山の上放牧場の挑戦「鳥海山と湖を望む放牧地の景観と共に『山』と『牛』と『人』との調和の取れた関係へ」

2025年4月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
【 第82回肉肉学会/上の山放牧場の放牧経産牛】
今日は、秋田県にかほ市・上の山放牧場の渡邊強さんをお招きしました。
タイトルは、上の山放牧場の挑戦「鳥海山と湖を望む 放牧地の景観と共に〜『山』と『牛』と『人』との調和の取れた関係へ〜」
長いですね。もう、タイトルのマンマです。
昨秋、原田理事長と千葉社長は、秋田県にかほ市の上の山放牧場にお邪魔しました。それはもう素晴らしい体験です。そのことを皆さんにお伝えしたくて、主催者の渡邊強さんに来ていただきました。
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渡邊さんは、1999年生まれの農家3代目。お父さんは牛も飼っていましたが稲作農家という感じで、渡邊さんは2017 和牛農家で2年間研修して、繁殖牛10頭、牧草地10ha 引き継ぎました。誰も使わずに荒れ果てていた「上の山放牧場」で繁殖雌牛を放牧し、2021年から、放牧経産牛の販売を開始しました。
上の山放牧場は40haもの面積があり、にかほ市の土地を借りて繁殖農家で共同利用していましたが、渡邊さんを除き離農してしまったので、現在では渡邊さんとだけが利用しています。とはいえ、荒れ果てた放牧地は、牛が食べられる草も減り、一歩間違えれば迷ったり熊に出会ったりするような土地で、放牧利用することも簡単ではありません。
渡邊さんは、放牧経産牛を始めた思いについて
「経産牛は黒毛和牛の母牛で、10年以上放牧で育った牛のみ販売しています。
飼料は9割以上が牧草で、自分にとっての経産牛は、放牧場を共に守っていくパートナーです。今日のお肉は「すすき」という13歳の雌牛で血統的には但馬系を中心とした素晴らしい素質があると思います。
放牧経産牛の肉質は、放牧しているので赤身であり、長く生きるので味が濃く、草の栄養素が肉に溶け込んでいると思っています。日本の牛肉生産は外国からの飼料に依存しています。牛肉の需要を賄うためにはそれが悪いわけではありません。しかし、一方で、外国に依存しない牛肉生産を目指すことも大切です。
ただ、上の山放牧場は、共同で利用していた当時と比べ、現在は灌木やワラビが侵入するなど荒れて、牛の食べる草もなくなってきています。上の山放牧場にはイヌワシ2羽も生息していますが、草原ならイヌワシもエサを捕獲できるが、灌木が増えるとそれも難しくなります。牛だけでは放牧場は維持できないので、人の手が必要であり、クラファンを始めた理由でもあります。」
渡邊さんは、ただこの放牧場を利用するだけでなく、「消費者に牛肉を買ってもらうことで、どう未来が変わるのか」ということも、お客様からも求められるのではないかと考えたそうです。そして、「牛肉の消費の枠を超えた体験の提供をする」という放牧場でのBBQイベントなどを始めました。
何もしないと放牧場は年々、荒れていきます。BBQを地域のイベントとして盛り上げ、シェフとのディナーイベントなどを通じて、「放牧経産牛」による「100年続く牧場、肉用牛生産」を目指しています。
渡邊さんとは肉肉学会が開催されてこの日からMakuakeによるクラファンを始めました。 肉肉学会の参加者の皆さんにも大いに応援していただいて、共に「100年続く牧場作り」を目指したいと思います。
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渡邊さんのプレゼンの一部

肉おじさん、牛おじさんの
上の山放牧場訪問の圖(2024年10月)




本日のメニュー
シャルキュトリの盛り合わせ

ランプとイチボ ローストビーフ食べ並べ

ソトモモ タリアータサラダ

ウチモモ ステーキ・ハンバーグ

バラ肉のトマト煮込み

〆の牛丼


今日の牛:
「すすき」 黒毛和牛 雌
平成23年7月25日生まれ 14歳
父:安福久
母の父:勝忠平
祖母の父:美津福
・上の山放牧場(makuakeクラファン)→100年続く畜産を目指して。秋田の秘境・上の山放牧場を未来につなぐプロジェクト!|マクアケ - アタラシイものや体験の応援購入サービス
・格之進→熟成肉の格之進 (kakunosh.in)
ルビア・ガジェーガを、学ぶ「肉の目利きの巨匠 マルヨシ商事の”黄金の牛”の展開」
2025年3月24日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第81回肉肉学会のテーマは、「世界一のお肉と評されるルビア・ガジェーガ(RUBIA GALLEGAを学ぶ 肉の目利きの巨匠マルヨシ商事の”黄金の牛”の展開」です。
2015年に公開された映画「ステーキ・レボリューション」では世界一の牛肉と評されたルビア・ガジェーガ(Rubia gallega)。ルビア・ガジェーガ牛とはスペイン北西部のガリシア州固有の品種です。
主に食肉用で、ドライエージング向けに肥育されており、この品種のみから生産される肉です。大西洋に面した同州の豊かな牧草地で7〜14年と長期放牧され大きく成長、成熟した牛の平均体重は約1tにも及ぶそうです。
被毛は金色がかっており、その毛色からルビア=スペイン語で「金髪の女性」とガリシア州を指す「ガジェーガ」の名を冠した「黄金の牛」ともいわれているのです。
2023年7月にスペインから輸入される牛肉の月齢条件が撤廃されたため(それまでは30ヶ月齢以下)、日本でも本場のルビア・ガジェーガを食べられるようになりました。
今回のお肉の輸入者は、食肉輸入の専門商社「インターノブ株式会社」ですが、国内販売をマルヨシ商事さんが引き受けて下さっています。
マルヨシ商事の平井良承社長(マルヨシ商事)からご挨拶いただきました。
マルヨシ商事の平井良承社長の挨拶
「弊社は黒毛和牛の未経産を生業としていますが、牛肉の多様性も重要と考えており、日本短角種など様々な品種も扱っています。それらは利益がでるものではないので、ビジネスというより、自分の趣味の世界かも知れません。
ルビア・ガジェーガ牛もインポーター会社が一生懸命紹介するので、取り組んでみたものです。これも利益にはなりませんが、弊社が間に入って日本に紹介する役割を担えれば、との思いで取り組んでいます。」
そのインターポーター「インターノブ社」の中谷誠吾セールスマネージャーの説明。
インターノブ・中谷誠吾セールスマネージャー
「ルビア・ガジェーガは、スペイン・ガルシア地方の固有の品種でルビア(RUBIA)は「金髪」、ガジェーガ(GALLEGA)は「ガリシア産」を意味します。映画「ステーキ・レボリューション」で世界一の美味しさと評され有名になった牛肉です。
本種は食肉用として生産されますが、基本は経産牛で、5年歳以上の牛がほとんどです。雄は子牛のうちに「子牛肉」として食用に供されています。
ガリシア地方はスペイン南部と異なり牧草地が広がる牛の飼養に適した地域で、周年・昼間放牧で、夜間は牛舎に入れられて、とうもろこやし麦類など穀物も給与されています。
肉としては赤身が売りなのですが、サシも入り、黄色い脂に仕上げる牛肉ですので、和牛では経験できない味かと思います。
とはいえ、肉は硬いので、現地で骨付きのまま45日以上の長期熟成をし、現地でカットして真空冷凍パックで輸入されています。とにかく、食べていただければ、肉が語ると思います。」
<及川シェフの説明>
「自分が扱った初めてのお肉で、柔らかいと思います。
噛み締めると熟成香が感じられると思います。ステーキはこれから焼くので、ソースつけるか迷っているところです。
前菜は格之進のシャルキュトリ。
ルビア・ガジェーガは全てサーロイン。ローストビーフは厚めにカットし、クレソンなど肉に負けない野菜と三良坂フロマージュのハードチーズ(花籠)も贅沢なカットでオンしました。
ステーキにはアスパラガスほか春野菜も添え、ミートソースまでサーロインという贅沢さを楽しんでほしい。」
本日のメニュー
●前菜:シャルキュトリ
●ローストビーフサラダ
●ポリートミスト サルサヴェルデ添えとスープ
●ステーキ 菜の花とホワイトアスパラガス
●ペンネボロネーゼ
●パンナコッタ ベリーのソース
純粋金華豚「創業60周年を越えた平田牧場の思想に学ぶ」
2025年2月25日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第80回肉肉学会のテーマは「金華豚」。副題は「六次化の草分けであり三元豚を発明した創業60周年を超えた平田牧場の思想に学ぶ」と長いですが、まさにそのとおり、歴史のある山形県酒田市の平田牧場さんが主役です。
金華豚は、中国浙江省原産の品種で、皮が薄く、脂肪分が多く、肉質が柔らかいという特徴を持ち、独特の生ハム「金華火腿」の原料として有名です。中国から導入された金華豚を飼育する牧場は日本で3カ所と言われており、現在では金華豚飼養の最大手が平田牧場となっています。
その平田牧場からは茂木専務と新田さん、玉貫さんが来てくれました。茂木専務のお話。
茂木専務さん、玉貫さん、新田さん
「平田牧場のコンセプトは、「健康な豚は美味しい」から「健康な豚を育てる」です。そのための「平牧アクション」として「環境と豚を一緒に作る」を実現しています。
昨年創業60年間を迎えた平田牧場は、先代社長が2頭の養豚から始めたもの。先代社長は代々の米農家だったので、親からは「養豚などはまかりならん、規模拡大は許さん」と厳しい反応。そのため、奥さんの実家で田んぼをつぶして養豚場を開設したそうです。
その後は養豚道をまっしぐら。中国から原種豚を導入したり、米の生産調整下、水田を守り、輸入飼料に依存しない国産飼料自給のために豚の飼料に米を入れる「飼料米プロジェクト」を始めたり、6次化の先駆けとして自ら加工品生産を始めたり、イバラの道を歩んできました。
その間、独自の品種開発を進め、LWD(ランドレース×大ヨークシャー×デュロック)の三元豚を開発、更に黒豚(バークシャー)を止めオスとしたLDB(ランドレース×デュロック×バークシャー)も開発しました。三元豚の開発は1981年、中国から様々な品種を導入して、1988年に輸入した金華豚(オス3、メス10)から、金華豚(K)を止めオスにした「平田牧場金華豚LDK」(ランドレース×デュロック×金華豚)を2004年に完成し、現在、「純粋金華豚」を加えた5つのブランド豚を展開しています。純粋金華豚は脂肪交雑が入りやすく、豚の脂肪交雑基準の最高ランクのNo6が4割出ます。
現在の出荷頭数は年間145,000頭。金華豚純粋無種(KK)は北海道と山形で飼養しています。もともと、山形だけだったのですが、豚熱対応としてリスク分散のため北海道でも飼育することになったのです。
流通としては、ダイエーと取引していたところ安売りを求められ、縁を切ったことで直販せざるを得ない状況に追い込まれたとのですが、生活クラブ生協との取引があったことで持ち直すことができました。
飼料の国産自給率を上げるため、いち早く飼料米を利用し、配合割合も35〜45%と高いことが特徴です(原田注:たぶん日本一)。いわゆる「令和の米騒動」で米の価格上がっていますが、近年の米価格が安すぎたので、ある意味、昔の価格に戻っただけとも言えると思います。平田牧場の豚は1年換算で人の5倍の米を食べています。今年は米不足ということで主食米が増えるので(飼料米仕向けが減ることから)豚への給与量維持が難しくなると見込んでいます。
また、国産子実とうもろこしの利用も進めていて、北海道の豚は道内の米と子実とうもろこしで自給できる水準となっています。
外食小売事業の他にも、酒田市内の料亭文化を守るために「相馬楼」を維持するなど、地域が元気になる活動を行っています。平田牧場という名称は、新田社長が生まれた旧平田町に由来しており、地域を大切にする思いが社名にも込められていると言えます。」
高岡顧問の挨拶
続いて、遠藤シェフの感想も頂きました。
遠藤シェフ
「とにかく”小さい豚”という印象。触った感じ、肉を混ぜた感じでは、融点高いという印象を持ったが、調理するとくどくないサラッとした感じで、脂の粒子がどうなのか分からないが不思議に感じた。また、塩が入り易い肉質かなと感じた。純粋な金華豚を触るチャンスはなかなかないので貴重経験だった。」
遠藤シェフのメニュー説明
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●金華豚のシャルキュトリ
もも肉のボイルハム&豚足のゼリー寄せ
●金華豚のシャルキュトリ
焼きたてパテドカンパーニュ
●グリーンサラダ バラ肉のベーコン
●肩ロースのローストとソーセージ ジャガイモのピュレ
●塩漬けバラ肉の煮込み
●骨付きロースカツ
●プルドポークオーバーライス
伊賀牛の郷「忍者和牛 くノ一参上」
2025年1月22日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第79回肉肉学会は「伊賀牛」をテーマに、伊賀牛の最大の生産者である中林牧場の中林真一郎さんをスピーカーにお迎えしました。以下、中林さんのお話。
中林真一郎さん
「中林牧場は、三重県伊賀市にある本場で400頭の肥育牛、宮崎県児湯郡の支場で100頭の繁殖牛を飼養していますが、繁殖〜肥育の一貫経営ではなく、宮崎の牧場で生産した子牛は全頭、地元の家畜市場へ出荷し、伊賀市の本場では近隣の家畜市場から雌だけの肥育素牛を導入しています。
宮崎県から子牛を伊賀に移動しないで地元の市場に出荷するのは、本場が雌牛肥育をしているので、雌子牛だけ本場へ移動させるより、全頭、地元に出荷して地域との関係を良くしたいということと、宮崎の従業員にとっても地元での販売が励みになると考えるためです。
伊賀市の肥育牛舎は開放牛舎にしており、牛の健康、盆地の寒暖差に慣れさせるという意味でも有効だと思っています。
本場の作業は家族のみで行い、宮崎は4名の従業員で頑張っています。
伊賀地方では、昔から牛肉を食べる習慣があります。実は10年前まで土葬をしていたのですが、葬式には「柏椀」を食べる風習がありました。柏椀は、本来は鶏肉なのですが、実際は牛肉を食べていたというくらい、伊賀では牛肉を食べ続けていたようです。
昭和30年代に「伊賀牛」が誕生し、当時の生産組合は6名から始まりましたが、当時の農家で残っているのは中林だけとなっています。
伊賀では、庭先取引、つまり生産者の牛舎で生体販売をしており、現在は日本でもここだけの習慣だと思います。生体取引は、枝肉での格付け前に、肉屋が農家で牛に触り雑談しながら情報収集して、生産者が希望売値を伝えて肉屋と価格交渉する習慣です。値段が合わない場合は売りませんが、肉屋も折れるのでほぼほぼ成立します。それは、枝肉取引に比べ、肉屋にとっても、枝肉重量を生体重の60%の計算(通常は64%)できること、内臓も個体識別して肉屋のものになることなどのメリットがあり、win-winの関係となっているからです。
こうした肉屋と農家の関係が成り立つのも、牛肉の9割が地域内消費だからと言えます。伊賀市内の狭い地域に9軒の肉屋がかたまっているので、消費者は自分好みのお店を選んで、時にはハシゴもするくらいの親密な関係です。「牛肉は専門店で買う」ということが、が当たり前の地域なのです。
BSEの時(2001年)でも地元の人は伊賀牛を食べてくれました。そんな経験から、自分は、同じ三重県のブランドである「松阪牛」に追いつき追い越せではなく、伊賀牛を地元の人に食べてもらいたいという思いになったのです。
また、BSEをきっかけに制度化された個体識別によりABL融資(動産担保)が可能になったため、経営が容易になりました。これは父(中林正悦氏)が永らく役員を務めていた「全国肉牛事業協同組合」の働きが大きかったと言えます。
宮崎県での口蹄疫発生の際(2010年)に、中林牧場で感染牛は出なかったのに、ワクチン接種したため、660頭を殺処分するという、従業員にとっても辛い経験もしました。
この時も口蹄疫の終息宣言後、農場HACCPを取得し、防疫体制の整備と食品安全の意識を徹底するなど、ピンチをチャンスに切り替えたて乗り越えてきました。
今後も地域密着型の生産を目指したいと考えています。
今日の牛肉は、消費者と一緒に築いた、伊賀の地域が好む牛肉の味となっていると思います」。
高岡顧問の挨拶
続いて、遠藤シェフの感想も頂きました。
「思った以上にサシがあり、触ってみて融点低いと思った。
メニューとしては、あまり火入れをしていないお肉からスタートし、ランプステーキはカリッと仕上げた。
イチボは脂を落としながら焼くつもり。
スープをとったあとのスジと端材で牛肉100%のハンバーグも。
サーロインは火入れしっかり焼こうかなと思っている」
遠藤シェフのメニュー説明
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●イチボとランプの食べ並べ
タリアータと湯引き
●ランプ肉ステーキ にんじんピューレ
●大根とお米のビーフスープ
●イチボのグリル シャリアピンソース
●牛スジ入りハンバーグステーキ
サーロインステーキ
寒締めほうれん草ソテー
●すね肉のパンネトマトシチュー
サーロイン
・中林牧場→有限会社 中林牧場 伊賀牛
・格之進→熟成肉の格之進 (kakunosh.in)
「肉肉忘肉会SP」〜高岡さんの炊くすき焼きでUMAMIWAGYUを食べて2024年を振り返りましょう〜
2024年12月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第78回肉肉学会は、年末恒例の「忘年会」ということで、今年の肉肉学会でテーマとして取り上げさせていただいたお肉のオンパレード祭り!
最初に原田理事長から、1年を振り返るスライド発表があり、あとは、お料理ごとに取り上げたお肉の生産者さんに説明していただくという豪華ラインナップ
■1皿目
・「純但馬オリーブ牛サーロインローストビーフ」
> 山種易産業×一牛神
> 調理担当:森由樹博氏(補助:遠藤雅)
> お肉の説明:倉山建造氏
> お肉=サーロイン
倉山建造さんと森由樹博さん
■2皿目
・「左草ブラウンスイス ブレザオラ」
> 佐草ブラウンスイス牧場×格之進
・「臼福水産大西洋クロマグロ赤身&中トロ刺身」
> クロマグロの説明:藤岡健彦氏
藤岡健彦さん
■3皿目
・「ピュアサホーク種ホゲット ショルダーミート串焼き」
> アンブロジア「Kinjyoサフォーク・ホゲット」×遠藤シェフ
> お肉の説明:金城誠氏
金城誠さん
■4皿目
・「足利マール牛アッシパルマンティエ」
> 長谷川農場×遠藤シェフ
> お肉の説明:長谷川紀子氏
> お肉=ひき肉
長谷川紀子さん
■5皿目
・「大摩楼むね肉サラダ(低温調理)」
> かしわ・鶏刺し専門店大摩楼×遠藤シェフ
> お肉の説明:松山欣浩氏
> お肉=胸肉
松山欣浩さん
■6皿目
・「UMAMIWAGYUすき焼き」
> 鳥山畜産×人形町今半
> 「UMAMIWAGYU」鳥山畜産
> 「すき焼き鍋」「割下」「お麩」「白滝」人形町今半
> 調理担当:高岡哲郎氏
> お肉の説明:鳥山真氏
> お肉=サーロイン
森由樹博さんと鳥山真さん
■7皿目
・「EcoPorkヒレカツ」
> EcoPork×格之進
> お肉=ヒレ肉
+
・「メンチカツ」
> 山種畜産×くれーじーみーと
> 「〇〇コ〇〇〇〇〇〇〇」取り上げられたメンチカツを熱々で!
> 調理担当:森由樹博氏
> メンチカツの説明:森由樹博
> お肉=メンチカツ
高岡さんと坂口勝三さん
■8皿目
・「サスティナブル和牛熟ステーキグリル」熟豊ファーム×格之進
> 「サスティナブル和牛熟」熟豊ファーム
> お肉の説明:石飛修平氏
> お肉=サーロイン
石飛修平さんと肉おじさん
肉を焼く遠藤シェフ
■9皿目
・「牛越蕎麦」
> 更科堀井×格之進ハンバーグ
集合写真
生産者勉強会
本日のお料理
●純但馬オリーブ牛サーロインローストビーフ
●左草ブラウンスイス ブレザオラ、臼福水産大西洋クロマグロ
●ピュアサフォークホゲット アロスティーニ

●足利マール牛アッシパルマンティエ
●大摩桜 むね肉 低温調理サラダ仕立て
●鳥山畜産UMAMIWAGYUすき焼き
●Eco-Porkヒレカツ くれーじーみーとメンチカツ
●サスティナブル和牛熟 サーロインステーキ
●ハンバーグ蕎麦
「ブラウンスイスの伝道師〜肉っ玉かあさんの乳肉複合経営」
2024年11月22日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第77回肉肉学会は、ブラウンスイスの伝道師〜肉っ玉かあさんの乳肉複合経営〜」と題して、岩手県西和賀町の「左草ブラウンスイス牧場」藤田 春恵さんをお招きしました。
藤田春恵さんは、雪深い山村、岩手県西和賀町の酪農家ですが、最近はミルクの話ではなく自ら育てる「ブラウンスイス」の牛肉の話ばかりFBに投稿されています。
藤田春恵さん |
和田理事の挨拶 |
酪農家の娘に生まれ夫は会社員。ご両親の年齢を考えると、いつか1人で牛を飼う、という事態に備えて放牧中心の酪農経営を進めています。そのためホルスタインから放牧に適したブラウンスイスへの切り替えを進めているのですが、ブラウンスイスは乳肉兼用種なので肉としては美味しいのにホルスタインに比べて肉向けの子牛の価格が安いのです。そこで、自らブラウンスイスのお肉としての価値を付与するため、2019年に「左草ブラウンスイス牧場」を立ち上げました。
実は、肉肉学会の親団体「全日本・食学会」は以前、取り組んだ「シェフ牛事業」で藤田さんのブラウンスイスの子牛を放牧肥育で育てるというチャレンジもしました。
|
藤田さんは、自ら育てたブラウンスイスの去勢牛と経産牛を精肉だけでなくシャルキュトリに加工もしています。精肉は地元のレストランのほかEC販売、学校給食への提供などにより「ブラウンスイスは美味しい!」と言われるように、ブレずに牛歩でも一直線の道を進んでいます。
そんな藤田さんのプレゼンテーマは「ブラウンスイスと歩む テロワールまであと牛歩」です。
2020年にシャルキュトリ職人と出会ってから、本格的な加工食品作りを目指し、左草ブラウンスイス牧場を菅原牧場とは独立した事業者として設立し、菅原牧場から経産牛と去勢を購入して左草ブラウンスイス牧場で肥育するという形態をとっています。
その左草ブラウンスイス牧場の事業は大きく4つの柱となっています。
-
- 子牛の買上げ(菅原牧場から相場より高値で)
- 肥育した牛の部分肉製造
- 小売、学校給食への供給
- シャルキュトリ製造 です。
肉肉学会直前の今年11月1日 からはシャルキュトリと惣菜、精肉の製造免許が揃い、肉の事業を正式に3本柱として展開することが可能になりました。
そのため、左草ブラウンスイス牧場の全体的な経営戦略として、
- ブラウンスイスを知ってもらう(SNSの活用)
- 放牧を取り入れた飼育方法(肥育も)
- 岩手大学との共同研究(放牧牛肉の学術的な機能性の証明など)
により、「このお肉でいい」というお客様に買ってもらうこと。
更に、 - 子ども達に地元のお肉を知ってもらうため、学校給食への提供を年間8回計80kgほど、更に保育園にも10kgほどを供給。
- 地域の多様な事業者と協力していい街つくり。西和賀町は田舎だけど、個性的で面白い若者が増えてきている。こうした町内の若い人たちと、「このままでは町がなくなる」という危機感を共有し「賑やかな過疎」を目指した地域作りを行っている。
もうひとつの柱、酪農家である菅原牧場の経営目標としては、両親の加齢を前提に、女性一人でも出来る作業体系作りを心がけている。
このため、頭数規模を縮小し、放牧適性の高いブラウンスイス中心に切り替えていくとともに、規模を縮小しても経営が成り立つ「乳・肉の活用」を積極的に進めて行くことにしている。
地域の人や消費者の皆さんとの緩やかな人とのつながりを大切にして、「小さくて強い酪農」を目指したい。
ブラウンスイスの肉牛については、2025年から10頭/年の出荷を目標に頑張っていきます。」
と力強い言葉で締めくくって下さいました。
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●オーガニックグラスフェッドビーフの自家製コンビーフ 門崎熟成肉の自家製ブレザオーラ
*前回の肉肉学会「鈴木牧場産オーガニックグラスフェッドビーフ」を使用
●ウデサンカクのローストビーフサラダ
●牛スジ大根スープ

●ミスジグリル 牛そぼろ入りマッシュポテト
●ハンバーグステーキとサーロインステーキ
●ウワミスジの焼き肉丼

今日の「オーガニックグラスフェッドビーフ」は、交雑種(ホル×和牛)のメス。
出荷月齢は44.2ヶ月齢。
ブロック肉と遠藤シェフ
サーロイン
参考文献
左草ブラウンスイス牧場
熟成肉の格之進 (kakunosh.in)
「完全オーガニックグラスフェッドビーフ〜鈴木牧場のテロワールの世界〜」
2024年10月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第76回肉肉学会は、「完全オーガニックグラスフェッドビーフ〜鈴木牧場のミート&ミルクのテロワールの世界」と題して、北海道広尾町「鈴木牧場」の鈴木敏文さんに来て頂きました。
鈴木牧場さんへは、肉おじさんと原田理事長が今年の2月に訪問しています。その際、酪農家の鈴木さんが、乳牛と同様にオーガニック牧草で自家産の去勢牛を肥育していることを知り、いつかはこのお肉を肉肉学会で、密かに狙っていたものです。
高岡顧の挨拶のあと、鈴木さんにプレゼンしていただきました。
「父の代からの酪農経営なので、肉については、自分が育てた牛はどんな味がするのか、と興味があって肥育も始めた。
小さい頃は酪農が嫌いだった。両親の苦労している姿だけを見ていたので、牛の手伝いをしたくないから剣道に打ち込んだ。
大学くらいは畜産系へと親に言われ帯畜へ進んだが、卒業後は、まだ両親も若く家で働く必要もなかったので、両親の勧めもあって米国でファーム修行。
帰国しても自分の出る幕がなかったので、牧場仕事は手伝わず、ドラ息子だった。
ただ、その頃は、牛の病気がすごく多くて牛全体の免疫が下がる、サルモネラ症が発生したことが経営的にも痛手で、それを機会にいろいろ考えるようになったところ、女性獣医師(今の妻)から「予防に勝る治療なし」との言葉を聞き、またダーウィンの「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化に対応できる者である」との言葉を知り、経営の見直しをした。
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最初の目標を「乾乳期の飼養管理改善」「畜舎衛生」「カウコンフォート」「良質粗飼料生産」におき、モーレツに勉強した結果、獣医師のお世話になることがほとんどなくなった。
更に一歩踏み込んで「野生のエゾシカから自然に寄り添うこと」を学び、堆肥作り、土づくり、循環型酪農に取り組むことにした。
十勝にあるくず豆、そば殻、昆布など規格外農産物等を資源として利用する堆肥づくりで、化学肥料、農薬をゼロに。
マメ科牧草は播種しなくても生えてきたので、穀物飼料、牛用サプリメントなどをゼロに。
牧草は4番まで収穫 早刈りでTDN、タンパク質が高く、穀物飼料が必要なくなった。
2021年に国内唯一の「生乳・牛肉・鶏卵
JASオーガニック認証を同時取得」し、
2022年に有機加工食品(乳加工室 生乳 牛乳)
取得したことで、「有機飼料・農産物・畜産物・加工食品」の4規格取得した。
オーガニック認証では穀物とデントコーンは認められるが使いたくないので、日本で第1号のグラスフェッド認証もとった(日本グラスフェッド規格認証2023年)。
結果として、現在は放牧と牧草だけで牛を飼っている。病気はほぼなく、事故死もほぼゼロ。
広尾町の海水を煮詰めて製造した塩は、半分を牛に、半分を人間に。牛が喜んで食べる。
今日の「オーガニックグラスフェッドビーフ」は、交雑種(ホル×和牛)のメス。出荷月齢は44.2ヶ月齢。
プレゼン資料の一部



本日のメニュー
●トーマダイワ 牛スジのカナッペ

●ウチモモの低温調理 ローストビーフ

●ウチモモの高温調理 牛カツ

●MIXサラダ
●トモスネのポトフ

●ハンバーグステーキ サーロインステーキ

●サンカクバラの丸ごとBBQ ピタパンサンド

●カボチャプリン

今日の「オーガニックグラスフェッドビーフ」は、交雑種(ホル×和牛)のメス。
出荷月齢は44.2ヶ月齢。
ブロック肉と遠藤シェフ
サーロイン
ダイワファームのセミハードチーズ
トーマダイワ(原田理事長の持ち込み)
参考文献
鈴木牧場(命を育むー北海道・広尾 鈴木牧場 - hiroo-suzukifarm ページ!)
熟成肉の格之進 (kakunosh.in)
「里山牛〜放牧・完全自給粗飼料給与の美味しいグラスフェッドを目指して〜」
2024年9月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
今回の肉肉学会は、「鹿児島黒牛」のメッカ・鹿児島県志布志市で「放牧・完全自給粗飼料」による和牛肉生産に挑戦する「株式会社さかうえ」さんに学びました。
株式会社さかうえからは坂上隆社長と中川営業部長にお越し頂きました。
まずは、坂上社長のお話。
「約700人の地主から200haを借りて農業生産。自分が就農しようとした頃は、農地価格が4万円/10aだったが、最近では2万円。農業を継ごうと思ったら親に反対されたくらい、先行きがないと思われていた。
自分は、剣道8段を目指して頑張っているが、そうした中で、自然の中で暮らす、普遍的なものを見たいという心境に至り、農業を始めた。
農業によって、心穏やかで移ろいゆく自然を大事にする意識が芽生える。
就農当初は、ある意味、部活の乗りできついのは当たり前、これを乗り越えればとの気持ちで頑張ってきた。現在は従業員200人、売上20億円になったが、売上100億円の組織を目指したい。
当社の幹部は全国から集まった若人で、彼らに「(当社を選んで)いい選択をした」と思ってもらいたい。
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千葉さんも仰っていた「持続的な経営」は、自然と調和した形で、生き物のエネルギーを最大限に活かす、大地のエネルギーを集約する農業を目指すことだと思う。
「里山牛」は、時流の農業には乗らない。
最初のと畜はコロナ禍の最中で牛肉一般の価格が下がっていたため、買い叩かれそうだった。なので、自分で枝肉を買い取り、精肉にしてカット販売したが、全て YouTubeで勉強した。
当社は、最適化と最大化の軸を「サステナブルの実現」として捉えるようにしている。
放牧と自家産のデントコーンで100%国産の飼料で育て、牛が自由で放牧地を飛び回る牧場になっている。その牛たちのエネルギーを、食べることでいただく、ということだ。
「里山牛」というブランドネーミングは若い幹部の命名。「グラスフェッド」「牧草牛」とかも考えたが、当社のコンセプトとはちょっと違う感じがした。地方で仕事を作ることが多様性のために大事であり、地方再生の思いも込めたネーミングになったと思う。
最初10頭の牛を導入したが、どう飼うかもわからない。当時、既に集落に3軒しか残ってない中で、当社が牛飼いとして入ったら喜ばれた。そのうち、近所のおじいちゃんが牛の監視係となり、分娩の発見も地域の人がやってくれるくらいの関係になった。牛肉部門は今年で1.5億円くらいの売上だが、更に伸ばしていきたい。」
肥育する牛の導入は、家畜市場で経産牛を購入し、種がついた1/3くらいは繁殖雌牛として再利用し、残りは放牧肥育し、生体重600〜650kgくらいで出荷します。自場で生まれた未経産も32か月齢くらいまで放牧肥育して出荷することも考えていますが、経営とブランドの軸は経産牛だと考えているそうです。素人集団の牛飼いがここまで来られたのは、牛飼いを始めてすぐに2020年のコロナ禍に直面し、一般の黒毛和牛自体が売れず、放牧経産牛は二足三文と業者に言われたことから、と畜だけして坂上社長と中川部長とで肉を捌くことでカットも学んだそうです。当初、心配していた獣医師もびっくりするほど健康的で好成績な生産体制を築き、飼養頭数は多い時で200頭、現在は140〜150ほどで月10頭程度の出荷ペースだとか。
精肉の販売は、BtoCがほとんど。オンラインや生協、タベチョクさんなどのルートもあり、ブランド展開上、スーパーなどへの販売は考えてないけど、精肉以外であれば加工度を上げて、利益率の確保を考えて行く必要があるとのことです。
プレゼン資料の一部




本日のメニュー
●生ピーマンの肉みそカナッペ

●ランプのタリアータ サラダ仕立て

●ピーマンと牛肉の春巻き

●イチボのグリル

●ランプのローストビーフのファヒータ

●サーロインステーキ

●ミートボールスパゲッティ

●ココナッツのブラマンジュ パイナップルソース

里山牛イチボと遠藤シェフ
サフォークホゲットのお肉
参考文献
「羊肉の至高を追求して!金城羊肉から学ぶ羊肉の世界」 〜サフォークホゲット・ミルクフェッドラムの魅惑の世界〜
2024年8月22日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第74回肉肉学会のテーマは「羊肉の至高を追求して!!金城羊肉から学ぶ羊肉の世界!」サフォークホゲット・ミルクフェッドラムの魅惑の世界」って、相変わらずタイトルが長いですが、羊肉の学びです。日本にも北海道を中心に羊農家さんはいらっしゃいますが、今回は、本場ニュージーランドの中でも一級品のブランド羊肉を学ぶことになりました。
金城誠さんは、知る人ぞ知るラム肉の有名店「ワカヌイ」を立ち上げた方で、若い頃からニュージーランドの食肉会社に勤務し、日本とニュージーランドのお肉の架け橋になったような方です。



まずは、金城さんのプレゼンから。
「NZの食品会社に勤務して、いろいろな事業拡大してきたが、2020年に自らの会社・アンブロジアを設立し、普通の食肉メーカーがしないことを実現したいと考えてきた。羊肉は日本での消費が減少していて、その要因は、冷凍マトンはハムソーの原料だったものが豚肉に置き換わり、精肉としても需要が減少したため。また、日本人は羊肉が苦手、嫌いと言われてきたが、日本ではジンギスカンのマーケットしかなく、100円/100gが限界との声もあった。
しかし、自分はマーケッターとして需要を創造し拡大することを考え、ターゲットを絞り、差別化された製品の価値を生み出すことを目的とした。そのためには羊肉需要の創造と拡大が第一と考えた。当時は、羊肉を食べたこともないのに、ネガティブなコメントを出す人が多い一方、食べたことのある人は好きな人もいることがわかった。
なので、羊肉に対するネガティブなイメージをどうポジティブに変えていくかを考えた。
2002年にキャンペーンを開始し、ラムにはカルニチンが多いというヘルシーさをアピールする戦略をとった。
たまたま、2001年のBSE発生で羊肉への需要が生まれ、ジンギスカンとは別もので高級なテーブルミートとしても売り込んでいった。そして、NZとは言わず、ラム肉全体の需要の創造に焦点を当てた。
2011年に「ワカヌイ」をアンテナショップとして東麻布にオーブンしたところ、4、5月のラムは美味しいが、8月にはまずくなる(12ヶ月近くなり成長しすぎ。ラムは去勢しないので肉にケモノ臭が出る。冬は生体にストレスがかかりpHが上がるなどが原因)ことがわかり、熟成は4週間が限度(チルド流通だと7ヶ月くらい)と考えた。
そうした経験を踏まえて「ワカヌイ スプリングラム」を開発。月齢を6-7ヶ月、熟成を4週間で止め急速冷凍することで、一年中いつでも美味しいラムを提供できるようになった。
2020年 理想の羊肉造りに取り組むため、NZに生体を買い付ける会社と、日本で輸入する会社を作った。肉質を極めるためだ。サフォーク種の中でも血統を選び、メスに限定し、8か月齢(4月くらい)で購入し、完全放牧(仕上げ用の良質牧草地の所有者に委託生産)、14か月で仕上げるホゲット(枝肉で30kg)を販売した。
初年度40→120→240と毎年度、出荷を増やし、来年度は360頭とする予定。今年はロースがすでに完売したので、本日はロースの提供はない。
また、今日、提供するミルクフェッドラムは、欧州と異なりNZでの生産実績はなかった。というのは、欧州は羊乳チーズを作るので、製品にできない乳製品などを利用したミルクフェッドが可能だが、NZでは羊乳利用がなかったため、ミルクフェッドラムも生産していなかったのだ。最近、ジーランダーという乳用ヒツジの利用が始まり、ミルクフェッドラムも可能になった。」
(参考)日本のめん羊
令和5年 飼養頭数:25千頭、飼養戸数:1,000戸、25頭/戸
北海道が戸数の2割、頭数の6割(14千頭)、他は、岩手(1,100頭)、栃木(855)、長野(802)、千葉(637)、山形県(637)
羊肉生産量:100トン 輸入量:20千トン(豪州71%、NZ 25%、その他3%)
国内生産割合:0.5%
プレゼン資料の一部






本日のメニュー
●ミルクフェッドラム 丸ごとオーブン焼き

●サフォークホゲット レバームース、アロスティチーニ、スペアリブの赤ワイングリル

●骨付きすね肉の蒸し煮とメルゲーズ

●レバニラ炒め

●レッグソテー

●夏野菜のクスクス

ミルクフェッドラムの丸ごとオーブン焼き
サフォークホゲットのお肉
参考文献
「長谷川農場マール牛」 〜牛を通じた地域循環 サスティナブルテロワールの世界〜
2024年7月30日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第73回肉肉学会のテーマは、『長谷川農場マール牛』〜牛を通じた地域環境 サスティナブルテロワールの世界〜です。
今回は、肉肉学会初めての「ホルスタインと黒毛和種の交雑種」をテーマにしました。
国産牛肉の消費量(≒生産・輸入量)は牛肉全体の42%で、和牛(21%)、乳牛(10%)、交雑種(11%)となっています。乳牛と交雑種は乳牛のお腹から生まれるので、和牛と同じウェイトの牛肉を乳牛(主としてホルスタイン)に頼っているのですが、どちらも表示の際には「国産牛」とされるので、消費者には「交雑種」を食べていることは意識されにくいと思います。
生産者にとっては、交雑種は和牛と乳牛去勢の中間の価格帯で、価格が硬直化している乳牛より和牛に近い価格変動をするので、肉質が良ければ利益を上げやすい品種です。とはいえ、自分で精肉販売までするとなると、和牛ほどの差別化がしにくいので、ブランドの確立が難しいことも事実です。
今回、肉肉学会のテーマとした「足利マール牛」は、(美味しい牛肉ですが)肉の美味しさを強調するのではなく、長谷川農場という複合経営の強みを活かした「循環型農業」(堆肥交換による稲わら収集、稲、麦、アスパラガス、ニンニクなどへの堆肥利用)の中に位置付けたところが「正直に消費者に伝わるブレのないブランド」になっていると思います。



それを端的に表しているのがパンフレットの表紙写真が「稲わら」であることです。足利マール牛は、足利市内のココファームの赤ワイン搾り粕であるマールを発酵飼料化して給与するという他にはない特徴があるのですが、あえて長谷川農場の資源循環のハブとなっている稲作の副産物・稲わらをアイコンとした表紙に長谷川さんたちの経営理念を感じることができ、それが、数多い交雑種の中から「足利マール牛」を学びのテーマにした理由といえます。
パンフレットの表紙は稲わらロール
今日は、社長夫人であり、営業責任者である長谷川紀子さんにプレゼンしていただきました。
ご主人と(現在の社長)と一緒にホテル勤務をされていた長谷川さんは、ご主人が家業である農場を経営することになり、初めての農業に携わることになります。そして、長谷川農場の「100年先に農業をつなぐ」「日本一の農業集団になる」という経営理念に共感し、家族一同、牛だけでなく農場全体で地域農業のハブとなろうとする覚悟を感じます。
長谷川さんは、YouTubeでも発信中
最近、従業員を増やしたのも足利市で農業の雇用を生んでいきたいという想いからですが、700頭飼っている牛の管理は、今日も参加していただいたイケメン場長・市川牧場長ほか3名で行っています。市川牧場長曰く「牛の目線になって考える」ように大切に扱っているそうです。
飼料に加える「マール」は、ココファームで大量に発生する赤ワインの粕を利用するために、大麦の販売でお付き合いのあった勅使河原精麦所さんが開発してくれた発酵飼料(ラクレージ)で、牛の嗜好性が高く、肉質にも好影響を与えていると思います。「足利マール牛」をブランド化して11年目。オンライン販売にも力を入れて(長谷川紀子さんが営業担当)、邁進しています。
今日の牛肉は、枝肉重量615.5kg!去勢の28ヶ月齢です。メニューのアスパラガスも長谷川農場産です。
プレゼン資料



原田理事長による参考資料


本日のメニュー
●サーロインステーキ

●ウチモモ ブレザオーラ、パストラミ、コンビーフ

●グリーンサラダ

●ランプ肉のバターステーキ&アスパラガスソテー

●イチボグリル&ガーリックソース

●マエスネのビーフシチューご飯

「マール」を手にする長谷川さん
遠藤シェフとイチボ肉