2024年5月20日 第71回肉肉学会の概要
「肉おじさん52年の人生初!〜ミルキングショートホーンを食べる会〜」〜磯沼正徳氏の牛にかける夢の実現〜
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2024年5月20日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第71回肉肉学会のテーマは、『肉おじさん52年の人生初!!ミルキングショートホーンを食べる会〜磯沼正徳氏の牛にかける夢の実現!』です。
肉肉学会では、過去に様々な牛の品種を取り上げてきました。乳用種では、ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイス、ガンジー、エアシャーをいただいてきましたが、ついに、ミルキングショートホーンの登場です。
ミルキングショートホーンは、イギリスで造られたショートホーンから枝分かれした搾乳用の品種です。
牛への愛に溢れる磯沼さん
「全日本・食学会」の
「88ビーフ」で磯沼さんと
協力した高岡顧問の挨拶
高岡努さんの「あぶらのじかん」
イギリスのほか、欧州各国、米国でも飼養されていますが、我が国では「日本短角種」の改良に利用されたものの、乳牛としてはレアな存在です。そんなミルキングショートホーンに出会えたのは「7つの品種を飼う日本で唯一の酪農家」磯沼ミルクファームさんのおかげです。
磯沼さんが、ミルキングショートホーンの最初の受精卵をホルスタインを借り腹にして生産し、育て上げたのが「ミルキー」ちゃん。3産しましたが、どうしても受胎できなくなり、経産牛肥育として半年ほど飼い直し、78ヶ月齢で出荷されました。
磯沼さんの話は次のようなものです。
「酪農を始めた時に、生乳の生産調整にあたり、自由に搾れない、乳価も上がらないという苦境だった。
また、牧場がある地域は多くの東京都内の牧場同様、市街化区域にあり、農業を続けることも難しい環境で、「追い出される」政策が取られていた。
そんな状況の時に、農業研修をオーストラリアで行う機会があった。豪州の酪農を初めて経験したが、ヨーロッパからの移民の国なので、故郷から持ってきた様々な乳牛品種を飼っており、農業フェアなどで自慢し合うお国柄。ホルスタインしか知らない自分には刺激的だった。
日本に帰っても、当時の酪農は、乳業の生産部門のようで、自分の経営を裁量する余地がない。このため、自らの乳製品を製造しようと、ヨーグルトに合うジャージーを導入してヨーグルト製造を始めた。
次いで、タンパク質の多いブラウンスイスでチーズを製造するなど、製造に見合った品種を導入した。
いつか7品種を飼う牧場にすると言ってきたので、それを実現するため国内の他の牧場からガンジー購入するなど頑張ったが、国内では手に入らないエアシャー、ミルキングショートホーン、モンペリアルドを海外からの受精卵輸入で確保し、7品種を実現した。
今日はミルキングショートホーンを食べてもらうが、自分は、生乳生産を終えた牛も肉牛として食べることで命を全うさせてあげたいと思うし、自分の体にいただきたいと思う。そういう意味で「牛恩」を感じながら日々、牛を育てている。実はミルキングショートホーンを食べるのは自分も初めてなので楽しみにしている。」
今日のミルキングショートホーンは、78ヶ月齢の経産牛(3産)。干し草を自由採食、肥育用配合飼料の他、野菜工場から毎日引き取るキャベツの外皮、パイナップル外皮、メロン皮などエコフィードも給与し、ゆったり育てられたそうです。
原田理事長からは、ミルキングショートホーンの世界的な位置づけや日本短角種の改良に用いられた歴史、本種も含めた多様な牛の生産利用の在り方などのプレゼンがありました。
原田理事長のプレゼン資料
また、太陽油脂株式会社の高橋努さん(脂兄弟)から、過去の磯沼ミルクファーム産のジャージーを例に、脂肪酸組成や融点の測定結果について報告いただきました。
高橋努さんのプレゼン資料
本日のメニュー
〇サーロインステーキ フレッシュパイナップル添え
〇ハツのソテー MIXグリーンサラダ
かあさん牛のおくりものジャージー飲むヨーグルトドレッシング
〇ランプのローストビーフ
〇イチボのグリルとすね肉のハナバーグ
〇ミルキングショートホーンのホエー煮込みのパスタ
粗挽きマッシュポテトとラクレットチーズ
〇かあさん牛のおくりものジャージーヨーグルトのクレームダンジュ
遠藤シェフとサーロイン
イチボ