熟成肉の格之進

2019年4月14日 第2回乳乳学会の概要

ダイワファーム 宮崎から愛と情熱を込めて

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要約

「第2回乳乳学会」のテーマは「ダイワファーム 宮崎から愛と情熱を込めて」。宮崎県小林市ダイワファームの大窪和利社長が主役です。

高橋雄幸副理事長

高橋雄幸副理事長

人形町今半の高岡さんのあいさつ

人形町今半の高岡さんのあいさつ

「ダイワファーム」でのチーズ作りは大窪さんが50歳を過ぎてから始めたものです。それ以前からアイスクリームやソフトクリームは製造販売していたので、六次化への取組は早かったというものの、チーズは別物。大窪さん曰く「自宅で鍋を使って、見よう見まねでモッツアレラチーズを作って店舗に並べて販売したけど、今から思えば恥ずかしくなるような出来だった」とのこと。しかし、その後、大分の先輩「うらけん」にチーズ作りを学び、北海道のチーズ工房やイタリアでの修業を経て、今では日本を代表するイタリアンチーズの作り手になりました。

宮崎県小林市で約20頭の乳牛(ホルスタインがほとんどだが、チーズに向くブラウンスイスも数頭)を飼育し、牛舎の隣のチーズ工房へ搾りたての生乳を搬入して製造できる強みを活かし、また奥様や息子さんもチーズ製造に参加して家族ぐるみの工房として様々な種類のチーズを製造されています。 

また、ダイワファームは「肉肉学会」の「熟成肉とチーズのマリアージュ」などでも格之進の熟成肉とコラボした、格之進お馴染みのパートナーでもあります。今回は、ダイワファームと同じテロワールをもつ、小林市のOGAWAFARMのミニトマト、山之口畜産の牛肉「アン黒」との小林コラボも企画されました。

大窪和利社長のプレゼン

大窪和利社長のプレゼン

遠藤シェフと肉おじさん

遠藤シェフと肉おじさん

学びの概要

1. チーズ製造への道
 宮崎県小林市のダイワファームの代表・大窪和利(だからダイワなんですね)は2代目の酪農家で、規模拡大した矢先の平成5年に「生乳の生産調整」にぶつかった。「生産調整」とは、生乳の生産が国産需要を上回ったうえ、過去の増産基調などからバターや脱脂粉乳の国内在庫がたまっていたことから、乳業工場が酪農家からの生乳の受け入れを大幅に減らすか、一時的に受け入れ中止する事態に至ること。都府県の酪農家から出荷される生乳は、ほとんど飲用牛乳になるが、飲用牛乳で余る分はバターや脱脂粉乳などに加工して貯蔵しやすくし、それでもなお加工品も余るときには生乳に食紅を入れて廃棄するということになる。
 大窪さんは、そうした事態にぶつかり「ならば自分で加工して販売しよう」ということで平成8年にアイスクリーム工房を作り、製造販売を始めた。それだけでも成功する酪農家は一握りだが、アイスクリームを作り始めて10年した頃、ふとしたキッカケで読んだ雑誌にチーズづくりのことが書いてあり、自分にもできるのではないかと、家にあった鍋などの器具を用いてチーズを作り始めたのが、現在に至ることになる。本格的にチーズの製造販売を始めたのが平成18年なので、チーズを作って11年目。かつての大規模指向は転換され、20頭程度の乳牛を飼育して、乳製品加工が本業となった大窪さんだが、まだまだ「チーズ道」を極めている最中なのである。  

2. ダイワファームのチーズ
 ダイワファームはホルスタインとブラウンスイス2の混乳を使用し、搾りたての生乳を牛舎から隣のチーズ工房へ運び、日を決めて様々なチーズを作っている。
 チーズの作り手は大窪さん、奥様、息子さんの3人。奥様はリコッタ、息子さんがブルーチーズなどそれぞれ分担して様々なチーズを作っているが、大窪さんが絶対に自分で作り続けているチーズがモッツアレラ。いくら作ってもまだまだ、奥が深いと仰る。
 チーズの種類としてはモッツアレラのほか、リコッタ、ハロウミ(焼いて食べるチーズ)、カチョカバロ、トーマダイワ(セミハード)、ロビダイワ(ウオッシュ)、ジンゼ(ハード)、ヤマンクッバイ、チャンガサコ(ブルー)などバラエティ豊かな品揃え。ジンゼ、ヤマンクッバイ、チャンガサコなど一風、変わったネーミングだが、このあたりにも大窪さんの戦略が伺える2
 なお、チーズを作る際に副産物となる「ホエー(乳清)3」を飼料として給与した豚(ホエー豚)を地元の養豚農家と協力して生産することになり、今回は、その肉を使用した「パテ・ド・カンパーニュ」もお披露目となった。

脚注

1 ブラウンスイス

2 チーズのネーミング戦略
 日EU・EPAにより、地理的表示について相互に保護することになった。このため、カマンベール、モッツアレラのような「一般名称」は別として、「コンテ」「アジアーゴ」など、EUで保護の対象となるチーズの名称を国産チーズにつけることは許されなくなった。ダイワファームでは、EPA合意に先立って「ロビオーラダイワ」を「ロビダイワ」「アジアーゴ」を「ジンゼ」と変更し、国際対応を図っている。ちなみに「ジンゼ」は祖父の名。「ヤマンクッバイ」は「山の口原」、「チャンガサコ」は「茶が迫」で近所の地名を西諸弁で表記したもの。

3 ホエー

4 チーズについての基本

本日のメニュー

本日のチーズ。下から、ヤマンクッバイ、ロビダイワ、ジンセ、モッツアレラ

本日のチーズ。下から、ヤマンクッバイ、ロビダイワ、ジンセ、モッツアレラ

ダイワファーム応援トリオ

ダイワファーム応援トリオ

1. チーズプレート

ヤマンクッバイ(ブルー)、ロビダイワ(ウオッシュ)、ジンセ(ハード)

2. ホエー豚のパテ・ド・カンパーニュ

3. OGAWAFARMの香りトマトのフレッシュソースとモッツアレラチーズ

4. ほうれん草とヤマンクッバイ(ブルー)のサラダ

5. メガネ肉の赤ワイン煮
山盛りジンセとともに

6. 小林トリオ

山之口畜産アン黒のハンバーグ
ダイワファームのロビダイワ乗せ
OGAWAFARMアイコの焼きトマト

7. チーズリゾット

焼きおにぎりスタイル

8. リコッタチーズのカッサータ


参考文献


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