を使い、フードマイレージを少なくし環境負荷の低減にも貢献しています。

どれも格之進独自のレシピ、オリジナル商品を使用し調味しています。

格之進の想い

今回のセブンイレブン、ニチレイ、格之進3社でアライアンスを組めたのは、格之進の事業テーマ(日本の食の未来を消費者と生産者と共にクリエイトする)が両社の思想とも重なるところがあったからだと思います。
また、セブンイレブンの安全で高品質な商品・サービスの提供、地域社会・国際社会との連携、持続可能な社会実現への貢献など、企業としての取り組みに共感したこと。
ニチレイの積極的な国産食材、地域内で生産された食料を使用するフードマイレージ(食料の量×輸送距離)を考慮した製品作りで、環境負荷を低減させることができる姿勢にも共感したからです。
日本の食を守り未来の食を応援することを目的に、3社の思いが繋がりあって実現した企画商品なのです。


格之進代表 千葉祐士

土佐・本川 献上 手箱きじ

要約

「第35回肉肉学会」のテーマは、高知県いの町「本川手箱きじ生産企業組合」の「手箱きじ」です。


稲見副理事長の挨拶で開会。


「本川手箱きじ生産企業組合」代表の山本周児さん

「手箱きじ生産企業組合」代表の山本周児さんは、もともとは地元の建設会社を経営されていましたが、農家が協同で経営していた「手箱きじ生産組合」が立ち行かなくなったため、地元の企業として「きじ生産」に取り組むことになったそうです。とはいえ、きじについては、全くの素人だったので、農家の方の技術を引き継ぐとともに、加工・販売方法等にも工夫を重ね、土佐藩時代に殿様に献上したという歴史ある「手箱きじ」としてブランド化を進めています。

「養殖きじ」の難しさは、きじそのものの生産効率が悪いことです。ブロイラーはもちろん、地鶏や豚よりも生産効率が劣ることから、牛肉生産並みの飼料効率となっています。また、鶏のように周年、卵を産むわけではない上に、出荷まで240日程度かかるので、春に生んだ卵を孵化、雛育成、成鳥として出荷するのは12月〜3月の限られた期間になります。現在、2年飼育する試みも始めています。

また、今回の「手箱きじ」では、「焼き鳥陀らく」の薮内孝志さんが、きじの「捌き」と「焼き」を担当してくださり、きじとブロイラー(鶏肉)との肉や骨、腱の付き方の違いなどを学ぶこともできました。

「総本家更科堀井」と「格之進」のコラボ企画は「USHISOBA」ならぬ「KIJISOBA」ですが、鴨とは異なるとはいえ、当然、きじ肉はそばに合いそう。あっさりスープに肉団子+更科の王道そばでした。


特別ゲスト「陀らく」の薮内孝志さん


〆の挨拶は藤井理事から。

学びの概要

ハロウィンの夜に開催された「第35回肉肉学会」のテーマは「土佐 本川『献上 手箱きじ』」。高知県いの町本川地区の「本川手箱きじ生産企業組合」代表の山本周児さんを迎えて、肉肉学会初めての「きじ」だ。
山本さんをお招きしたきっかけは、今年9月に原田理事長と、藤井理事、千葉事務局長が、原田理事長が活動している「熱中小学校」の高知県越知町で開催された「越知ぜよ!熱中塾」にお邪魔した際の山本さんとの出会い。

山本さんご自身は越知町の隣町いの町で養殖きじ「手箱きじ」を生産されているが、その熱い思いを語るために、越知町まで我々(肉肉学会トリオ)に会いに来て下さった。

その熱いハートにびびっと反応した肉肉学会トリオは、予定になかった「手箱きじ」見学ツアーを組み、山本さんの案内で山里に分け入り、綺麗な環境で飼育されるきじに対面して感動!ぜひ、肉肉学会のテーマとして取り上げようと準備してきたというわけだ。

きじというと野生であるジビエを想像される方が多いと思うが、「手箱きじ」は養殖きじ。日本での「養殖きじ」の生産者は少ないが、通常、食用と狩猟用の放鳥にされる「ニホンキジ」と食用の「コウライキジ」に大別される。コウライキジは在来のニホンキジがいない北海道と対馬以外では放鳥できないため、また、ニホンキジより体が大きいため食用が主体となる(コウライキジより体の大きい「シベリアキジ」を飼育している生産者もいるようだが詳細は不明)。

今回は、「陀らく」の薮内さんが手箱きじの捌きと焼きを担当してくださり、遠藤シェフとの共演が実現した。薮内さんは「陀らく」でホロホロ鳥を扱っているがが「全ての鳥を経験したい」と、今回、自身のお店を閉じてまで参加していただき感謝です!ブロイラーと手箱きじを解体しながらの薮内さんの語りを堪能できるという贅沢な経験!に参加者も大満足であった。

手箱きじが生産されるいの町本川地区は前述したように山懐に抱かれた自然豊かな山村で、約4000羽を飼育している。山本さんが語る手箱きじへのこだわりとは、
1.豊かな自然環境: 標高700mで寒暖の差が大きく、吉野川の源流に近い豊かで美味しい水に恵まれていることが健康なきじ飼育に結びつく。
2.放し飼い:ゆとりあるスペースで平飼いし、止まり木も設置して3次元利用。
3.こだわりの餌:配合飼料のほか、野菜や果物を給与することでミネラルバランスが良くなるほか、野菜の皮などを突っつくことでストレス解消になる。
4.細やかで熱い思い:ストレスが最大の敵なので、1年に1回砂の入れ替えをするなど、快適な環境に配慮。

このような飼育方法なので、手箱きじは、ブロイラーに比べ非常に生産効率が悪い。
例えば、
1. 飼育期間約240日1.2〜3kgで出荷。 5-6羽/平米の放し飼い。飼料要求率(1kgの増体に必要な飼料の量)は10(和牛11、ブロイラーは2以下)、
2. 孵化から出荷までの飼育が難しい(孵化率60%,育成率50%→商品化率30%)。

一方で、カロリーは鶏肉の半分、和牛の1/10でミネラルが多いという特徴がある。

本日のきじは240日飼育なので、ブロイラーの5倍弱の飼育期間を要している。
最初の料理は「鳥山'sコンビーフ」。これは特別提供の料理で、茨城や栃木のセブンイレブンで買える「コンビーフバーガー」の生みの親、鳥山雅庸さんが生産されるコンビーフ。セブンで買えない東京のお客さんのためのサービス。
2皿目は「レバーコンフィと砂ずりのフライ」。3皿目は「銀皮入りチョップドサラダ」。「銀皮」は「砂ずり」の皮。そして「HALLOWEENスープ」はカボチャのスープ。
そして、「陀らく」の薮内さんによる「きじ焼き4種」ハツ(ホースラディッシュ)、ムネ(スダチとゆず)、モモ(柿)、手羽(黒酢と醤油)。手羽一本、って鶏ではありえない。 遠藤シェフ渾身の「栗ごはんを詰めたきじロースト まるごと白芽芋のオーブン焼き」。「白芽芋」は、いの町特産の里芋のこと。
本日の「堀井格之進」のコラボそばは、当然「KIJISOBA」。きじの肉団子が入った更科そば。

本日のメニュー

レバーコンフィと砂ずりのフライ

銀皮入りチョップドサラダ

ハロウィンスープ

きじ4種焼き
ハツ(ホースラディッシュ)、ムネ(スダチとユズ)、モモ(柿)、手羽(黒酢と醤油)

栗ご飯を詰めたロースト まるごと白芽芋のオーブン焼き


カット前

きじ鍋

KIJISOBA



手箱きじとブロイラー(解体前と解体後)


山森野豚の肩ロースとロース



きじ焼きの串打ち


栗ご飯を詰めたきじ


参考


コウライキジ


手箱きじ養殖の様子


きじ焼きの串打ち


栗ご飯を詰めたきじ


「手箱きじ」の飼育舎


参考文献

きじトリオ(遠藤シェフ、山本理事長、薮内さん)

十勝しんむら牧場の山森野豚

要約

「第34回肉肉学会」のテーマは、北海道上士幌町の「十勝しんむら牧場」の放牧豚「山森野豚」です。


肉おじさんの挨拶で開会。

「十勝しんむら牧場」代表の新村浩隆さんは、原田理事長が以前からお付き合いのある酪農家で、北海道でも有数の「放牧酪農家」として知られています。そんな新村さんが、数年前から「放牧豚」の飼育を始められたことは、FBの投稿が豚とのツーショットばかりになっている様子で承知していた理事長が、今回のテーマとして「しんむら牧場の放牧豚」を選ばせていただきました。


「十勝しんむら牧場」代表の新村浩隆さん

新村さんは、乳牛と主体にヤギも飼い、豊かな牧草地で放牧経営と乳製品製造をされていますが、「豚がいることで新しい生態系」が生まれるのではないか、また、「美味しいベーコンが食べたかった」という思いで放牧豚の飼育をはじめ「山森野豚」というブランド名でハンバーグの加工やレストランへの卸売りなどをされています。

また、原田理事長から「豚コレラの現状と課題」についてプレゼンし、情報共有をしました。

昨年9月に発生して以来継続して感染が確認されている豚コレラは、外国人が持ち込んだ畜産物の残飯を食べた野生のイノシシが感染源となって、岐阜県や愛知県を中心に発生が続いています。今回の肉肉学会の直前には長野県や埼玉県でも発生しました。今後、ワクチンの使用等の課題についても説明がありました。

「総本家更科堀井」と「格之進」のコラボ企画は「USHISOBA」ならぬ「BUTASOBA」です。


BUTASOBAは総本家更科堀井の堀井良教代表


〆の挨拶は高岡特別顧問から。

学びの概要

1. 十勝しんむら牧場の放牧豚「山森野豚」の学び

北海道上士幌町の「十勝しんむら牧場」1代表の新村浩隆さんは、4代目の酪農家である。経営継承後、放牧酪農を目指し、時間をかけて現在の経営を造りあげてきた。「放牧酪農」は搾乳中の乳牛も含め、可能な限り牧草地に放牧することで、牧草から栄養分を取得し、穀物などの配合飼料の給与量を抑制するスタイルである。

牛に必要な栄養量を充足させるためには、牛舎内での「つなぎ飼育」あるいは「群飼育」により牛が食べる飼料の種類と量を計量的に把握できるシステムを取る方が確実である。このため、「近代的な酪農経営」を目指す過程で、放牧することは、「育成期」に牧草を飽食させて第4胃の発達と足腰の強さを養うために用いられたものの、最も栄養分が必要な搾乳中の牛を放牧する習慣は、我が国ではほとんど見られなくなっていた。

こうしたなかで、新村さんをはじめとする「放牧酪農グループ」は、相互に勉強会等を重ねるとともに、土壌分析や飼料分析による科学的データに基づいて、1頭あたり乳量をある程度維持しつつ、放牧による健康な牛づくりを実践してきた。

「放牧酪農グループ」のリーダー格である新村さんは、土〜草〜牛のバランスがとれた放牧経営を実現し、ミルクジャムなど乳製品の製造と併せて「十勝しんむら牧場」というブランドを造りあげている。

その新村さんが、なぜ、豚に注目したのか?本日のプレゼンで「乳牛や山羊がいることに加え、牧場に豚がいることで新しい生態系ができあがるのではないかと期待した」と動機を仰った。牧草地の周辺の森で豚を放牧することで、新村さんが目指してきた観光資源としての家畜・牧場、多角化による価値作りが、一層深みを増すということなのだろう。それ以上に「美味しいベーコンが食べたかった」ということが本音なのかも知れない。また、草原の豚と森の豚は生命力が違うとも仰る。普通の豚は生後6か月齢強でと畜されるが、しんむら牧場の放牧豚は1歳以上、大人になってから食用とする。今回の豚は、2歳近い豚で、生体重は一般の豚の2倍の200kgというから驚く。

新村さんが提唱する「お腹を満たす農業」→「美味しい農業」→「健康になる農業」という流れは、肉肉学会自体の学習テーマでもあり、「我が意を得たり」と考える参加者も多かったと思われる。

2. 豚コレラの現状と課題2

昨年9月9日に岐阜県で発生が確認された「豚コレラ」。その後、愛知県、三重県など感染が拡大している。イノシシの感染から豚への感染拡大が続き、終息が見えない状況になっている。都府県では、イノシシからの感染を懸念して、豚の放牧を禁止するあるいは自粛する動きも出ている。

「豚コレラ」はワクチンの使用で感染拡大を防止することができるが、なぜ、ワクチンの使用に踏み切れないのか、中国を席巻し、韓国でも発生が確認された「アフリカ豚コレラ」との関係は?など、今後の養豚生産・経営、豚肉需給を考える上で必要な情報を共有すべく、原田理事長がプレゼンした。

本日のメニュー

バラ肉角煮

パテ・ド・カンパーニュ食べ並べ(北の豚=山森野豚と南の豚=今帰仁アグー)

ほうれん草のシーザーサラダと背脂の脂かす

肩ロースのボイル、バラ肉のソテー、ウデ肉のソーセージ

骨付きロース肉のグリル

骨付きロース肉のグリル(カット前)

BUTASOBA

(メニュー外)ミルクジャムとスコーン


山森野豚の肩ロースとロース


山森野豚の骨付きロース


脚注

1 しんむら牧場の経営

2 豚コレラの現状と課題

参考文献

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