「等級」はあくまでも目安。美味しさを表したものではない。
熟成肉に加工しA3、A4の肉の価値を上げる
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日本には、牛肉を格付けする等級制度があります。
これは日本独自のもので、いわゆるA5、A4というレストランやスーパーなどで見かける記号です。
この等級制は、公益社団法人日本食肉格付協会が決めているもので、枝肉の買い付けの時に使われるものです。
具体的に説明すると、アルファベットのAが示しているのは、歩留まりのことで、皮や内臓を取り去った枝肉からどれだけ商品になる生肉が取れるかを示します。
72%以上がAランク、69以上72%未満がBランク、69%未満がCランクとなります。
数字の1〜5は、霜降りの具合、肉の色、肉の締まりときめ、脂肪の色沢と質を総合的に判断したもので、5が最高ランク。
でも、これ全部市場の検査官が目視で評価するもので、あくまで流通の目安であって、実は味の評価ではないのです。
とはいえ、A5と評価された霜降りたっぷりのお肉が美味しい場合が多いことも事実です。
けれど、きれいな霜降り肉でも、脂の質が悪ければ味は落ちます。
また、霜降りが多すぎて、胃にもたれることもありますよね。だから、A5の評価は、美味しさの必要条件ですが、十分条件ではないのです。
そもそも肥育農家は、やはり高く売れるA5の肉を作ろうと育てています。
とはいえ、そうはいかないことも多々あり、結果としてA3の評価だったり、BランクやCランク、2等級や3等級の評価になってしまったりします。
けれど、A5でもA3でも餌の量、手間は大きくは変わらないのです。
そして、味もA5ではないから味が落ちるわけでもないのです。
特に熟成というさらなる手間をかければ、A5とは違う味わいを引き出し、新たな味わいを体験できるのです。
だから私は、あえてA3、A4クラスの牛を選んで熟成をかけます。
どの牛にもポテンシャルがあるのです。等級はあくまでも目安。
美味しさを表すものではないことを知って頂きたいです。