2024年9月17日 第75回肉肉学会の概要
「里山牛〜放牧・完全自給粗飼料給与の美味しいグラスフェッドを目指して〜」
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2024年9月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
今回の肉肉学会は、「鹿児島黒牛」のメッカ・鹿児島県志布志市で「放牧・完全自給粗飼料」による和牛肉生産に挑戦する「株式会社さかうえ」さんに学びました。
株式会社さかうえからは坂上隆社長と中川営業部長にお越し頂きました。
まずは、坂上社長のお話。
「約700人の地主から200haを借りて農業生産。自分が就農しようとした頃は、農地価格が4万円/10aだったが、最近では2万円。農業を継ごうと思ったら親に反対されたくらい、先行きがないと思われていた。
自分は、剣道8段を目指して頑張っているが、そうした中で、自然の中で暮らす、普遍的なものを見たいという心境に至り、農業を始めた。
農業によって、心穏やかで移ろいゆく自然を大事にする意識が芽生える。
就農当初は、ある意味、部活の乗りできついのは当たり前、これを乗り越えればとの気持ちで頑張ってきた。現在は従業員200人、売上20億円になったが、売上100億円の組織を目指したい。
当社の幹部は全国から集まった若人で、彼らに「(当社を選んで)いい選択をした」と思ってもらいたい。
坂上隆社長のプレゼン |
中川部長のプレゼン |
高岡顧問の挨拶 |
千葉さんも仰っていた「持続的な経営」は、自然と調和した形で、生き物のエネルギーを最大限に活かす、大地のエネルギーを集約する農業を目指すことだと思う。
「里山牛」は、時流の農業には乗らない。
最初のと畜はコロナ禍の最中で牛肉一般の価格が下がっていたため、買い叩かれそうだった。なので、自分で枝肉を買い取り、精肉にしてカット販売したが、全て YouTubeで勉強した。
当社は、最適化と最大化の軸を「サステナブルの実現」として捉えるようにしている。
放牧と自家産のデントコーンで100%国産の飼料で育て、牛が自由で放牧地を飛び回る牧場になっている。その牛たちのエネルギーを、食べることでいただく、ということだ。
「里山牛」というブランドネーミングは若い幹部の命名。「グラスフェッド」「牧草牛」とかも考えたが、当社のコンセプトとはちょっと違う感じがした。地方で仕事を作ることが多様性のために大事であり、地方再生の思いも込めたネーミングになったと思う。
最初10頭の牛を導入したが、どう飼うかもわからない。当時、既に集落に3軒しか残ってない中で、当社が牛飼いとして入ったら喜ばれた。そのうち、近所のおじいちゃんが牛の監視係となり、分娩の発見も地域の人がやってくれるくらいの関係になった。牛肉部門は今年で1.5億円くらいの売上だが、更に伸ばしていきたい。」
肥育する牛の導入は、家畜市場で経産牛を購入し、種がついた1/3くらいは繁殖雌牛として再利用し、残りは放牧肥育し、生体重600〜650kgくらいで出荷します。自場で生まれた未経産も32か月齢くらいまで放牧肥育して出荷することも考えていますが、経営とブランドの軸は経産牛だと考えているそうです。素人集団の牛飼いがここまで来られたのは、牛飼いを始めてすぐに2020年のコロナ禍に直面し、一般の黒毛和牛自体が売れず、放牧経産牛は二足三文と業者に言われたことから、と畜だけして坂上社長と中川部長とで肉を捌くことでカットも学んだそうです。当初、心配していた獣医師もびっくりするほど健康的で好成績な生産体制を築き、飼養頭数は多い時で200頭、現在は140〜150ほどで月10頭程度の出荷ペースだとか。
精肉の販売は、BtoCがほとんど。オンラインや生協、タベチョクさんなどのルートもあり、ブランド展開上、スーパーなどへの販売は考えてないけど、精肉以外であれば加工度を上げて、利益率の確保を考えて行く必要があるとのことです。
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●生ピーマンの肉みそカナッペ
●ランプのタリアータ サラダ仕立て
●ピーマンと牛肉の春巻き
●イチボのグリル
●ランプのローストビーフのファヒータ
●サーロインステーキ
●ミートボールスパゲッティ
●ココナッツのブラマンジュ パイナップルソース
里山牛イチボと遠藤シェフ
サフォークホゲットのお肉