2023年1月16日 第56回肉肉学会の概要
新春肉始め!純近江牛!安田良〜味わいを突き詰めた漢の生き様〜
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安田良というブランドで肉の世界を追求
お正月は、和牛の直球勝負で行きましょう!ということで、今回のテーマは「近江牛」のなかでも但馬系にこだわり、自ら繁殖〜肥育の一貫生産を行い、精肉店・レストランも経営(安田良)する安田良治さんをお招きしました。
今回は、安田さんのお肉をずっと購買されている「人形町今半」さんから高岡慎一郎社長、高岡哲郎副社長がお揃いで登場!という記念すべき会合となり、高岡社長から、安田さんのお父様時代からのエピソードを伺うこともできました。
安田良さんのお話。「父が馬喰の一代目で、戦後、舞鶴から帰って馬喰の丁稚奉公を毛利(もり)志(し)満(ま)商事で始めた。その後、独立して1頭の牛から始めたのが牛飼いのはじめ。
自分は親父が嫌いでもあったが、尊敬もしていた。高校を出て肉屋で修行し、家に帰って親父の牛を扱ったら旨味が違うことがわかった。親父に弟子入りし、現在に至るが、親父の技術には追いついてないと思う。でも、この思いが自分の原点。
自分にとって和牛は、但馬が源流、この血統を活かすためにどうしたら良いか、いつも考えている。
滋賀の自分の牧場で繁殖〜肥育の一貫経営をしているほか、九州に預託している。もともと但馬が強かった地域に預託したが、生産者は枝肉重量が取れる気高系を生産したがる。
その気持ちも分かるし、自分にも迷いはあるが、但馬にこだわる「ど変態」なので、これでやっていきたい。
最近は、こういう話をすると、若い子がやってみたいというので、仲間作りをしていきたい。
産地は牛を大きくしないと儲からないのが実情。でも自分は、小さい牛は食べてうまいと思っているし、そこを追求したい。
長崎、島根を肥育してみると、但馬との違いは肌触りというか舌触り。但馬牛は絹を触った感じ。キメが細かくて小さいと美味さが後から出てくる。
そういう牛を作るためには、母親作りからしていくことが大事。雌牛の改良は、仲間を作って行う。但馬牛の活かし方は交配で決まる。自分は食べたら余韻が残る牛、腹一杯になっても食べたい、と言われる牛を作っていきたい。もちろん、利益は取りたいが、それだけでは職人になれない。
親父が求めた道が、いつも自分の頭にある。自分もやれるだけやって、「純安田牛」がひとり歩きできるか、今半さんで看板あげてもらえるようになるか、頑張りたい。」
とのことです。
安田さんのお話にあったように今回の牛は、安田さんの直営牧場ではなく、宮崎、岐阜、長崎の預託牧場の牛です。このうち、しゃぶしゃぶのサーロインは、岐阜県生まれの子牛で、血統は「但馬系」、すき焼きのサーロインは宮崎県の生まれで、血統は「但馬系」、イチボ(グリル)とランプ(ローストビーフ)は、長崎県の生まれで血統は「気高系」となっています。安田さんとしては、長崎の預託牧場にも「但馬系」の牛を生産して欲しいけど、但馬系は枝肉重量が出ないので、農家の利益を考えると難しい点がある、ということです。
本日のメニュー
〇 ランプのローストビーフ
〇 イチボのグリル/37ヶ月齢
〇 ロースのしゃぶしゃぶ/37ヶ月齢
〇 ロースのすき焼き/38ヶ月齢
今回のお肉は3頭由来
〇 サーロイン=黒毛和牛 37ヶ月齢の雌牛、熟成期間61日間
〇 サーロイン=黒毛和牛 38ヶ月齢の雌牛、熟成期間、46日間
〇 ランイチ=黒毛和牛 37ヶ月齢の雌牛、熟成期間46日間