熟成肉の格之進

2023年10月12日 第65回肉肉学会の概要

『日本4大蔓牛』竹の谷蔓牛を守る!平田五美翁の信念を学ぶ!

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今回のテーマは「蔓牛」。「蔓牛」「西日本の中国地方の和牛生産地帯で古くから用いられている用語で,体型や能力に優れた特徴を有し,かつその形質を確実に子孫に遺伝する優良系統を“蔓”と呼び,その系統に属する個体を蔓牛と呼んでいます。皮膚・彼毛の資質が良いとか連産性に優れているとか,蔓に固有の特性がある。その作出は村落を単位とする狭い地域で,鑑識眼ある指導者の合理的な選抜と経験的に体得した近親繁殖・系統繁殖による形質の遺伝的固定によりなされたもので、古いものでは300年以上の歴史をもつものもあり、またその古い蔓から生まれた新しい蔓もあります。
このように蔓牛は、美味しい肉としてではなく、「力が強くて大人しく飼いやすい」という「役牛」の観点で選抜・改良された牛です。ですから、ほとんどの「蔓牛」は戦後の「肉用牛」としての改良の波に飲み込まれ、現在ではその姿を残しているわけではありませんが、唯一、「竹の谷蔓牛」だけは、「サシが入らず成長の遅い牛」として現在まで残っており、その貢献者が頑固に竹の谷蔓牛を「我が牛」として守ってきた平田五美翁なのです。

プレゼンする谷田宏さん

全日本・食学会高岡副理事長の挨拶

肉おじさんと遠藤シェフ

平田さんが守ってきた「竹の谷蔓牛」の純粋雌牛は、地元(新見市)でも20頭に満たない頭数しか残っておらず、肥育をしている農家も2法人のみです。「肉肉学会」でもテーマとした天然記念物「見島牛」でさえ80頭ほどの雌牛は見島で飼育されているので、その希少性が分かります。また、雄(精液を採取できる種雄牛)はいなくなり、現在残っている500本ほどの凍結精液を利用するのみとなっています。
今夜、平田翁に代わってプレゼンしていただいたのは「哲多和牛牧場」の谷田宏社長です。同牧場では新見市を主体としたブランド牛「千屋牛(ちやぎゅう)」の繁殖〜肥育の一貫生産をしつつ、数頭の「竹の谷蔓牛」の純粋雌牛を飼養して純粋種の維持と「千屋牛の雌牛に竹の谷蔓牛の精液を交配した牛=ハーフ」を生産しています。この牧場では「竹の谷蔓牛」の純粋種とハーフ「蔓草牛(まんそうぎゅう)」を40ヶ月齢以上まで肥育して年に数頭ずつ出荷しています。

谷田さんのお話
平田五美さんは80歳になる繁殖農家で、岡山県や国がサシを求める肉用牛改良を進めてきた中で赤身系の「竹の谷蔓」が無視されたことに怒りを感じていて、原田さんが牧場訪問した時も叱られていました。平田さんは自分も竹の谷蔓牛を食べ続けて「自分が一番好きで食べられる牛肉」だと赤肉の大切さを訴えてきたが、改良を担当している岡山県に聞き入れられなかったのです。今でも数頭の純粋種を飼養していますが、後継者がいないので、地域として「竹の谷蔓牛」を維持するため「竹の谷蔓牛活用推進協議会」を組織しています。
哲多和牛牧場(谷田さんが社長を務める牧場)は75haの土地に繁殖牛400頭、肥育1500頭を飼育しています。千屋牛ブランドとして販売する黒毛和牛がほとんどですが、竹の谷蔓を雌5頭程度飼育し維持しています。千屋牛は30ヶ月齢を基準に出荷しますが、竹の谷蔓で枝肉500kgを狙うと40ヶ月齢くらいまでひっぱらざるを得ないくらい成長の遅い牛です。
繁殖牛は放牧を主体にし、親子放牧も行っています。放牧地での自然分娩も多く、子牛が生まれると群の他の雌牛が「お祝い」に来ることもあり微笑ましいです。肥育牛にはエコフィード(酒粕、きのこの菌床など)やWCS(稲ホールクロップサイレージ)、SGS(ソフトグレインサイレージ:籾米を砕いて乳酸菌発酵)などを自家配合して給与し、安価で栄養価の高い飼料として活用しています。

■原田理事長のプレゼン「蔓牛について」

■平田五美さんと竹の谷蔓牛

■谷田宏さんのプレゼンの一部


本日のお肉

本日のメニュー

〇 ランプのローストビーフ

〇 シンシンの湯引きサラダ

〇 トモスネのトマトシチュー

〇 ランプの塊焼き
〇 MIXハンバーグ

〇 トモサンカクの揚げ焼きステーキ

〇 スジ煮込みカレー

* 今日のお肉は、竹の谷蔓牛と千屋牛とのハーフ(黒毛和牛)の去勢43ヶ月齢。

参考文献


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