熟成肉の格之進

肉肉学会が主催する、第1回肉肉学会カンファレンスを、東京大学先端科学技術研究センター(駒場リサーチキャンパス内)にて開催しました。

2017年9月30日(土) 第1回肉肉学会カンファレンス開催報告

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肉肉学会が主催する、第1回肉肉学会カンファレンスを、東京大学先端科学技術研究センター(駒場リサーチキャンパス内)にて開催しました。

毎月、格之進で開催している肉肉学会は、正式には「肉肉学会研究会」であり、それと共に、年1回の会合として「肉肉学会カンファレンス」を開催しています。

記念すべき第1回のカンファレンスは、講演、アンカンファレンス、懇親会(BBQ)と盛りだくさんの中、研究者、生産者、料理人、消費者ら多様な分野の人たちが分け隔てなく議論する場となりました。

最初に、肉肉学会 原田理事長、稲見 副理事長による挨拶があり、その後に肉の研究者による招待講演、アンカンファレンス、夕方からBBQというスケジュールでした。

最初に、個人活動から起業して培養肉(純肉、クリーン・ミート)の開発・普及に取り組むインテグリカルチャー(株)の羽生さんの招待講演がありました。


その後、「肉肉学会への期待」と題して、江渡 副理事長、人形町今半 高岡、格之進 千葉 事務局長、調理シミュレータを開発する加藤さん、美味しさの研究をする河合さん、食研究の和田先生、食VRの鳴海さん、触覚からの食という渡邊淳司さん、生産者のための食の流通をつくるベンチャー、プラネット・テーブルの菊池さん、磯沼牧場の磯沼さんによるトークがありました。

途中のおやつ休憩では、なんと今半の揚げたてコロッケの差し入れがありました。揚げたてのおいしさに、参加者はみな驚いていました。

続くアンカンファレンスは、江渡 理事長がメインファシリテーターとなり、進行しました。
これまでの講演を聞きながら、参加者はみなポストイットに気になるテーマや話したいテーマをそれぞれ書いていきます。

そのポストイットを集約することで議題を決め、その議題ごとに希望者がグループ分けされ、議論を開始します。

アンカンファレンスとは、話すテーマを参加者で自由に決める議論の方法です。
まず先ほどのポストイットを、近いテーマごとに模造紙に分類していきます。
今回はおおよそ6つのグループに分け、それぞれのグループの模造紙1枚に先ほどのポストイットを貼ります。

テーマは、以下のようになりました。
・チーム1「純肉」
・チーム2「美味しいのメカニズム(心理・脳)」
・チーム3「美味しさの化学・科学」
・チーム4「新調理法」
・チーム5「五感と美味しさ」
・チーム6「消費者と生産」

各チームには予め決められたファシリテーターがひとり付きます。
長倉克枝さんが、チーム1のファシリテーターとなりました。
ファシリテーター以外は、議論中に別のテーマに移動することも自由となっています。
最初は様子を見つつ、自分が参加をしたいチームを決めます。
おおよそ1チームが5〜6人に分かれ、セッションがスタート。


1セッションは20分。
チーム内で進行役、書記、タイムキーパー、発表役を決めて、議論を始めます。
「何を話すか」から、予めあるポストイットを見ながら話し合います。
20分はとても短く、気を抜くとあっという間に終わってしまいます。

チーム1は、羽生氏の基調講演にあった「純肉」がテーマ。純肉は培養細胞によって作る肉。
量産化によって肉の生産エネルギーを大幅に下げて環境負荷を軽減できる可能性があります。
背景には、3Dプリンターの普及とメイカームーブメントからパーソナルファブリケーションへと進んだ流れと同様に、細胞培養などのバイオテクノロジーを自宅で気軽にできるようになるというバイオテックのカルチャーがあります。
一方で、純肉の社会受容やバイオテクノロジーを気軽に利用することへの倫理的な懸念もあります。
そこで、チーム1では、社会受容について話し合いました。
ただ、ルール作りや倫理的観点など、社会受容に向けて考慮、整備することが多い中で、環境負荷軽減以外に、消費者にとって純肉のメリットはあるのでしょうか。
そこで、稲見先生から「パーソナルファブ肉」という単語が飛び出しました。
自分で好みにあった肉を作れるというわけです。これを重要なメリットとして提示することにしました。

これらの議論をまとめて、発表役が最後にチームごとに発表をしました。

興味深かったのは、チーム6。
「消費者と生産」がテーマですが、マーケティングや情報発信、リスクコミュニケーションのようなソフト面の要素が、ポストイットには多く含まれていました。
このチームが導き出した結論は「FOOD5.1」。
プラネット・テーブルの菊池さんのトークでは、現在の大量生産・大量消費型の食品生産・流通を「FOOD4.0」として、その次の生産者から消費者へ必要な分だけ無駄なコストなく時間のロスなく流通をする流通改革を含め「FOOD5.0」という概念を打ち出していました。
それをさらにアップデートしたものがFOOD5.1という、ウェルビーイング的観点が含まれていたものでした。

ポストイットを使ったワークショップは多数企画されていますが、アンカンファレンスは他とは一風異なります。
テーマを自分で決め、かつどのチームに参加するかも自分で決めることから、参加意識が高まります。
また、20分間という1セッションの時間の短さが、無駄な話はできないという緊張感を高め、結果として短時間に実のある議論を成り立たせていたように思います。
とても充実したアンカンファレンスとなりました。

アンカンファレンスのあとは懇親会BBQ。
格之進のハンバーグ、ステーキ、今半のすき焼き肉での焼きしゃぶを、千葉さんと高岡さんが焼くという贅沢極まるBBQでした。最高でした。

肉肉学会は「肉」という共通項で研究者、生産者、料理人、消費者ら多様な分野の人たちが集まってきています。
同じ愛する対象があると、たとえ所属する領域が異なっていたとしても、コミュニケーションが成り立つのだということが新しい気づきでした。


※ちなみに、みんながワインクーラー(新品)だと思って使っていた容器は、実は炭の火消しだということが、後で気がつきました(笑)
※本報告は、長倉克枝氏による「第1回肉肉学会カンファレンス開催報告」を、許可を得た上で修正し、執筆しています。ありがとうございます。


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