2024年8月22日 第74回肉肉学会の概要
「羊肉の至高を追求して!金城羊肉から学ぶ羊肉の世界」 〜サフォークホゲット・ミルクフェッドラムの魅惑の世界〜
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2024年8月22日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第74回肉肉学会のテーマは「羊肉の至高を追求して!!金城羊肉から学ぶ羊肉の世界!」サフォークホゲット・ミルクフェッドラムの魅惑の世界」って、相変わらずタイトルが長いですが、羊肉の学びです。日本にも北海道を中心に羊農家さんはいらっしゃいますが、今回は、本場ニュージーランドの中でも一級品のブランド羊肉を学ぶことになりました。
金城誠さんは、知る人ぞ知るラム肉の有名店「ワカヌイ」を立ち上げた方で、若い頃からニュージーランドの食肉会社に勤務し、日本とニュージーランドのお肉の架け橋になったような方です。
まずは、金城さんのプレゼンから。
「NZの食品会社に勤務して、いろいろな事業拡大してきたが、2020年に自らの会社・アンブロジアを設立し、普通の食肉メーカーがしないことを実現したいと考えてきた。羊肉は日本での消費が減少していて、その要因は、冷凍マトンはハムソーの原料だったものが豚肉に置き換わり、精肉としても需要が減少したため。また、日本人は羊肉が苦手、嫌いと言われてきたが、日本ではジンギスカンのマーケットしかなく、100円/100gが限界との声もあった。
しかし、自分はマーケッターとして需要を創造し拡大することを考え、ターゲットを絞り、差別化された製品の価値を生み出すことを目的とした。そのためには羊肉需要の創造と拡大が第一と考えた。当時は、羊肉を食べたこともないのに、ネガティブなコメントを出す人が多い一方、食べたことのある人は好きな人もいることがわかった。
なので、羊肉に対するネガティブなイメージをどうポジティブに変えていくかを考えた。
2002年にキャンペーンを開始し、ラムにはカルニチンが多いというヘルシーさをアピールする戦略をとった。
たまたま、2001年のBSE発生で羊肉への需要が生まれ、ジンギスカンとは別もので高級なテーブルミートとしても売り込んでいった。そして、NZとは言わず、ラム肉全体の需要の創造に焦点を当てた。
2011年に「ワカヌイ」をアンテナショップとして東麻布にオーブンしたところ、4、5月のラムは美味しいが、8月にはまずくなる(12ヶ月近くなり成長しすぎ。ラムは去勢しないので肉にケモノ臭が出る。冬は生体にストレスがかかりpHが上がるなどが原因)ことがわかり、熟成は4週間が限度(チルド流通だと7ヶ月くらい)と考えた。
そうした経験を踏まえて「ワカヌイ スプリングラム」を開発。月齢を6-7ヶ月、熟成を4週間で止め急速冷凍することで、一年中いつでも美味しいラムを提供できるようになった。
2020年 理想の羊肉造りに取り組むため、NZに生体を買い付ける会社と、日本で輸入する会社を作った。肉質を極めるためだ。サフォーク種の中でも血統を選び、メスに限定し、8か月齢(4月くらい)で購入し、完全放牧(仕上げ用の良質牧草地の所有者に委託生産)、14か月で仕上げるホゲット(枝肉で30kg)を販売した。
初年度40→120→240と毎年度、出荷を増やし、来年度は360頭とする予定。今年はロースがすでに完売したので、本日はロースの提供はない。
また、今日、提供するミルクフェッドラムは、欧州と異なりNZでの生産実績はなかった。というのは、欧州は羊乳チーズを作るので、製品にできない乳製品などを利用したミルクフェッドが可能だが、NZでは羊乳利用がなかったため、ミルクフェッドラムも生産していなかったのだ。最近、ジーランダーという乳用ヒツジの利用が始まり、ミルクフェッドラムも可能になった。」
(参考)日本のめん羊
令和5年 飼養頭数:25千頭、飼養戸数:1,000戸、25頭/戸
北海道が戸数の2割、頭数の6割(14千頭)、他は、岩手(1,100頭)、栃木(855)、長野(802)、千葉(637)、山形県(637)
羊肉生産量:100トン 輸入量:20千トン(豪州71%、NZ 25%、その他3%)
国内生産割合:0.5%
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●ミルクフェッドラム 丸ごとオーブン焼き
●サフォークホゲット レバームース、アロスティチーニ、スペアリブの赤ワイングリル
●骨付きすね肉の蒸し煮とメルゲーズ
●レバニラ炒め
●レッグソテー
●夏野菜のクスクス
ミルクフェッドラムの丸ごとオーブン焼き
サフォークホゲットのお肉