熟成肉の格之進

2022年10月19日 第53回肉肉学会の概要

全共新潟県代表・関さんの黒毛和牛と山古志闘牛100日熟成闘牛肉を食する

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山古志村の関さんは全共新潟代表であり闘牛文化を支える一貫経営農家

高岡さんの挨拶

第12回 全国和牛能力共進会鹿児島大会に新潟県を代表して出品された黒毛和牛一貫生産者の関克史さんは、山古志の伝統文化である「闘牛」の牛持ちであり「勢子」もされています。山古志の闘牛は我が国の闘牛で唯一「国指定重要無形民俗文化財」なのですが、肉牛農家を中心に自腹で維持している状況。闘牛は10〜15歳で更新されますが、去勢しない玉ちゃん付きだし硬いし、お肉としては二足三文。伝統維持のために少しでも利益を生みさせれば、と地元新潟の飲食業・イデアルの和田さんが100日間熟成で商品化、都内でも一軒のレストランで食べることができます(見島牛並みに不定期)。

今回の肉肉学会では、滅多に食べられない闘牛の熟成肉を食し、フードチェーンから排除されがちな闘牛肉を救う道を探るとともに、牛が生活と文化に根付いている山古志の生産者の営みを学びます。こうしたアプローチは「見島牛の学び」に近いのですが、いかんせん私も食べたことがない闘牛肉。なので、同じ山古志(というか新潟県でも)のNo.1生産者である関さんの黒毛和牛肉も味わうことで、バランスを取りたいw、と思います。この黒毛和牛が関さんが全共に出品された「怪物君」なのです。5年に一度の牛のオリンピック「第12回全国和牛能力共進会」の第8区(肉牛部門)」出品の「怪物君」と、年に数頭しか出荷されない山古志の「闘牛」のお肉を食べ並べた貴重な機会となりました。

関さんを囲んで(後ろは山古志闘牛の面綱


和田亮さん

最初に関克史さんのプレゼン。父の後を継いで一本立ちするまでの経緯と2004年に被災した中越地震の影響、完全一貫経営の良さと難しさ、伝統文化である闘牛を守る意気込みなど真摯に語ってくださいました。
そうした中越地震をめぐる貴重なエピソードをビデオとともに披露してくださったのが、テレビ東京時代に「田舎に泊まろう」をプロデュースされた大島信彦さん。2005年1月16日に放映された田中健二郎さんの山古志訪問レポートで、なんと!若き頃の関さんが奥さんと生まれたばかりの長女と登場!番組公式HPでは「続いて訪問したのは、前回の旅で闘牛を見せてくれた牛舎の親子だった。あいにくお父さんは仕事のため不在だったが、息子さんに会う事が出来た。地震で牛舎は倒壊し、飼っていた闘牛も死んでしまったという。それでも、再び山古志村で闘牛が見られるようにお父さんと共に頑張っていくという息子さん。決意を聞いて、田中は勇気を感じた」と紹介されてます。

関さんとの思い出を語る大島さん

大島信彦さん、心温まるお話、ありがとうございました。

ご家族が笑顔で写る、関さんのプレゼンの表紙。

続いて、今回の闘牛肉を熟成していただいた和田亮氏(イデアル代表)のお話し。

和田さんは、新潟市を中心に新潟の食文化の活性に事業に向き合っているイデアルの社長として、新潟県長岡市にある山古志闘牛文化を知ってもらうきっかけに何なるように現役を終えた闘牛の牛肉が生かされていないことに着目し、闘牛の牛肉を独自の熟成技術で可食可能な状態に整え商品化に挑戦をしています。精肉のほか、パストラミ、水餃子などの加工品も手がけています

この日のお肉は本当に特別です。まず10月初旬に鹿児島県で開催された、和牛のオリンピック「第12回全国和牛能力共進会」に新潟県代表で出品された「怪物君」。全共に出品されたお肉は競り落としたお肉屋さんの「看板商品」となりますが、肉おじさんがその一部を購入(清水の無事から飛び降りて捻挫したとの噂ですw)、参加者に供されました。私も全共出品牛を食べるなんて、滅多にない機会です。

関牧場を訪問したときの肉おじさんと「怪物君」

怪物君は、23か月齢(普通の去勢は平均28か月齢)という若齢ながら、生体重786kg、枝肉542.6、ロース芯97、バラ厚8.8、皮下脂肪1.9、歩留79.4、BMS12、A5、MUFA51.8、枝肉単価4160円/kg(神戸ビーフより高い!)という素晴らしい成績です。

並べた「闘牛肉」は2頭。「南部牛王」(16歳 黒毛×褐毛の交雑種)と「魚沼号」(12歳 和牛間交雑種)です。闘う姿も頼もしいですね。どちらも岩手県生まれ。岩手県は「塩の道」で運搬に利用した日本短角種の産地で、塩の道を通って山古志にたどり着いた牛をそのまま売って帰る(帰りは空荷になる)ことがあり、山古志の闘牛(岩手県の旧山形村も闘牛の里)の種まきをしてくれたのですね。「個体識別データ」のルール上、「黒毛×褐毛」交雑種はそのまま表記し、褐毛以外の牛との交雑(黒毛×短角種)などは「和牛間交雑種」と表記されます(どちらも食品表示のルールでは「和牛」と表示されます)。

なお、後日、あぶら兄弟(高橋勇会員)が当牛肉の脂肪酸組成を分析してくれたところ、オレイン酸が45、54という高い数値が出て驚きました。融点も低いですね。個体差が大きいのでこのデータのみではなんとも言えませんが、興味深い数値です。

今回の肉肉学会は帰米直前の外村仁さんが参戦されたので、フードテック関連の参加者も多数、ご紹介くださりました。そしてなんと!スペシャルなお土産として

・鈴廣かまぼこの「フィッシュプロテインバー」を全員お土産にいただきました。
・あの木村屋さんと日清食品がコラボした「完全めしあんぱん」をじゃんけんぽんで。

ステキなお土産ありがとうございました♪

外村仁さんと肉おじさん


鈴廣かまぼこさんが提供してくれたフィッシュプロテインバー

本日のメニュー

〇 サーロインの低温調理(南部牛王&魚沼号)

〇 黒毛和牛ランプとイチボの塊焼き

〇 サーロインステーキ(南部牛王&魚沼号)、ハンバーグ(南部牛王&魚沼号MIX)

〇 黒毛和牛サーロインステーキ

〇 うしそば(南部牛王&魚沼号MIX)


本日の闘牛肉のデータ。魚沼号は黒毛と短角の交雑だが「和牛間交雑と標記される


本日のサーロイン並べ


「怪物君」の格付成績。23ヶ月齢でここまで仕上げる技術に驚きます。

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