熟成肉の格之進

2018年10月30日 第23回肉肉学会の概要

「TOKYO X」と「たんぽぽ牧場放牧ジャージー牛」

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第23回肉肉学会の概要

「宮崎県小林市産のアン黒とチーズのマリアージュ」と「USHISOBA」

「TOKYOX」のブランド化推進役の植村光一郎さん

「第23回肉肉学会」のテーマは「TOKYO X(トウキョウX)」と「たんぽぽ牧場放牧ジャージー牛」。
「TOKYO X」は東京都畜産試験場で系統造成された「合成品種」で、北京黒豚、バークシャー(黒豚)、デュロックの3品種を基礎に育種改良され、「TOKYO X Association」がブランド化した豚肉です。2020年の東京オリパラが近づいているなか、東京産の食材に大きな注目が集まっており、東京生まれのブランド豚肉として焦点をあてました。

今日は、「TOKYO X Association」の前会長植村光一郎さんに、TOKYO Xの誕生からブランド化までの戦略を伺い、新会長の石井さんにもご挨拶していただきました。

植村さんの後任会長・石井高洋さん

「たんぽぽ牧場放牧ジャージー牛」は北海道別海町の酪農家・加藤忠昭さんが自場で生まれたジャージー種の去勢牛を放牧中心育てた31か月齢の牛です。この牛は現在進行中の「シェフ牛事業」と同様の飼育方法で育てられたので、「シェフ牛」の前哨戦として味わいました。
なお、恒例の「USHISOBA研究会(堀井格之進)」は、堀井さんのフランス出張に伴い休止となりましたが、「TOKYO Xのハムサンド」と〆にいただきました。

今回も、「肉肉学会」として一層の科学的な味の知見を集積するという観点から「ポストディッシュ」方式による「官能評価」を実施しました。

高岡さんと牛おじさん

学びの概要

TOKYO X

「TOKYO X」は「北京黒豚」「バークシャー(黒豚)」「デュロック」の3種類を基礎豚とする「合成豚」1。バークシャーやデュロックは他のブランド豚でも活用しているが、「北京黒豚」を系統の基礎豚にしている国産豚は他に例がない。「北京黒豚」は肉質が良く脂肪の質の評価が高く脂肪交雑が入りやすい特徴をもっています。バークシャーもデュロックも脂肪交雑が入りやすい品種なので、TOKYO Xは系統造成当初から脂肪交雑を重視した、豚肉としては珍しい戦略をもっていたといえます(現在は、農林水産省が定める「家畜改良増殖目標」で豚においても脂肪交雑を重点目標にしています)。TOKYO Xは開発時に脂肪交雑率5.0を達成していました。

そのように開発した「TOKYO X」を販売していくための戦略として、「東京SaBAQ」2という理念を打ち出しました。「Safety」=安全性、「Biotic」=本来の生命の力を活かす、「Animal welfare」=快適な環境の中で育てる、「Quality」=品質・美味しさ優先で改良した豚を意味しているそうです。 また、TOKYO Xは豚では珍しい「トレーサビリティ」が可能なブランドです。アルファベットと4〜5桁の数字の組み合わせで個体ごとにトレース可能な仕組みを構築し、PCでも検索できるようになっています。

植村さんからは、ブランド立ち上げから現在に至るまでの苦労話を伺いつつ、バスク豚やマンガリッツァ豚など世界の名豚との交流まで幅広いお話しを伺うことができました。

放牧ジャージー牛

「シェフ牛試食会」での加藤忠昭さん

今日の牛肉は、たんぽぽ牧場で生まれ育った31か月齢のジャージー種去勢牛。31か月齢とはいえ、ジャージー種&放牧主体ゆえ枝肉重量は261 kgと小ぶりな牛です。この牛は5月頃から昼夜放牧を行い、冬期間は配合飼料を1日当たり1kg程度、一番草のロールサイレージを1週間当たり1個程度給与して育てた、まさに「草育ち」の牛です。(有)たんぽぽ牧場は加藤忠昭さんが経営する酪農牧場で、搾乳牛170 頭、育成牛100 頭を有する家族経営の法人です。搾乳牛のうちジャージーが60頭程度いて、去勢は「自家消費」目的で年に2頭程度、放牧肥育しているそうです。

この牛が、本日美味しくいただいた放牧ジャージー牛です。

実はこの肉は、「シェフと支える放牧肉用牛生産体系確立事業」3の「調理法検討試食会」で供されたものと同じもので、格之進で30日間熟成されたものです。ただ、「シェフ牛試食会」ではモモ肉の各部位を提供しましたが、「肉肉学会」ではウデ肉、モモ肉(かめのこ)のほかサーロインも用いました。

本日のメニュー

● シンシンのポトフ(ウデ肉)(写真1)
〇 ビアシンケンのサラダ(肩ロース・ヒレ)(写真2)
〇 あらびきソーセージ(肩ロース)(写真3)
〇 ポークチャップ/ポークソテー(ロース)(写真4)
● サーロインステーキ/カメノコステーキ(写真5)
〇 ハムサンド(モモ肉)(写真6)

● 放牧ジャージー牛
〇 TOKYO X

参考文献

TOKYO X生産組合HP株式会社ミートコンパニオンHP全日本・食学会HP(シェフと支える放牧牛肉生産体系確立事業調理法検討試食会)たんぽぽ牧場物語FB格之進HP

脚注

1 合成豚

我が国で一般的な豚肉は、いわゆる「三元交配」で肥育豚(コマーシャル豚)が生産されており、その際の基礎となる豚は、ランドレース、大ヨークシャー、デュロック、バークシャーなど繁殖性や肉質を考慮して荒廃されたもの。それに対して「合成豚」とは数種の豚の品種を組み合わせ「閉鎖群」で育種して系統をつくり、その種豚からコマーシャル豚を生産するもの。外国ではオランダ産の「ハイポ-」などがあり日本でも利用されている。斉一性が増すが、閉鎖群のため、十分な規模を確保しないと近郊係数が高まり繁殖成績が低下するなどの弊害がある。 

2 「東京SaBAQ」

前川清の「東京砂漠」をもじったものだが、「東京砂漠」を知らない世代が増え、通用しない場合も。

3 「シェフと支える放牧肉用牛生産体系確立事業」

全日本・食学会がJRAの助成を受けて実施(下図参照)

写真

1 ジャージー「シンシン」のポトフ

 

2 TOKYOX「パテドカンパーニュ」

3 TOKYOX「ビアシンケンのサラダ」(肩ロース・ヒレ)

 

4 TOKYOX「あらびきソーセージ」(肩ロース)

5 ポークチャップ(ロース)・ポークソテー(ロース)

 

6 サーロインステーキ・カメノコステーキ

7 TOKYOXハムサンド(モモ肉)

 

   

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