2024年10月17日 第76回肉肉学会の概要
「完全オーガニックグラスフェッドビーフ〜鈴木牧場のテロワールの世界〜」
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2024年10月17日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第76回肉肉学会は、「完全オーガニックグラスフェッドビーフ〜鈴木牧場のミート&ミルクのテロワールの世界」と題して、北海道広尾町「鈴木牧場」の鈴木敏文さんに来て頂きました。
鈴木牧場さんへは、肉おじさんと原田理事長が今年の2月に訪問しています。その際、酪農家の鈴木さんが、乳牛と同様にオーガニック牧草で自家産の去勢牛を肥育していることを知り、いつかはこのお肉を肉肉学会で、密かに狙っていたものです。
高岡顧の挨拶のあと、鈴木さんにプレゼンしていただきました。
「父の代からの酪農経営なので、肉については、自分が育てた牛はどんな味がするのか、と興味があって肥育も始めた。
小さい頃は酪農が嫌いだった。両親の苦労している姿だけを見ていたので、牛の手伝いをしたくないから剣道に打ち込んだ。
大学くらいは畜産系へと親に言われ帯畜へ進んだが、卒業後は、まだ両親も若く家で働く必要もなかったので、両親の勧めもあって米国でファーム修行。
帰国しても自分の出る幕がなかったので、牧場仕事は手伝わず、ドラ息子だった。
ただ、その頃は、牛の病気がすごく多くて牛全体の免疫が下がる、サルモネラ症が発生したことが経営的にも痛手で、それを機会にいろいろ考えるようになったところ、女性獣医師(今の妻)から「予防に勝る治療なし」との言葉を聞き、またダーウィンの「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化に対応できる者である」との言葉を知り、経営の見直しをした。
鈴木敏文さん |
高岡顧問の挨拶 |
肉おじさんからのお土産 |
最初の目標を「乾乳期の飼養管理改善」「畜舎衛生」「カウコンフォート」「良質粗飼料生産」におき、モーレツに勉強した結果、獣医師のお世話になることがほとんどなくなった。
更に一歩踏み込んで「野生のエゾシカから自然に寄り添うこと」を学び、堆肥作り、土づくり、循環型酪農に取り組むことにした。
十勝にあるくず豆、そば殻、昆布など規格外農産物等を資源として利用する堆肥づくりで、化学肥料、農薬をゼロに。
マメ科牧草は播種しなくても生えてきたので、穀物飼料、牛用サプリメントなどをゼロに。
牧草は4番まで収穫 早刈りでTDN、タンパク質が高く、穀物飼料が必要なくなった。
2021年に国内唯一の「生乳・牛肉・鶏卵
JASオーガニック認証を同時取得」し、
2022年に有機加工食品(乳加工室 生乳 牛乳)
取得したことで、「有機飼料・農産物・畜産物・加工食品」の4規格取得した。
オーガニック認証では穀物とデントコーンは認められるが使いたくないので、日本で第1号のグラスフェッド認証もとった(日本グラスフェッド規格認証2023年)。
結果として、現在は放牧と牧草だけで牛を飼っている。病気はほぼなく、事故死もほぼゼロ。
広尾町の海水を煮詰めて製造した塩は、半分を牛に、半分を人間に。牛が喜んで食べる。
今日の「オーガニックグラスフェッドビーフ」は、交雑種(ホル×和牛)のメス。出荷月齢は44.2ヶ月齢。
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●トーマダイワ 牛スジのカナッペ
●ウチモモの低温調理 ローストビーフ
●ウチモモの高温調理 牛カツ
●MIXサラダ
●トモスネのポトフ
●ハンバーグステーキ サーロインステーキ
●サンカクバラの丸ごとBBQ ピタパンサンド
●カボチャプリン
今日の「オーガニックグラスフェッドビーフ」は、交雑種(ホル×和牛)のメス。
出荷月齢は44.2ヶ月齢。
ブロック肉と遠藤シェフ
サーロイン
ダイワファームのセミハードチーズ
トーマダイワ(原田理事長の持ち込み)
参考文献
鈴木牧場(命を育むー北海道・広尾 鈴木牧場 – hiroo-suzukifarm ページ!)
熟成肉の格之進 (kakunosh.in)