熟成肉の格之進

2025年1月22日 第79回肉肉学会の概要

伊賀牛の郷「忍者和牛 くノ一参上」

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2025年1月22日

@格之進F

肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会

第79回肉肉学会は「伊賀牛」をテーマに、伊賀牛の最大の生産者である中林牧場の中林真一郎さんをスピーカーにお迎えしました。以下、中林さんのお話。

中林真一郎さん

「中林牧場は、三重県伊賀市にある本場で400頭の肥育牛、宮崎県児湯郡の支場で100頭の繁殖牛を飼養していますが、繁殖〜肥育の一貫経営ではなく、宮崎の牧場で生産した子牛は全頭、地元の家畜市場へ出荷し、伊賀市の本場では近隣の家畜市場から雌だけの肥育素牛を導入しています。

宮崎県から子牛を伊賀に移動しないで地元の市場に出荷するのは、本場が雌牛肥育をしているので、雌子牛だけ本場へ移動させるより、全頭、地元に出荷して地域との関係を良くしたいということと、宮崎の従業員にとっても地元での販売が励みになると考えるためです。

伊賀市の肥育牛舎は開放牛舎にしており、牛の健康、盆地の寒暖差に慣れさせるという意味でも有効だと思っています。
本場の作業は家族のみで行い、宮崎は4名の従業員で頑張っています。

伊賀地方では、昔から牛肉を食べる習慣があります。実は10年前まで土葬をしていたのですが、葬式には「柏椀」を食べる風習がありました。柏椀は、本来は鶏肉なのですが、実際は牛肉を食べていたというくらい、伊賀では牛肉を食べ続けていたようです。

昭和30年代に「伊賀牛」が誕生し、当時の生産組合は6名から始まりましたが、当時の農家で残っているのは中林だけとなっています。

伊賀では、庭先取引、つまり生産者の牛舎で生体販売をしており、現在は日本でもここだけの習慣だと思います。生体取引は、枝肉での格付け前に、肉屋が農家で牛に触り雑談しながら情報収集して、生産者が希望売値を伝えて肉屋と価格交渉する習慣です。値段が合わない場合は売りませんが、肉屋も折れるのでほぼほぼ成立します。それは、枝肉取引に比べ、肉屋にとっても、枝肉重量を生体重の60%の計算(通常は64%)できること、内臓も個体識別して肉屋のものになることなどのメリットがあり、win-winの関係となっているからです。

こうした肉屋と農家の関係が成り立つのも、牛肉の9割が地域内消費だからと言えます。伊賀市内の狭い地域に9軒の肉屋がかたまっているので、消費者は自分好みのお店を選んで、時にはハシゴもするくらいの親密な関係です。「牛肉は専門店で買う」ということが、が当たり前の地域なのです。

BSEの時(2001年)でも地元の人は伊賀牛を食べてくれました。そんな経験から、自分は、同じ三重県のブランドである「松阪牛」に追いつき追い越せではなく、伊賀牛を地元の人に食べてもらいたいという思いになったのです。
また、BSEをきっかけに制度化された個体識別によりABL融資(動産担保)が可能になったため、経営が容易になりました。これは父(中林正悦氏)が永らく役員を務めていた「全国肉牛事業協同組合」の働きが大きかったと言えます。
宮崎県での口蹄疫発生の際(2010年)に、中林牧場で感染牛は出なかったのに、ワクチン接種したため、660頭を殺処分するという、従業員にとっても辛い経験もしました。
この時も口蹄疫の終息宣言後、農場HACCPを取得し、防疫体制の整備と食品安全の意識を徹底するなど、ピンチをチャンスに切り替えたて乗り越えてきました。

今後も地域密着型の生産を目指したいと考えています。
今日の牛肉は、消費者と一緒に築いた、伊賀の地域が好む牛肉の味となっていると思います」。

高岡顧問の挨拶

続いて、遠藤シェフの感想も頂きました。
「思った以上にサシがあり、触ってみて融点低いと思った。
メニューとしては、あまり火入れをしていないお肉からスタートし、ランプステーキはカリッと仕上げた。
イチボは脂を落としながら焼くつもり。
スープをとったあとのスジと端材で牛肉100%のハンバーグも。
サーロインは火入れしっかり焼こうかなと思っている」

遠藤シェフのメニュー説明

プレゼン資料の一部






本日のメニュー

●イチボとランプの食べ並べ
タリアータと湯引き

●ランプ肉ステーキ にんじんピューレ

●大根とお米のビーフスープ

●イチボのグリル シャリアピンソース

●牛スジ入りハンバーグステーキ
サーロインステーキ
寒締めほうれん草ソテー

●すね肉のパンネトマトシチュー

 


サーロイン

 

・中林牧場→有限会社 中林牧場 伊賀牛
・格之進→熟成肉の格之進 (kakunosh.in)


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