熟成肉の格之進

2023年6月1日 第61回肉肉学会の概要

ブランド豚の先駆者『白金豚』国内飼料化への挑戦

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今回のテーマは、豚におけるブランド化と飼料の国産化。ゲストスピーカーは、第5回肉肉学会(2016年1月18日)以来の登場となる株式会社高橋精麦社長の高橋誠さん。その時にも、高橋さんは輸入に依存するとうもろこしを国内で少しでも自給しようとする試みを2013年から挑戦されていました。

今回は、子実とうもろこしの生産・利用→堆肥還元による地域の循環型農業→豚の生産から精肉販売・レストラン経営までの完全一貫型養豚経営と独自の道を歩む高橋さんの経営哲学を学びました。
冒頭、原田理事長から「子実トウモロコシの現状」というタイトルで、配合飼料の高騰の状況、子実とうもろこしなど濃厚飼料を国内で自給する意義、とはいえ子実トウモロコシを生産する上での課題などを簡単に説明しました。

プレゼンする高橋誠さん

全日本・食学会高岡副理事長の挨拶

肉おじさん自慢の子実とうもろこし

続いて、高橋さんのプレゼンです。
(株)高橋精麦さんは、もともと大麦を精製する会社ですが、1964年から養豚事業を始め、高橋社長は4代目だそうです。家業を継いだときに父親から「やりたいようにやってみろ」と言われ、苦労しながらも「白金豚」というブランドを築きあげました。
日本の一般的な豚品種の組み合わせ(三元豚)は、LWD(ランドレース×大ヨークシャー×デュロック)ですが、白金豚はデュロックの代わりにバークシャー(B)=黒豚を用いて、「体格の良い母」に「肉質の良い父」を掛けるという利用的な組み合わせです。しかし、小型で古い品種のバークシャーは生産効率が劣るのでコストが嵩みます。このため、ブランド化して高値で販売するために1996年くらいから「白金豚」のブランド化に挑戦しました。その思いの裏には共に働く社員のためにも「知る人ぞ知るではなく、社員が誇れる銘柄」にしたかったという思いがありました。
しかし、スーパーのバイヤーからは、脂が厚い、色が変わるのが早いなど見た目でケチをつけられ、クレーム殺到の毎日でした。もう、この肉の良さが分からない奴は相手にしないで、飲食店卸に特化しようと考え、更に自ら飲食店を経営するという戦略をとりました。
(肉おじさん曰く、格之進のハンバーグは白金豚を使用しているが、最初は高橋社長に「ハンバーグにするために豚肉生産しているのではない」とけんもほろろだったそうです)。
高橋さんが飼料業者→養豚生産→精肉店→飲食店と展開した結果、「自分の豚を自分の店で売る」という完全一貫経営となったため、一般の格付けで敬遠される「厚脂」の肉も、自分で使う分には、美味しい脂身は多い方が良いというバークシャーの良さを活かした生産が可能になりました。
現在は母豚600頭の一貫ですが、第1,第2農場では2サイト方式の繁殖〜肥育豚の管理をし、第3農場は、フリーストールなどアニマルウェルフェアを取り入れた新しい飼養管理方式の取り組みの場として、80頭ほどの雌豚をしています。経済効率を追求するのではなく、美味しい豚肉の生産、更に世の中の新しいニーズにも対応できるような経営にしていきたいと考えており、そうした中でも昨年の売上高は過去最高になりましたが、飼料高騰の影響で結果的には赤字になってしまいました。
子実とうもろこしは2013年から取り組んだ。きっかけは、地元の盛川農場の盛川周助社長から持ちかけられたこと。自分としても配合飼料原料が全て輸入品であることに疑問を持っていたし、non-GMOとうもろこしの入手が困難になっていることや香港のバイヤー型日本独自の豚肉生産を求められたことなどもって、地元の子実トウモロコシ利用に魅力を感じていた。最初は4トンで始め、今年は盛川さんから100トン余り、他の生産者も含め150トンくらい利用することになりそう。とはいえ、年間4000トンのとうもろこしが必要なので、まだウエイトは十分ではないと思う。
10年間、国産の子実とうもろこしを使ってきて、量は増加しているが、一筋縄ではいかないと思う。特にカビの問題。日本の農地は湿度が高く、栄養価の高いとうもろこしはカビが生えやすい。また、熊害も増えており損害が大きい。とはいえ、自分には養豚経営を持続して行くうえでの社会的責任もあり、堆肥の利用や飼料の自給などを進めて行く上で、子実とうもろこしの生産は不可欠と考えている。経済効率は悪いが、だからやらない、ではなく、進めて行きたい。と熱い想いを語っていただきました。

■高橋誠さんのプレゼンの一部


■原田理事長のプレゼン「子実とうもろこしの現状」の一部



白金豚の骨付きロース

本日のメニュー

〇 シャルキュトリ盛り合わせ
パテドカンパーニュ、モモ肉のボイルハム、ビアシンケン


〇 プルドポークのホットサンド

〇 雲白肉沙拉(ゆでたバラ肉のサラダ)

〇 肩ロース ポークチャップ

〇 誠さんの「白金豚」と眞さんの「まこと牡蛎」の出来立てソーセージ

〇 白金豚骨付きロース

〇 パンチェッタとゴーヤのパスタ

参考文献


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