熟成肉の格之進

2023年9月19日 第64回肉肉学会の概要

『鳥山牧場の過去と現在と未来』 〜一貫生産国内流通海外輸出から見える和牛の未来について〜

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本日のゲスト、鳥山真さん(株式会社鳥山畜産代表)は第28回肉肉学会(2019年3月21日)に続き「肉肉学会」2度目の登場です。コロナ禍を挟んだ3年間の間にも、本日お話いただく輸出戦略を含め、進化を続けていらっしゃいます。まずは、鳥山社長からプレゼンをいただきました。

プレゼンする鳥山真さん

全日本・食学会高岡副理事長の挨拶

「株式会社鳥山畜産は祖父の代からの肉卸商としての歴史を持ち、鳥山真社長も家業として経営に参画したのですが、牛飼いとしての父(先代社長)が目利きで、牛を見る目では敵わないと思った。
そのため、自分は「牧場の外で考える」という目線に立つことにし、常に取引先や消費者、研究機関とともに自分たちの立ち位置を考えている。
現在の飼養規模は黒毛和種1400頭で、うち母牛400頭。母牛から生まれた子牛を肥育する一貫生産で、毎日生まれた子牛の一部を農家に販売し、それを肉牛として買い取って輸出することも実施している。
『美味しい、また食べたい』と消費者に言われる経営を目指すため、自分は「食の目線から生産を変えたい」と考えているが、いつも不思議に思うのは、生産者から「食べる」話が出てこないことで、食の目線を持っていない生産者が多いと思う。
生産部門である「有限会社鳥山牧場」の経営の変遷は、感覚的経営→仕組み経営→海外輸出→原点回帰と言える。
自分の原点として、経営参画してまもない日に「A5なのに美味しくない」という感想をもらった。その時に、自分自身が味見しながら売ってないことに気がついた。そこで、脂質の評価と赤身肉の評価を始めた。以来、集めたデータは脂肪酸組成7000、赤身6000にのぼる。
「美味しい」に結びつくデータを集積し和牛作りに還元することで「食べ続けられる和牛」を目指す。美味しさの境界値は、オレイン酸55、旨み3.5で、同じ環境、同じ飼料でもばらつきが出るが、どちらの数値もアップするベクトルを目指している
その美味しさの元は、牛の血統であり、自分たちは、雌牛のゲノム解析をして「最適な血統の組み合わせ」を実現しようとしている。自場の400頭の雌牛はゲノム評価済み。母牛の能力を予測し、種雄牛のゲノム評価と組み合わせ改良する。美味しいと感じる「脂質」を可視化することで、改良の可能性への挑戦をしている。
育種改良のあるべき姿=「三元交配」と考えて、現場では種雄牛の名でなく、記号化した交配を耳評に記して、従業員の誰もが交配内容を分かるようにしている。
更に、第三者認証(農場HACCP、JGAP)も取得している。
生産課程(プロセス)の価値向上のため、地元や新潟県と資源循環の取組みにも着手。稲わらと堆肥の交換(年間7000トンのふん尿を資源として活用)している。
高騰する飼料対策として、廃棄物の有効活用(エコフィード)にも取組み、味噌、コメ(米粉)、豆腐カス(子牛用)を飼料化。和食的な組み合わせで海外の方が喜んでくれる。
そうした様々な「美味しい牛肉つくり」の工夫が、味と脂肪のバランスがとれた「鳥山牧場の紡ぎ和牛」となり、海外輸出も増加している。海外輸出はロースだけではなく1頭売りを目指し、ドイツ、フランス、米国などに輸出している。

現在、肉牛生産で目指すのは「原点回帰」
それは「食と農の現実」と向き合うこと。
円安で飼料暴騰。経営環境は厳しい。生産者は自ら食べて学ぶべし。
そうした課題解決のために「競争から協奏」が重要だと思う。
鳥山牛は、美味しさの指針でありたい。そのために、データも共有し、「食べ続けられる和牛」を提供していきたいと考えている」。

■鳥山社長プレゼン資料の一部




サーロイン

本日のメニュー

〇 センマイとハチノスのホルモン炒め

〇 サーロインステーキ

〇 リブカブリとリブマキの焼き肉

〇 グリーンサラダ

〇 レバーカツ

〇 ランプとハツの低温調理

〇 リブ芯のバター焼き丼

〇 小腸のスープ

・ランプとサーロイン 29ヶ月齢雌
・リブロース  28ヶ月齢雌

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