2025年2月25日 第80回肉肉学会の概要
純粋金華豚「創業60周年を越えた平田牧場の思想に学ぶ」
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2025年2月25日
@格之進F
肉肉学会理事会
全日本・食学会肉料理部会分科会
第80回肉肉学会のテーマは「金華豚」。副題は「六次化の草分けであり三元豚を発明した創業60周年を超えた平田牧場の思想に学ぶ」と長いですが、まさにそのとおり、歴史のある山形県酒田市の平田牧場さんが主役です。
金華豚は、中国浙江省原産の品種で、皮が薄く、脂肪分が多く、肉質が柔らかいという特徴を持ち、独特の生ハム「金華火腿」の原料として有名です。中国から導入された金華豚を飼育する牧場は日本で3カ所と言われており、現在では金華豚飼養の最大手が平田牧場となっています。
その平田牧場からは茂木専務と新田さん、玉貫さんが来てくれました。茂木専務のお話。
茂木専務さん、玉貫さん、新田さん
「平田牧場のコンセプトは、「健康な豚は美味しい」から「健康な豚を育てる」です。そのための「平牧アクション」として「環境と豚を一緒に作る」を実現しています。
昨年創業60年間を迎えた平田牧場は、先代社長が2頭の養豚から始めたもの。先代社長は代々の米農家だったので、親からは「養豚などはまかりならん、規模拡大は許さん」と厳しい反応。そのため、奥さんの実家で田んぼをつぶして養豚場を開設したそうです。
その後は養豚道をまっしぐら。中国から原種豚を導入したり、米の生産調整下、水田を守り、輸入飼料に依存しない国産飼料自給のために豚の飼料に米を入れる「飼料米プロジェクト」を始めたり、6次化の先駆けとして自ら加工品生産を始めたり、イバラの道を歩んできました。
その間、独自の品種開発を進め、LWD(ランドレース×大ヨークシャー×デュロック)の三元豚を開発、更に黒豚(バークシャー)を止めオスとしたLDB(ランドレース×デュロック×バークシャー)も開発しました。三元豚の開発は1981年、中国から様々な品種を導入して、1988年に輸入した金華豚(オス3、メス10)から、金華豚(K)を止めオスにした「平田牧場金華豚LDK」(ランドレース×デュロック×金華豚)を2004年に完成し、現在、「純粋金華豚」を加えた5つのブランド豚を展開しています。純粋金華豚は脂肪交雑が入りやすく、豚の脂肪交雑基準の最高ランクのNo6が4割出ます。
現在の出荷頭数は年間145,000頭。金華豚純粋無種(KK)は北海道と山形で飼養しています。もともと、山形だけだったのですが、豚熱対応としてリスク分散のため北海道でも飼育することになったのです。
流通としては、ダイエーと取引していたところ安売りを求められ、縁を切ったことで直販せざるを得ない状況に追い込まれたとのですが、生活クラブ生協との取引があったことで持ち直すことができました。
飼料の国産自給率を上げるため、いち早く飼料米を利用し、配合割合も35〜45%と高いことが特徴です(原田注:たぶん日本一)。いわゆる「令和の米騒動」で米の価格上がっていますが、近年の米価格が安すぎたので、ある意味、昔の価格に戻っただけとも言えると思います。平田牧場の豚は1年換算で人の5倍の米を食べています。今年は米不足ということで主食米が増えるので(飼料米仕向けが減ることから)豚への給与量維持が難しくなると見込んでいます。
また、国産子実とうもろこしの利用も進めていて、北海道の豚は道内の米と子実とうもろこしで自給できる水準となっています。
外食小売事業の他にも、酒田市内の料亭文化を守るために「相馬楼」を維持するなど、地域が元気になる活動を行っています。平田牧場という名称は、新田社長が生まれた旧平田町に由来しており、地域を大切にする思いが社名にも込められていると言えます。」
高岡顧問の挨拶
続いて、遠藤シェフの感想も頂きました。
遠藤シェフ
「とにかく”小さい豚”という印象。触った感じ、肉を混ぜた感じでは、融点高いという印象を持ったが、調理するとくどくないサラッとした感じで、脂の粒子がどうなのか分からないが不思議に感じた。また、塩が入り易い肉質かなと感じた。純粋な金華豚を触るチャンスはなかなかないので貴重経験だった。」
遠藤シェフのメニュー説明
プレゼン資料の一部
本日のメニュー
●金華豚のシャルキュトリ
もも肉のボイルハム&豚足のゼリー寄せ
●金華豚のシャルキュトリ
焼きたてパテドカンパーニュ
●グリーンサラダ バラ肉のベーコン
●肩ロースのローストとソーセージ ジャガイモのピュレ
●塩漬けバラ肉の煮込み
●骨付きロースカツ
●プルドポークオーバーライス