海と山のミネラル 牡蠣と熟成肉を楽しむ :格之進F
2017年2月16日(木)
この日は「47fish」様主催で、牡蠣と門崎熟成肉を楽しむイベントが格之進Fで開催されました。

今回は佐賀県有明の生食専用「海男」の殻付き牡蠣を思う存分楽しめるということで、会場には牡蠣を愛する総勢36名の方々にお集り頂きました。
「海男」の牡蠣とは、有明海にしか生息していない天然牡蠣です。
有明海は海と山の栄養がとても豊かな世界有数の天然牡蠣の宝庫であり、「海男」の牡蠣は、その海で最適な養殖方法で育てられた唯一無二の牡蠣なのです。
まずは、「ふわふわ」「有明」「セッカ」の食べ比べからスタートです!
「ふわふわ」は名前の通りふわふわした食感であっさりした味わいです。
「有明」はこの中でもっとも小さいが、プリッとした食感で味もマイルドなのが特徴です。
「セッカ」はとてもワイルドで強い風味がある希少品種で、これを生食で提供できるのは「海男」さんだけなのです!


そしてなんといっても世界一美味いと称される「おとふせ」。
とても小ぶりながら、そのしっかりとした食感と濃厚な甘みが魅力です。
旨みがぎゅっと凝縮した「海男」さんの牡蠣と格之進のハンバーグや熟成肉の塊焼きとのコラボは、まさに海と山が出会った相乗効果で、参加した皆様もうなる美味しさ!


「海男」の牡蠣の生産者梅津氏の想い
「海男」の牡蠣の生産者梅津氏はこう語ります。
『牡蠣は日本を、世界を救う』
幼いころから有明海で遊び、そして育った梅津氏は、豊かだった有明海が乱獲などの問題で疲弊し、漁師さんが漁業で生計を立てられなくなっていくのを目の当たりにし、考えに考えて辿り着いたものが「牡蠣」だったのです。
牡蠣は、乱れた海の生態系を健全化します。
元々世界有数の天然牡蠣の宝庫である有明海で、美味しく、安心・安全な牡蠣を作ることにより、海が蘇り、漁師さんも生き生きと働くことができ、そして消費者の方々に喜んで食べてもらえる。
格之進の理念も「日本の食と農の未来を生産者と消費者でデザインする」です。
6次産業の世界一を目指す弊社は、今回のような同じ志をお持ちの方々に、ブランド力のある食材の生産者とそれを食べる消費者をつなぐ場として格之進のレストランを利用していただき、実は食べるという「消費活動」が生産者への「投資活動」であることを一人でも多くの人たちに伝えてもらいたいと考えております。
格之進は、生産者と消費者を繋ぎ、かけがえのない日本の食を未来へと繋ぐ、そのようなイベントを応援します!
今後も貸切イベントについてお声かけいただければ、格之進のスタッフが一緒にプランを考えさせていただきます。 ぜひ、お気軽にご相談ください。
店名 | 肉屋 格之進 F (ニクヤカクノシン エフ) |
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電話・ご予約 | 03-3505-0298 |
営業時間 | 平日:11:00〜15:00(ラストオーダー 14:00) / 17:00〜23:00(ラストオーダー 22:00) 土日祝:11:00〜15:00(ラストオーダー 14:00) / 17:00〜22:00(ラストオーダー 21:00) |
定休日 | 不定休 |
所在地 | 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワーB1F |
アクセス | 六本木一丁目駅3出口から、徒歩で約1分。 六本木駅5出口から、徒歩で約9分 |
【第9回肉肉学会】今帰仁アグーを学ぶ:格之進Neuf
2017年2月1日(水)
格之進はお肉に真剣に向き合い、「お肉の価値を引き上げること」を大切にしております。
そんな格之進の代表千葉が開く肉肉学会も今回で9回目。
格之進の肉肉学会は、全日本・食学会の肉料理部会分科会に認定され、日頃のお肉の研究活動の発表の場にもさせて頂いております。

今帰仁アグーとは
現在、アグーといえば沖縄のブランド豚として広く知られるようになりましたが、その原種のほとんど全てのアグー豚は、在来種の島豚に西洋改良品種を掛け合わせたものであり、それに対し「今帰仁アグー」は琉球在来種の遺伝子を頑なに守り続けている唯一の豚なのです。
見た目の特徴としては、
- 全身が黒い毛で覆われている
- 背中が大きく凹んでいる
- 後ろの蹄が地に着いている
など、他のアグー豚にないアジア系の在来豚と同じような特徴を多く持っています。
味の特徴としては、
- 一般的な豚と比べ旨み成分であるアミノ酸の量が多い
- 一般的な豚と比べコレステロールが少ない
- 筋繊維は非常に細くそして弾力があるので、噛んだ時にとても柔らかくサクッと切れる感じ。
- 脂の融点が低いため非常に甘みが強く、そして胃腸にもやさしい
高田氏には今帰仁アグーとアグー豚の違いについて科学的に分析した内容を説明して頂いたり、世界各地域の豚と日本の豚の違いや歴史について、スライドを交えて詳しく教えていただきました。

およそ1時間の高田氏のお話はとても分かりやすく面白いので、参加者の方々も空腹を忘れ聞き入っていました。

ハーブ豚と今帰仁アグーが机に並べられ、椎骨の本数の違いなどを皆様で確認していただきました。
そして今帰仁アグーの解体ショーの始まりです。

解体された脂身を参加者の方々に実際に触ってもらって脂の融点の低さを体験していただいたり、希少部位や牛との違いの説明など、皆様にとても興味深く見学していただきました。





お客様からは以下のような感想をいただきました。
「癖のないトロリとした脂のハーブ豚に比べ、今帰仁アグーの脂は存在感のある味わいで、これは本当に豚の脂なのか?と思った。」
「美味しさや流通の為に改良された豚とは全く違う、在来の野性味のある味わいを感じた。」
「格之進でいつも食べる熟成肉の塊焼きとはまた違う、豚の味わいの深さに感動した。」
「種を守ることは食を守ること、そして後世に繋ぐこと。」
「素材は同じでも料理人の力量によってその味は変化する。今回の料理は今帰仁アグーの性質を理解して丁寧な仕事をしていると思う。」
「食べることで種の保存を そして沖縄在来豚の今帰仁アグーを未来へつなぐ」
高田勝氏の理念は、食べるという消費活動は生産者への投資活動であり、かけがえのない日本の食を私たちの子孫へつないでいきたいという格之進の理念と通じるものがあります。
格之進の肉肉学会の活動は、多くの方にお肉のことを知ってもらい、お肉に真剣に向き合った結果格之進が熟成肉にたどり着いたように、お肉全体の付加価値を上げ、業界全体を繁栄させていくことに繋げていきたいという想いを込めて実施しています。
今後もこのような活動をさらに広めていきたいと考えています。
店名 | 格之進 Neuf (カクノシン ヌッフ) |
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電話・ご予約 | 03-6459-2235 |
営業時間 | 18:00〜23:00(ラストオーダー 21:00) |
定休日 | 日曜日 |
所在地 | 東京都港区六本木7-17-19 FLEG六本木 Second 2F |
アクセス | 地下鉄 日比谷線 六本木駅2出口から、徒歩で3分。 |
赤身肉に付加価値をつける「熟成」
熟成肉、熟成肉と今ではいろいろなところで耳にしますが、熟成肉というワードが、一般的になったのは2009年、静岡でいち早くドライエイジングの肉に取り組んだ「さの萬」の佐野佳治社長が「日本ドライエイジング普及協会」を立ち上げた頃からだと思います。
ニューヨークでは、30年ほど前からドライエイジングの手法が確立され、高級ビーフとして認知されており、その手法を佐野社長が日本に持ち込み、今の熟成肉ブームのきっかけを作ったと言ってもいいでしょう。

ニューヨークのドライエイジングは、アンガス牛の霜降りですが、前回も書いたように和牛の霜降りでは脂が多すぎて適さない。
そのため、「さの萬」さんでも、赤身の多い肉やホルスタイン、経産牛をドライエイジングしています。
そもそも熟成肉は、水分が飛び元の肉の2割ほど減量され、まわりについたカビなどを取り除き、トリミングし掃除をするので、結局元の半分くらいの肉量になってしまいます。
だから高値になってしまうのですが、ふくよかな味わい(旨味はなんと元の6倍とも!)、香ばしい香り、やわらかな食感という付加価値がつくのですから、食肉を扱うものとしては魅力的な技法でもあります。
特に、日本では比較的安価な、ホルスタインや経産牛にも付加価値をつけることができるので、生産農家、食肉業者にもよい還元ができるのではないでしょうか。
和牛と言えば、たっぷりの霜降り肉がどうしても市場では高値がつきます。
けれど霜が少ない肉は、等級も低くなかなかいい値がつかない。
だから、せっかく育てた生産者が悲鳴をあげることもあります。
仔牛の値段は高騰し、飼料代、施設費もかかり効率の悪い職業になっているのが和牛肥育農家です。

でも、枯らし熟成では、赤身多めの和牛のほうがよいので、積極的に買い付けることができ、農家の方にとっても有意義な熟成テクニックだと私は思います。
熟成牛は、時間も手間もかかります。
けれど、和牛にさらなる付加価値をつけることができます。
私たち業者は、熟成肉をより多くの人に食べていただくことで、和牛のおいしさとともに、和牛農家のサステナビリティ(継続性)の大切さも伝えなければいけないと考えています。
これが、「格之進」の味を支える生産者への還元になればとてもうれしいことです。
だから私は、和牛に、そして枯らし熟成肉にこだわるのです。
ドライエイジングとウエットエイジング

ここ数年の熟成肉ブームで、肉を数日寝かせて提供するお店が増えてきました。
実は熟成肉に公式な定義はありません。けれど、私の知る限り技法として4種類あります。
1つ目は、「格之進」のお肉でも採用している日本の伝統技法“枯らし熟成”(詳しくは、前回のコラムを読んでください)。
2つ目は、アメリカから上陸した“ドライエイジング”。
3つ目は、真空パックして保存する“ウェットエイジング”。
4つ目は、チーズやヨーグルトなど乳酸菌を付着して熟成させる”乳酸菌熟成”。
ニューヨークから上陸したチルド状態(0〜1℃)の冷蔵庫内で風を循環させながら乾燥熟成する技法、ドライエイジング。アンガス牛のように歯ごたえのある赤身の肉を熟成することで、やわらかくナッツのような香ばしい香りのお肉に仕上げてくれる素晴らしいテクニックです。

アメリカでは、アンガス牛の霜降りの部位のみドライエイジングにかけると言われていますが、その脂の量は和牛とは比べものにならず、A2クラスのお肉です。
私も過去何度もドライエイジングにトライしてみましたが、和牛の霜降り肉は、脂肪が多いのであまり適さず、おいしく仕上げることはできませんでした。
けれど、和牛でも脂の少ない赤身肉、肉が固くなってしまった経産牛(出産経験のある牛、主に乳牛)には効果的で、やわらかく、うま味をアップさせることができるとわかりました。
ウエットエイジングは、もともとは輸送の際の肉の劣化を防ぐため、保存のための方法。
それが、肉を数日寝かせると肉質がやわらかくなり、うま味が増すことがわかり、ウエットエイジングと呼ばれるようになったのです。
けれど、元々保存が目的なので、お肉はやわらかくなるのですが、うま味はドライエイジング、枯らし熟成と比べると、それほどアップするわけではありません。また、熟成香もありません。まして、お店に経験と知識がないと、熟成と劣化の区別がつかないこともあるので、注意しなければいけません。
私は、基本ウエットエイジングは保存と考え、「格之進R」では、枯らし熟成した肉を、その状態をキープするためにウエットエイジングを採用しています。 一言で「熟成」と言っても、いろいろ、状態もさまざま。これをわかって味わってもらえれば、より熟成肉の味わいを楽しめると思います。
日本の伝統技法、枯らし熟成
今年、平成29年は、ニクの年。
肉を扱う「格之進」としては、より肉、和牛の魅力について発信していかないといけない年と思っています。
そこで、これから定期的に肉コラムをみなさまに配信していくことにしました。ご一読頂けましたら幸いです。
さてまずは、「格之進」の味を支える熟成肉のお話から。

「格之進」の牛肉は、“枯らし”という日本の伝統的な肉の熟成方法を行っています。
牛肉の半身(一頭買いとは、半身2本分)をすぐに解体せず、一定温度の冷蔵庫に入れ、4週間ほど保管します。
海外では、特定の部位(リブロース、サーロイン、ヒレのロインセット)を骨つきで、風を扇風機等を使用して強制的循環させながら乾燥させますが、日本の熟成は、枝肉(=半身)のままただ吊るすのです。
この「枯らす」行為で、程よく水分が抜け、旨みがまし、和牛の至福香と言われる“和牛香”がより芳醇になるのです。時の流れがおいしさを作るというわけです。
この枯らし熟成は、牛肉を長期間保存し、ロスなくお肉を提供するために考えられた技法です。
私は、牛を売買する“馬喰郎=家畜商”の家に生まれましたが、家業を継がず一般企業に就職したのち脱サラで飲食業を始めたいわゆる素人でしたので、こんな素晴らしい技法が開業当初よりあることを知りませんでした。
枯らし熟成は、70年代頃まではいろいろな小売店で行われていたそうです(熟成という言葉を使い出したのはここ数年)。けれど、作業効率が悪く、手間がかかり、利益率が悪い状態でした。
その中で真空パックが普及し、牛肉の流通距離も延び効率化を求めるようになったため、枯らしの工程は行われなくなり、今では希少な技法となってしまったのです。
「格之進」の肉は、2002年からすべて枯らし熟成の牛肉です。
そして、熟成=時が肉の味を変えることに気づいた私は、もっともっと和牛を極めるべく、肉の変態(和牛業界の常識を変革する人)へと化していくのでした。
全日本・食学会定例会:KABCO
2017年1月30日(月)
KABCOにて全日本・食学会の定例会が開催されました。

全日本・食学会の皆様は、50年後、100年後の自分たちの子孫が、今と変わらぬ素晴らしい日本の食生活を送ってもらうために、どのようにしてこの食文化を伝え、維持し、発展させていくのかを真剣にお考えになっている方々です。
さらに今回は食学会の皆様の他に、大変豪華な方々をゲストに迎え、総勢27名の方々にお集まりいただきました。
全日本・食学会HP
まずは全日本・食学会の学会員でもある代表の千葉から、ここKABCOのピザ窯を改良して作成したオリジナルの肉窯を食のスペシャリストである諸先輩方々に見ていただき、熟成肉を肉窯で焼くことによって食材に残った水分量の違いで、味にどのような違いがでるか? 香りに違いが出るか?
を感じて頂きたいという熱い想いが語られました。
KABCOオリジナルの肉窯とは、輻射熱のみでストレス無く食材に火を入れることが可能であり、熟成肉の美味しさを最大限に生かすために作られた窯です。
これにより水分を逃がさず香りを引き立て甘さを増幅させることができるのです。

オリジナルの肉窯とスチコン、二種類の焼き方を比べる
肉窯とスチコンで調理した根菜と希少部位の塊焼き食べ比べが行われました。


それぞれを食べ比べたお客様の声
「塩の量変えてる?」
「同じです。熟成肉の違いはありません。調理法の違いだけです。」(千葉代表)
「熟成肉の味が全然違う!」
「塩分が柔らかく感じる」
「水分量の違いか?」
「肉窯による熱の対流によるものか?」
などなど侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が飛び交い、KABCOの肉窯を大勢の方々が見学しながら話し合っている姿を目の当たりにし、食について様々な角度から考える方々の集まりということがビンビン伝わってきました!
また、この日はTV東京のカンブリア宮殿の撮影も入っており、学会員の皆様もインタビューに熱心に答えておりました。
「私は料理人としての十二分の修行を積んだわけでもなく、まだまだ勉強不足の人間です。
お肉のカット方法や、焼き方というシンプルなものに関しては、ある程度のベースは持っていると思いますが、料理というステージについては本当に分からないことが多いです。
和食、中華、フレンチ、イタリアンなどの先輩方に、お肉の未知の可能性について教えて頂きながら、自分の領域を広げ、そしてそれをお客様に楽しんでもらえたら嬉しいです。」
と代表の千葉は語ります。
今後も貸切イベントについてお声かけいただければ、格之進のスタッフが一緒にプランを考えさせていただきます。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
店名 | KABCO (カブコ) |
---|---|
電話・ご予約 | 03-6277-8229 |
営業時間 | 18:00〜23:00(ラストオーダー 21:00) |
定休日 | 日曜日 |
所在地 | 東京都港区六本木3-1-25 六本木グランドプラザ3F |
アクセス | 六本木一丁目駅1出口から、徒歩で約3分。 六本木駅5出口から、徒歩で約6分。 |
新春熟成肉解体ショー:格之進R
2017年1月28日(土)

次々に解体されていくお肉。

解体後に皆さんにクイズが出題されました。
「9.2kgのお肉から筋と油は何kg取れたでしょうか?」 (1)2kg台 (2)3kg台 (3)4kg台 正解は2.9kg(約32%)で(1)でした! 正解されたお客様には、お帰りに牛筋のお土産が贈られました。


美味しいお肉が皆さんのお腹に入ったのは3時間後…
「美味しい!」「幸せ!」などの言葉は当然ですが、こんな言葉も頂きました。- 牛という生き物への感謝
- 生産者への感謝
- 震災はまだ終わっていない
- 自分たちに何ができるか
- 消費活動は投資活動