トモサンカクとはどこの部位?希少な”火打ち石”の味の特徴と美味しい焼き方を肉のプロが解説
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「トモサンカク」という名前、焼肉好きなら一度は聞いたことがあるかもしれません。じつは、赤身の力強さとサシの甘みをあわせ持つ、知る人ぞ知る極上のお肉なんです。しかし「具体的にどこの部位?」「イチボとどう違うの?」と聞かれると、答えに迷う人も多いでしょう。
そこで本記事では、肉のプロ「格之進」がトモサンカクの部位位置や味の特徴、硬さについて、美味しい焼き方も徹底解説します。読めばきっと、「トモサンカクって知ってる?」と誰かに話したくなる、“通”の知識が身につくはずです。
トモサンカクは牛の「モモ」の一部

トモサンカクは、牛の後ろ足の付け根にある「モモ」の部位に含まれます。モモの中心部分にあたる「芯玉(シンタマ)」を、さらに4つに分けたうちのひとつがトモサンカクです。
「トモ」とは牛の足の内側、つまりモモを指す言葉で、商品用にカットすると断面がきれいな三角形になることから「トモサンカク」という名前がつけられました。
なぜ「火打ち(ヒウチ)」と呼ばれるのか?
トモサンカクは、その形が昔の火起こしに使われた「火打ち石」に似ていることから、別名で「ヒウチ」とも呼ばれています。
とくに関西地方など一部の地域ではこの呼び名が一般的です。地域によって呼称が異なるのも、トモサンカクの特徴のひとつといえます。
牛1頭からわずかしか取れない「希少部位」
トモサンカクは、牛1頭からわずか2〜3kg程度しかとれない非常に希少な部位です。モモ肉といえば赤身が多いイメージですが、トモサンカクはその中でも、とくに霜降り(サシ)が入りやすい部位といわれています。
そのため、赤身のしっかりとした旨味と霜降りならではのとろけるような口どけの両方をバランスよく楽しめるのが魅力です。ほどよい歯ごたえもアクセントとなり、肉通の間でも高い人気を誇ります。
その希少性と味わいから、焼肉店や高級肉専門店でも「特別な部位」として大切に扱われています。
トモサンカクは「かたい」?味と食感の特徴
しっとりとしたやわらかさと、赤身ならではの深い旨味を味わえるトモサンカク。ここでは、多くのお肉好きが魅了される理由をご紹介します。
「かたい」は誤解!赤身とサシの絶妙なバランス
多くの方が「モモ肉=かたい」というイメージを持っているため、トモサンカクもかたいのでは?と思われがちです。
しかし、トモサンカクは前述したように赤身主体でありながら、モモ肉の中でもサシ(霜降り)が入りやすい部位です。この適度な脂がお肉全体にやわらかさを与えているため、「かたい」というよりも「肉質がしっかりしていて、ほどよい弾力がある」と表現するほうが正しいでしょう。
噛むほどに溢れる「赤身の旨味」と「脂の甘み」
トモサンカクの魅力は、「赤身」と「サシ」が織りなす絶妙なバランスにあります。
まず口に入れると感じるのは、しっかりとした肉質ならではの心地よい歯ごたえ。その後は、噛むほどにサシが口の中でじんわりと溶け出し、なめらかで濃厚なコクが広がります。
赤身の力強い旨味ととろける脂の甘みが重なり合う、牛肉本来の豊かな風味を存分に楽しめるでしょう。
【意外と知らない】トモサンカクと「イチボ」の違い
モモ肉の中でも人気の高い「トモサンカク」と「イチボ」。どちらも赤身とサシがほどよく入り混じった風味が魅力ですが、それぞれ微妙に異なる特徴を持っています。
両部位の違いを、わかりやすく比較表にまとめました。選ぶ際の参考にしてみてください。
| トモサンカク | イチボ | |
|---|---|---|
| 部位 | 「シンタマ」(内モモの近く)の一部 | お尻の「ランプ」という部位の、さらに先端(尾に近い部分) |
| 肉質 | きめ細かく柔らかい | きめは粗めで弾力がある |
| サシ | 面で入りやすい | トモサンカクほどは入らない |
| 香り | 上品で優しい | パワフルで甘い |
| 味わい | ・なめらかな口どけ ・赤身と脂のバランスが良い |
・赤身の旨味が強い ・噛むほどに甘みが広がる |
| おすすめの食べ方 |
・サシの脂の甘みも活かす「焼肉」 ・肉々しさを楽しむ「ステーキ」 |
赤身の旨味を活かす「ローストビーフ」や「ステーキ」 |
トモサンカクの値段は?価格相場を解説
希少部位であるトモサンカクは、焼肉店や精肉店でも高級品として扱われ、価格は比較的高めに設定されています。
ここでは、実際にどのくらいの価格で手に入るのか、シーン別の目安をご紹介します。
焼肉店での価格目安
店舗によって異なりますが、メニューの中では「上カルビ」や「上ロース」と同等、もしくはそれ以上の価格帯になることが一般的です。
焼肉店で注文する際は、他の上級部位と同程度の予算を見込んでおくと良いでしょう。
通販・精肉店での購入価格(100gあたり)
トモサンカクは希少部位のため、通販や精肉店でも一般的なモモ肉よりやや高めの価格で販売される傾向があります。販売場所や加工状態によって幅はありますが、目安として100gあたり800〜2,200円程度と覚えておくとよいでしょう。
価格に大きな幅があるのは、「和牛(A5ランクなど)か、輸入牛か」や、「ブランド牛かどうか」によって値段が大きく変動するためです。用途や予算に合わせて選ぶ際の参考にしてください。
「美味しいトモサンカク」の選び方
トモサンカクをスーパーや精肉店で見かけたら、できるだけ美味しいものを選びたいですよね。そのためには、見た目や状態をしっかり確認して、良質なお肉を見極めることが大切です。
ここでは、美味しいトモサンカクを選ぶための3つのポイントをご紹介します。
1.「サシ(霜降り)」は”細かく均一”か
赤身の中に、網目状に細かく均一に入ったサシが上質です。
脂の色は真っ白で光沢があるものを選びましょう。良質な脂は融点(脂が溶ける温度)が低いため、常温で少し溶けてツヤが出ているものが理想的です。
2.「赤身」の色と「ツヤ」をチェック
新鮮なトモサンカクは、鮮やかでツヤのある赤色(ルビー色)をしています。
お肉が重なった部分が暗赤色になるのは問題ありませんが、乾いた見た目や全体のくすみ、茶色っぽい変色があるものは避けましょう。※ただし、熟成肉の場合は旨味が凝縮して色が濃くなります。
3.「ドリップ」(肉汁)が出ていないか
パックやトレイに出ている赤い液体はドリップと呼ばれます。これは、旨味が流れ出してしまっているサイン。ドリップが少なく、お肉の表面がみずみずしいものを選びましょう。
【肉のプロ直伝】トモサンカクの魅力を引き出す美味しい焼き方
トモサンカクは、焼き方ひとつで味わいが大きく変わる繊細な部位です。ここでは、トモサンカクの魅力を最大限に引き出す焼き方を紹介します。
調理シーンに合わせたコツを押さえて、上質な旨味ととろける食感を堪能しましょう。
焼肉(薄切り)の場合:焼きすぎ厳禁!
焼きすぎると水分が抜けて硬くなってしまうため、高温で両面をサッと炙り、脂を焼き溶かすように焼くのがおすすめ。中心まで火を通しすぎないミディアムレア程度が理想です。
味付けは、まず塩やわさび醤油でお肉本来の旨味をシンプルに味わってみてください。その後、タレでコクを楽しむといった味の変化を試すのも良いでしょう。
ステーキ(厚切り)の場合:休ませながら火を入れる
厚切りのトモサンカクは、ステーキやローストビーフにするとその深い旨味を存分に味わえます。
トモサンカクは焦げやすいため、強火で表面をサッと焼いて肉汁を閉じ込めましょう。その後、アルミホイルで包んで休ませ、余熱でじっくりと内部に火を通すことで、やわらかくジューシーに仕上がります。
ステーキやローストビーフの作り方は別記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
決定版|赤身肉ステーキの焼き方を格之進が解説!プロの「火入れ」と簡単なコツでいつもの肉を格上げ
格之進が教える「肉塊」レシピの極意!お肉を最高に美味しくする“火入れ”の科学
格之進が推奨する「熟成トモサンカク」
赤身の旨味とサシの甘みが絶妙に調和するトモサンカク。記事を読んで「本当に美味しいトモサンカクを味わってみたい」と思った方もいるのではないでしょうか。
格之進では、独自の熟成技術で丁寧に仕上げた極上のトモサンカクを、オンラインから購入できます。職人のこだわりが詰まった熟成トモサンカクの豊かな旨味を、ぜひご家庭でお楽しみください。




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