2023年12月11日 第13回乳乳学会の概要
「酪農家とともに歩む木次乳業のチーズ」
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2023年12月11日
全日本・食学会乳乳学会研究会
乳乳学会理事会
格之進F
「第13回乳乳学会」のテーマは「酪農家とともに歩む木次乳業のチーズ」です。
全国のチーズ工房は340を超える水準となっていますが、一般の消費者が気軽に買える本格派のチーズは多くはありません。
それは、小規模のチーズ工房が太宗を占め、工房に行ったり、お取り寄せをしないと入手できないチーズが多いためでもあります。
そうした中で「木次乳業」のチーズは都内の高級スーパーやデパートなら比較的、手に入りやすいチーズとなっています。
今回の企画は、そうした地方の乳業メーカーとして長年、チーズを作り続けている木次乳業のチーズ部門責任者・川本英二さんのチーズ作りの軌跡を会社と個人の両面から語っていただきました。
川本英二さん
ギターを抱いた渡り鳥
遠藤シェフ
川本さんはロック少年としてミュージシャンを目指すものの、夢破れて故郷の木次乳業に勤めることになりました。(川本さんのお話は、本当はここのところが面白いのです)
ロック少年の夢と挫折、そしてこの日の夜に夢が叶ったという、涙なくしては語れないお話です。(そこは参加者だけの胸に)
27年前にチーズ部門に配属され、その後はチーズひとすじ。
そんな川本さんを支え続けてくれたのは、木次乳業の創業者・佐藤忠吉さんでした(川本さん曰く「人たらし」)。
木次乳業がチーズ製造を始めた1980年代は、まだNCが浸透していない時代。
忠吉さんは「日本人のカルシウム補給のためには、食べやすいチーズを作ることが大事。
強い個性を持つチーズは人に任せて、木次乳業は食べやすいチーズを作る」と仰ってました。川本さんにとっては、つまらない話です。
そんな時、あるコンテストで優勝して号泣する生産者を見て、一生懸命な姿に驚き「自分もいつかは号泣してやる」と心に誓ったものの、会社が作るチーズは穏やかすぎて賞は取れないと思っていました。
そこで「オールドゴーダ」に挑戦。優しいと言われたゴーダをあえて熟成することで(会社とは喧嘩したけど)、コンテストで賞を取るまでになったのです。
そんなことで「天狗」になっていた頃、テレビで難病の子供を持つ母親が、子どものために用意している「木次牛乳」を見て、賞を取ることに夢中になっている自分の野心を恥ずかしく思いました。
穏やかなチーズこそ消費者が求める木次乳業のチーズだと心を入れ替えて製造に励みました(逆に賞がとれたけど)。
今でも自分を支えるのは佐藤忠吉さんの、折に触れた言葉だと思います。
少年の夢の実現
というわけで、歌あり、涙ありの楽しい乳乳学会に。
もちろん、美味しいチーズと遠藤シェフの御料理が最高だったことは言うまでもありません。
本日のメニュー
〇チーズ食べ並べ
イズモ・ラ・ルージュ、胡椒入りミニゴーダ
オールドゴーダ、ナチュラルスナッカー
〇キノコと胡椒入りゴーダチーズの春巻き
イズモ・ラ・ルージュのチーズチヂミ
〇オールドゴーダのメリメロサラダ
〇モッツァレラチーズのシューファルシー ホエー煮込み
〇プロボローネのアリゴと熟成肉ステーキ
〇カマンベールチーズの炊き込みご飯
〇オールドゴーダのバウンドケーキ