熟成肉の格之進

2022年7月4日 第48回肉肉学会の概要

イベリコ生ハム生産者と日本青年との奇跡のコラボ

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本物のイベリコ豚を学ぶ

7月4日(月)の肉肉学会は、肉肉学会としては2回目(1回目はバザス牛)の海外産のお肉。タイトルの『スペインの2大変態イベリコ生ハム生産者奇跡のコラボ〜人生を賭けた日西オーガニック生ハム友情物語〜」に今日のテーマが全て詰まっている!

・スペインの2大変態イベリコ生ハム生産者:スペインの生ハム生産者、ベルナルド・エルナンデスさん(Beher社)とルイス・ミゲルさん(Julian Martin社)
・奇跡のコラボ:純粋のハモン・イベリコだけでなく、有機の生ハム(日本初披露)まで楽しめる!
・日西友情物語:今回の生ハムを輸入してくれた日本側パートナー「ライフジュエル」の山田悠平さんと舟根稔人さんのコンビのハモン・イベリコ愛。

山田さん、舟根さん、ミゲルさん


エルナンデスさんとミゲルさん

Beher社もJulian Martin社も、イベリコ豚の生産からと畜、精肉加工、生ハム製造まで一貫して行う会社。お二人の話を聞いて感じたのは、「イベリコ豚は但馬牛である」ということです。雌豚サイドの改良を主軸に、エコーでロース芯面積やサシの入り具合など様々なデータにより選抜する方法論は和牛改良のようです。

ハモン・イベリコは、イベリコ豚の血統割合とドングリ(樫の実)の食べ方で写真の「イベリコ豚の血統とランク」のように分けられます。

原木から生ハムを切り出すエルナンデスさん

そして、トレサビリティによりタグ付けられた原木(生ハムの脚)が流通する管理システムですが、母豚の血統や交配が不明なまま生ハムを流通させる業者もいるようなので、信頼できる業者さんから取り寄せるに限るとのこと。

ハモン・イベリコに必須なものは、イベリコ豚とデエサ(樫の実がある放牧地)です。イベリコ豚は、1回当たりの分娩頭数が7〜8頭と少なく、成長が遅いという昔ながらの品種です(だから美味しい)。その上、ベジョータになる豚は夏に生まれ、1年後の夏(普通の豚はとっくにと畜してます)にベジョータになるための選抜に入り、秋から「デエサ」でたっぷりドングリ(カシの実)を食べて育ち、18ヶ月齢くらいでと畜されるという超スローペースな育て方。そして生ハムとしての熟成期間も2年以上必要という、生まれてから4年も経つ豚ちゃんなのです。

・イベリコ種の豚は単独一種の豚ではないようで、スペイン食料農業環境省のHPほ「品種カタログ』では、以下のように分類されています。イベリコ豚はBC3500年頃、イベリコ半島にいた野生のイノシシを先祖として様々な豚との交配を経て、大航海時代にはアジアの豚の血まで入ったそうなので、地方によって様々なバリエーションが存在するのですね。

Entrepelado(ぶちやまだらのある)
Lampino(無毛の)
Jabugo(毛を染めた)
Retinto(赤毛)
Torbiscal(赤毛、絶滅危惧種?)

の5種があるそうで、前者3種は黒豚、後者2者は赤豚と括っているようです。

今日のお話を伺って、「ハモン・イベリコ」の成立要件は「イベリコ豚という固有品種と、デエサと呼ばれるオークのある放牧地」だと思いました。

イベリコ豚は、1960年代の豚増産時代に、交雑種に席巻され始め、90年代には絶滅寸前まで頭数が減ったため、生産者と国が品種維持管理に乗り出して漸く、回復してきたのです。

それでは、1頭当たり1?が必要という広大な放牧地(デエサ)が存続した条件はなんだったのか?日本では農地開放などにより耕作地の細分化が進んだのですが、スペインでは、この広大な放牧地(オーク林と草地で成り立つ)が細分化されずに維持できた理由はなんだったのか。歴史の変遷により、デエサが国王領→教会領→民間有に変化しながらも、イベリコ豚生産のための管理規制等があったのか、今回はそこまでは分かりかねました。

ともあれ、実際のイベリコ豚生産者のお話を聞く大変、貴重な機会となりました。
脂(あぶら)兄弟こと高橋勇会員の脂肪酸分析によると、たオレイン酸は54.6(高級和牛並み)、α-リノレン酸も高く、融点は脅威の25.5度!
生ハムの融点の低さ、塩気を感じないまろやかさ、甘い脂、噛みごたえがあるのに口の中で馴染んでいく赤身、熟成チーズのようなシャリシャリのチロシン。異次元の美味しさに驚きます。

講演者

★山田悠平氏(合)ライフジュエル代表社員&舟根稔人氏
学生時代にスペインで通訳をしている小学校中学校の同級生がいるサラマンカ州ギフエロ村に観光に行った際にイベリコ豚の生ハムに出会い衝撃を受けてスペイン全土を2か月間バスで放浪。スペイン各地にあるイベリコ豚生ハム生産者や生ハムを食べ歩き、たどり着いたギフエロ産イベリコ豚生ハムを自身で輸入することを決意。現在スペインとの取引は7年目。年に3回ほど現地に行って仕入れた商品のフィードバック・製造ライン・農場の取り組み・スタッフとの交流を行ってます。また、今回の様に年に1度スペインの担当者などを日本に呼んで卸先の飲食店を回りチェックやアドバイス・日本のマーケットの理解を一緒に行い、より高いサービス体験を一緒に作ることを目標にしています。

★Beher(べエール):ベルナルドさん
今回オーガニックのイベリコ豚生ハムを一緒に取り組みしている老舗生ハムメーカー「Beher」は、飼料になる農場→養豚→堵畜→加工→熟成→製品まで自社一貫で行っております。Beherは大手企業でありながら純血統のイベリコ豚に特化している上に更にイベリコ豚を追求してとうとうオーガニック養豚まで開始した。餌もオーガニックで塩もオーガニックというもはや人間より良いもの食べている環境で育ってます。

★Julian Martin(フリアン マルティン):ルイスミゲルさん
こちらもBeherと同じくスペインはサラマンカのGuijueloと呼ばれるハモンイベリコのD.O産地でこちらも1社の一貫生産で養豚からやってます。そもそも分業の生ハム業界で1社1貫生産のところは数えるほどしかないのですが、例えばイベリコ豚を1頭放牧するのには法律で1ヘクタール以上の樫の木放牧地が必要とされています。ですがこれはミニマムの広さで、雨の量によって実りをみて、1頭/1.5ヘクタール〜1頭/2ヘクタール前後となります。

本日のメニュー

〇 生ハムの食べ並べ


ハモンイベリコベジョータ純粋の原木

・ハモンイベリコ・デ・ベジョータ100%血統 48ヶ月熟成
・オーガニック パレタ・イベリコ・ベジョータ100%血統 30ヶ月熟成
・オーガニック サルチチョン・イベリコ・ベジョータ100%血統
・オーガニック チョリソ・イベリコ・ベジョータ100%血統
・コピタ(肩肉)・イベリコ・セボ 24ヶ月熟成
・オーガニック パンセタ(バラ肉)イベリコ・デ・ベジョータ100%血統

〇 原木切り出し イベリコベジョータ純粋

〇 トントロ西京漬けとアバニコのグリル

〇 一口ヒレカツ

〇 ガルビュール

〇 肩ロースロティ スペアリブBBQ


肩ロース

〇 ブロッコリー麺と大豆ミートソース

参考文献


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