2022年9月2日 第51回肉肉学会の概要
天然記念物 見島牛、見蘭牛、黒毛和牛の食べ並べ
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見島牛と見蘭牛
今回のテーマは「見島牛」です。「第31回肉肉学会(2019年6月26日)でも取り上げたことがありますが、今回は、見島牛、見蘭牛(ホルスタイン×見島牛)、黒毛和牛(岩手県産)を食べ並べました。
見島牛は、朝鮮半島渡来の牛で、他の地域の牛たちが外国種との交配により「改良」されていく中で、トカラ列島の「口之島牛」と見島牛だけが、外国種の血が(遺伝子が)入っていない「在来種」という、我が国の古来の牛の姿を残す貴重な品種です。このため、見島牛は、昭和3年に天然記念物に指定され、食用に供さない役牛としてのみ使われてきました(口之島牛は、「野良牛」として野生化おり、人間の暮らしとの接点がありません)。ただ、天然記念物の指定は「見島ウシ産地」として土地とバインドしているため、見島から出る牛(種牛用に見島に残す以外の雄=去勢牛、廃用牛)は食べることができます。萩市内の食肉店「みどりや」さんは、永く、この島外に出た見島牛を肥育・販売することで、見島牛の維持を経済的に支えてきました。
見島牛は「肉牛」としては、大変非効率で、経済的にペイするものではありませんし、去勢で年間10頭程度の出荷に過ぎない、超希少種です。このため、みどりやさんは、近隣の酪農家と連携して、乳牛のホルスタインに見島牛を交配した「見蘭牛」を肥育することで見島牛のサシ&肉質を生かした牛肉を生産しています。
見島牛は、和牛の原点なのに、「和牛」と定義される4品種(黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種)ではないため、販売時に「和牛」と表示することができません。このため、外国種と同様「肉専用種」と表示するしかないのです。このような矛盾を抱えながらも、この素晴らしい血統を維持し、更に活用するにはどうしたら良いか、参加者と議論し、3種の牛肉の特徴を味わい、とても素晴らしい肉肉学会でした。
また、この日は、「あぶら兄弟」こと高橋勇さんが、見島牛と他の品種との脂肪酸組成を比較したデータを説明してくださいました。見島牛のオレイン酸含有量の高さ、融点の低さが際立っていることが分かります。
原田理事長のプレゼンの一部
本日のメニュー
〇 カイノミステーキ(見島牛)
〇 シャルキュトリ盛り合わせ
〇 サラダ
〇 ランプのローストビーフ(見島牛)
〇 サーロインステーキ食べ並べ(見島牛、見蘭牛、黒毛和牛)
〇 堀井格之進 丑蕎麦